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第一章
13話 物色
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□□
ヤカン魔神の襲撃をカミルが囮になって引き付けている隙にサルティエラの宝物庫の扉の鍵を使うエリヤ。
カチャリ、という音がして鍵が開いた。
ギィーッ
音と共に重い扉が開く。
扉の前にかけてあった灯りを持って中に入ってかざすと茶色や灰色の色調で調えられた部屋の壁際に棚やテーブルに椅子、魔導具や小瓶が据えられている。
(宝物庫と言うんで、もっと金細工や宝玉なんかが置かれていると思ったが)
続きの二間には剣や槍、弓も矢も、壁際に立て掛けられていて、あっさり見つけることが出来た。
宝物庫は頑丈なのか、外の様子はわからなくなった。
魔界生まれのエリヤが近づいても問題ないだけでなく、掴んでも平気だ。
(宝物庫というよりは衛兵の待機場所みたいだな。武器さえ手にはいればどっちでも良い)
そう思いながら使えそうな武器や防具が他にも無いか物色する。
(俺たちが使える装備がやはり置かれていた)
エリヤは安堵しつつも天界の住人のお人好し具合に不安を覚えた。
(そのうち魔界に攻めこまれたり、いつの間にか魔界の住人が多量に送り込まれて乗っ取られたりするんじゃないか)
武器を集めて保管しているらしい片側の一間を物色するうち、1本の槍がエリヤの目に留まった。
(この一角に置かれているのは天界の武器か)
カミルとやりあった疲労とは別に、魔力が奪われるような違和感と共に、触れるとビリッと刺激のようなものを受ける。
(触れないとまではいかないが、ずっと使い続けて問題ないかと言われると疑問だな。だがそれは上で暴れているヤカン魔神に効果のある武具である証明か)
試しに剣にも触れる。
やはり天界の魔力で違和感を感じ手を引っ込めた。
(ジルはあの後どうなっただろう)
ヤカン魔神が通路を崩落させたおかげで、階段まで戻らずに上へ上がる当ては出来たが、もうあまり時間はかけたくなかった。
来たばかりのエリヤに天界への執着は無いが、エメラルド色の精霊の事だけ気になっている。
ヤカン魔神に粉々に砕かれた風の精霊。
(他の精霊がイルミナを呼びに行ったはずだが)
“母様”と言いながら飛んでいったのを思い出す。
魔界生まれの俺たちにとって天界全てが毒であるように。
(天界生まれにとっても、魔界の全てが毒みたいなもんのはずだ)
エリヤは時々襲われる吐き気にじわりと汗をかいた。
ジルからもらった空腹を癒す水は残り少ない。
エリヤは預かった宝物庫の鍵を握ったまま考えた。
ヤカン魔神は魔界で身のほど知らずにも魔界王に挑んで返り討ちになった挙げ句、天界送りになったようなヤツだ。
同族を隠れて食らって力を付けてきたのがこの顛末。
元は大したことのない小物だ。
創造神イルミナの慈悲で創られたこのサルティエラから出ようものなら、すぐさま天界の毒で消滅していたに違いない。
そんな連中はまだまだいるだろう。
かくいうエリヤ自身が似たようなもの。
静寂の中、エリヤは考えた末に剣ではなく槍を手に取った。
(槍の方が俺には扱いやすそうだ。剣を使うヤツには槍でやりあう方が有利。練習にも良い)
エリヤは自分を返り討ちにして、天界送りの原因になった人間の事を思い出した。
一矢報いてやることを諦めていないのである。
(他の武器も持ち出して戦えそうな連中にも渡したいが、一緒にいた3人の内2人はカミルが倒してしまったからな)
先に見つけた台車にはいくつか盾と剣や槍を既に載せている。
そのうちの数本を放り出して、代わりに天界の住人が使えるであろう剣や弓を手早く放り込んだ。
(天界の武器の方が、奴に痛い目を見させる事が出来る)
