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第一章
5話 ヤカンの魔神ハテナ
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□□
(魔界を追放されて放り込まれた先の天界で初日からこんなのかよ。空気は毒だわ最悪だ)
エリヤはついでとばかりにイルミナとかいう神にも心のなかで悪態をついた。
目の前には先ほどまでの人間サイズの妖怪もどきとは思えないようなずっしりと質量を持った魔力の塊がそびえ立つ。
「悪魔から一転、ヤカン魔神ハテナってところか」
『ふふ、魔神。悪くないね!その呼び名。魔界王になるのもいいけどその路線も悪くない』
(コイツが天界送りになった理由ってところか)
『ハテナさん!』
エメラルド色の精霊ジルがヤカン魔神の顔に近づいて行こうと飛び出した。
説得でもしようというのか。
「ジル!よせ」
エリヤは止めようとしたが、間に合わない。
このヤカンには説得なんて無意味だ。
どっちが良い悪いじゃない。
魔界と天界、価値観が、基準が違うのだと、お前自身が俺に言ったじゃないか。
それともお前も本当はソイツとグルで、やっぱり俺を騙してました☆
みたいなオチでも待ってるのか?
そんな風にエリヤが考えていると知ってか知らずか。
ぐんぐんとジルたち精霊が上空へ上がって、ヤカン魔神の側に近づいていく。
ヤカン魔神はいっこうにジルたちに攻撃する気配がない。
(なんだ、ほら見ろ、やっぱりつるんでやがったんだ!)
何処かホッとしたようにエリヤのくちもとがゆるんだ。
パリン!
何かが弾けて割れるような音がした。
上空からエメラルド色の細かい光がふって来た。
エリヤは生まれてはじめて綺麗だと思った。
これが綺麗だと感じた時の気持ちだと、説明されなくてもわかった。
先ほどまで精霊だったものが砕け散っていく。
生まれてたった1日しか経っていなくても、こんなに揺さぶられることは、きっと当分ないだろうと思うくらいに。
“ジル!” “ジルが!” “ジルが!” “エリヤ!エリヤ!ジルが!”
精霊たちが騒がしい。
ズシーン!
ヤカン魔神が足で俺を踏み潰そうとしてきやがった!
“うわー!”
“エリヤ!ジルが消えちゃう!” “エリヤも消えちゃう!”
今考えてるんだ、黙れ。
この状況を打破する方法を。
ヤカン魔神の攻撃を避けながら、地面に散らばるエメラルド色の欠片を拾う。
“エリヤ!エリヤ!助けて!” “エリヤ逃げて!”
(助けて欲しいのか、逃げて欲しいのかどっちだよ。お前らも逃げろよ!いつまでのんきにしてやがる。俺とお前らはついさっき知り合ったばかりだ)
エリヤはうそぶきながら考える。
膨大な知識と少ない知恵で。
知ってる魔術と魔力が山ほどあっても、生まれたばかりのエリヤが扱えるものはろくにない。
これが今の現実。
だがそれでも考えろ!勝機はある!こいつはナダよりも魔力で劣っている。
“エリヤ!エリヤ!助けて!” “エリヤ!エリヤ!助けて!”
“エリヤ!逃げて!”
うるさい!
「さっきから喧しい!今考えてるんだ!お前らは黙って集中させろ!!イルミナとかいう神だかなんだかに祈ってろ!っつうか呼んでこい!創造神なんだろーが?!!天使長とかでもかまわねぇ!いねえのか!」
エリヤに怒鳴られた精霊たちが、はじめて気がついた顔で
“そうだ!イルミナさま!” “母様!” “母様!”
騒がしいまま飛んでいった。
(さっきまでの俺は、何であんな奴らが俺を騙せると思ってたんだろうな)
ヤカン魔神は身体を大きくしすぎてうまく身体を動かせていないのか、先ほどからおかしな動きかたばかりしている。
(こいつ、ナダと似ている。欲張って魔力を溜め込んだは良いが、それを扱うだけの力を持っていないんじゃないか。戦ったことはないが、おそらくこれならナダの方がずっとましだ)
今の俺がナダに勝つのは無理でも、こいつにならやり方次第で勝てる。それだけに圧されている現状の腹立たしさは大きい。
エリヤの戦う覚悟はもう決まっている。
(だがその前にやることがある)
エリヤは目の前にキラキラと輝くエメラルド色の欠片を目一杯集めていた。
(精霊たちの様子からして、ジルはこんなになってはいるが、たぶん死んだわけじゃない。精霊の身体は動物とは違うからな。だがこのまま放っておけばいずれ存在そのものが消えてしまう)
人間たちが使う回復魔術を試してみたが、やり方が不味いのか、魔界の魔力が不味いのか、とにかく効果がない。
(ジルのことは天界の奴に任せるしかない)
『何処だ、どこに隠れたー』
エリヤに隠れたつもりは無いが、巨大になりすぎたヤカン魔神にとって、エリヤは小さすぎるらしい。
間抜けな声があたりに響くのをやり過ごしながら、エリヤは考える。
ヤカン魔神がでかくなりすぎたデメリットに気付く前に型をつけてここからの脱出方を吐かせてやる。
(悪いがサルティエラの連中にはちょっと協力してもらおうか)
集めたエメラルド色の欠片をそっと地面に隠すように置いて、エリヤはその場を出来るだけ離れ、ありったけの声を上げて、魔力を解放した。
(これで見つけられないなんてあり得ないだろ?)