ヤカン魔神を放置している創造神イルミナに苛立ちを感じながら、エリヤは武器を載せた台車を押して宝物庫を出た。
ヤカン魔神の襲撃をカミルが囮になって引き付けている隙にサルティエラの宝物庫の扉の鍵を使うエリヤ。
カチャリ、という音がして鍵が開いた。
ギィーッ
音と共に重い扉が開く。
扉の前にかけてあった灯りを持って中に入ってかざすと茶色や灰色の色調で調えられた部屋の壁際に棚やテーブルに椅子、魔導具や小瓶が据えられている。
(宝物庫と言うんで、もっと金細工や宝玉なんかが置かれていると思ったが)
続きの二間には剣や槍、弓も矢も、壁際に立て掛けられていて、あっさり見つけることが出来た。
宝物庫は頑丈なのか、外の様子はわからなくなった。
魔界生まれのエリヤが近づいても問題ないだけでなく、掴んでも平気だ。
(宝物庫というよりは衛兵の待機場所みたいだな。武器さえ手にはいればどっちでも良い)
そう思いながら使えそうな武器や防具が他にも無いか物色する。
(俺たちが使える装備がやはり置かれていた)
エリヤは安堵しつつも天界の住人のお人好し具合に不安を覚えた。
(そのうち魔界に攻めこまれたり、いつの間にか魔界の住人が多量に送り込まれて乗っ取られたりするんじゃないか)
武器を集めて保管しているらしい片側の一間を物色するうち、1本の槍がエリヤの目に留まった。
(この一角に置かれているのは天界の武器か)
カミルとやりあった疲労とは別に、魔力が奪われるような違和感と共に、触れるとビリッと刺激のようなものを受ける。
(触れないとまではいかないが、ずっと使い続けて問題ないかと言われると疑問だな。だがそれは上で暴れているヤカン魔神に効果のある武具である証明か)
試しに剣にも触れる。
やはり天界の魔力で違和感を感じ手を引っ込めた。
(ジルはあの後どうなっただろう)
ヤカン魔神が通路を崩落させたおかげで、階段まで戻らずに上へ上がる当ては出来たが、もうあまり時間はかけたくなかった。
来たばかりのエリヤに天界への執着は無いが、エメラルド色の精霊の事だけ気になっている。
ヤカン魔神に粉々に砕かれた風の精霊。
(他の精霊がイルミナを呼びに行ったはずだが)
“母様”と言いながら飛んでいったのを思い出す。
魔界生まれの俺たちにとって天界全てが毒であるように。
(天界生まれにとっても、魔界の全てが毒みたいなもんのはずだ)
エリヤは時々襲われる吐き気にじわりと汗をかいた。
ジルからもらった空腹を癒す水は残り少ない。
エリヤは預かった宝物庫の鍵を握ったまま考えた。
ヤカン魔神は魔界で身のほど知らずにも魔界王に挑んで返り討ちになった挙げ句、天界送りになったようなヤツだ。
同族を隠れて食らって力を付けてきたのがこの顛末。
元は大したことのない小物だ。
創造神イルミナの慈悲で創られたこのサルティエラから出ようものなら、すぐさま天界の毒で消滅していたに違いない。
そんな連中はまだまだいるだろう。
かくいうエリヤ自身が似たようなもの。
静寂の中、エリヤは考えた末に剣ではなく槍を手に取った。
(槍の方が俺には扱いやすそうだ。剣を使うヤツには槍でやりあう方が有利。練習にも良い)
エリヤは自分を返り討ちにして、天界送りの原因になった人間の事を思い出した。
一矢報いてやることを諦めていないのである。
(他の武器も持ち出して戦えそうな連中にも渡したいが、一緒にいた3人の内2人はカミルが倒してしまったからな)
先に見つけた台車にはいくつか盾と剣や槍を既に載せている。
そのうちの数本を放り出して、代わりに天界の住人が使えるであろう剣や弓を手早く放り込んだ。
(天界の武器の方が、奴に痛い目を見させる事が出来る)
ヤカン魔神を放置している創造神イルミナに苛立ちを感じながら、エリヤは武器を載せた台車を押して宝物庫を出た。
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