エリヤは巨大化したヤカン魔神ハテナを天界都市サルティエラの中心まで誘導するために走り出した。
報いを受けさせてやる。
(魔界を追放されて放り込まれた先の天界で初日からこんなのかよ。空気は毒だわ最悪だ)
エリヤはついでとばかりにイルミナとかいう神にも心のなかで悪態をついた。
目の前には先ほどまでの人間サイズの妖怪もどきとは思えないようなずっしりと質量を持った魔力の塊がそびえ立つ。
「悪魔から一転、ヤカン魔神ハテナってところか」
『ふふ、魔神。悪くないね!その呼び名。魔界王になるのもいいけどその路線も悪くない』
(コイツが天界送りになった理由ってところか)
『ハテナさん!』
エメラルド色の精霊ジルがヤカン魔神の顔に近づいて行こうと飛び出した。
説得でもしようというのか。
「ジル!よせ」
エリヤは止めようとしたが、間に合わない。
このヤカンには説得なんて無意味だ。
どっちが良い悪いじゃない。
魔界と天界、価値観が、基準が違うのだと、お前自身が俺に言ったじゃないか。
それともお前も本当はソイツとグルで、やっぱり俺を騙してました☆
みたいなオチでも待ってるのか?
そんな風にエリヤが考えていると知ってか知らずか。
ぐんぐんとジルたち精霊が上空へ上がって、ヤカン魔神の側に近づいていく。
ヤカン魔神はいっこうにジルたちに攻撃する気配がない。
(なんだ、ほら見ろ、やっぱりつるんでやがったんだ!)
何処かホッとしたようにエリヤのくちもとがゆるんだ。
パリン!
何かが弾けて割れるような音がした。
上空からエメラルド色の細かい光がふって来た。
エリヤは生まれてはじめて綺麗だと思った。
これが綺麗だと感じた時の気持ちだと、説明されなくてもわかった。
先ほどまで精霊だったものが砕け散っていく。
生まれてたった1日しか経っていなくても、こんなに揺さぶられることは、きっと当分ないだろうと思うくらいに。
“ジル!” “ジルが!” “ジルが!” “エリヤ!エリヤ!ジルが!”
精霊たちが騒がしい。
ズシーン!
ヤカン魔神が足で俺を踏み潰そうとしてきやがった!
“うわー!”
“エリヤ!ジルが消えちゃう!” “エリヤも消えちゃう!”
今考えてるんだ、黙れ。
この状況を打破する方法を。
ヤカン魔神の攻撃を避けながら、地面に散らばるエメラルド色の欠片を拾う。
“エリヤ!エリヤ!助けて!” “エリヤ逃げて!”
(助けて欲しいのか、逃げて欲しいのかどっちだよ。お前らも逃げろよ!いつまでのんきにしてやがる。俺とお前らはついさっき知り合ったばかりだ)
エリヤはうそぶきながら考える。
膨大な知識と少ない知恵で。
知ってる魔術と魔力が山ほどあっても、生まれたばかりのエリヤが扱えるものはろくにない。
これが今の現実。
だがそれでも考えろ!勝機はある!こいつはナダよりも魔力で劣っている。
“エリヤ!エリヤ!助けて!” “エリヤ!エリヤ!助けて!”
“エリヤ!逃げて!”
うるさい!
「さっきから喧しい!今考えてるんだ!お前らは黙って集中させろ!!イルミナとかいう神だかなんだかに祈ってろ!っつうか呼んでこい!創造神なんだろーが?!!天使長とかでもかまわねぇ!いねえのか!」
エリヤに怒鳴られた精霊たちが、はじめて気がついた顔で
“そうだ!イルミナさま!” “母様!” “母様!”
騒がしいまま飛んでいった。
(さっきまでの俺は、何であんな奴らが俺を騙せると思ってたんだろうな)
ヤカン魔神は身体を大きくしすぎてうまく身体を動かせていないのか、先ほどからおかしな動きかたばかりしている。
(こいつ、ナダと似ている。欲張って魔力を溜め込んだは良いが、それを扱うだけの力を持っていないんじゃないか。戦ったことはないが、おそらくこれならナダの方がずっとましだ)
今の俺がナダに勝つのは無理でも、こいつにならやり方次第で勝てる。それだけに圧されている現状の腹立たしさは大きい。
エリヤの戦う覚悟はもう決まっている。
(だがその前にやることがある)
エリヤは目の前にキラキラと輝くエメラルド色の欠片を目一杯集めていた。
(精霊たちの様子からして、ジルはこんなになってはいるが、たぶん死んだわけじゃない。精霊の身体は動物とは違うからな。だがこのまま放っておけばいずれ存在そのものが消えてしまう)
人間たちが使う回復魔術を試してみたが、やり方が不味いのか、魔界の魔力が不味いのか、とにかく効果がない。
(ジルのことは天界の奴に任せるしかない)
『何処だ、どこに隠れたー』
エリヤに隠れたつもりは無いが、巨大になりすぎたヤカン魔神にとって、エリヤは小さすぎるらしい。
間抜けな声があたりに響くのをやり過ごしながら、エリヤは考える。
ヤカン魔神がでかくなりすぎたデメリットに気付く前に型をつけてここからの脱出方を吐かせてやる。
(悪いがサルティエラの連中にはちょっと協力してもらおうか)
集めたエメラルド色の欠片をそっと地面に隠すように置いて、エリヤはその場を出来るだけ離れ、ありったけの声を上げて、魔力を解放した。
(これで見つけられないなんてあり得ないだろ?)
エリヤは巨大化したヤカン魔神ハテナを天界都市サルティエラの中心まで誘導するために走り出した。
報いを受けさせてやる。
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