天界送りのサルティエラ

いわみね

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第一章

18話 思惑

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 □□

 槍で勢いよく凪払われ、球体の魔障壁ごと吹っ飛んだヤカン坊魔神ハテナが、破壊されずに残っている建物に激突した。
 ズガァアアンッ
 追い討ちをかけ、エリヤが鋭い突きからの凪払う動作を繰り返す。
 ビュッ!ビュワン!
 再び建物に激突し、動きが止まったヤカン坊魔神の上に槍の穂先を下に向けたエリヤが降ってくる。
『ビャギャギャギャッ!待で!まで待て!』
 穂先の異様な輝きを止めることは、エリヤにさえもうできない。
 四方を天界の建物に囲まれたヤカン坊魔神が、この場を脱するにはどこか一角でも破壊して逃れるしか無いように思えた。
わ、わだしをごろしたら゛わ、わたしを殺したら、ご、ごこから脱出はでぎな゛ここから脱出できない
 ヴォオン!!
 ヤカン坊魔神が言い終わらないうちにエリヤの槍が魔障壁を打ち破った。
 そのままヤカン坊魔神が崩れる魔障壁ごと地面に落下していく。
 ドォン!ズシャアアアッ
ごんなばずじゃこんなはずじゃ……』
 呟きながらヨロヨロと地面を這うようにヤカン坊魔神が隠れる場所を探す。
『やつめ、何とい゛う非道なヤツだ。まっでくれとたの゛んでい゛たのに待ってくれと頼んでいたのに

 □□

「なんてヤツだ。この期に及んで脅して来やがった」
 地面に激突した球体の魔障壁を追って俺も下へ向かう。
 すぐさま壊れて今にも消えそうな球体の中を確かめるが、既にヤカン坊魔神はいなかった。
 (もっと小さくなって身を隠していたら、本体を見つけるのは難しいかもしれないな)
 隠れられそうな瓦礫や壊れた建物の残骸の隙間を身を低くして覗き込む。
「ここにもいないな」

 ヤカン坊魔神に止めを刺す前に俺が消滅では話にならない。
 俺は仕方なく本体を探すのを一旦中断して、魔神の置き土産となった球体の魔障壁のほうへ戻る。

 既に大半が消えかかっている。
 俺は少し慌ててまだ形を残す魔障壁の一部を掴んで、失った魔力を回復させるため口に放り込んだ。魔力の出所を考えると気持ちのいい食べ物ではなかったが、贅沢は言ってられない。
 (勝負はついたはずだがヤツの魔力は手に入っていない)
 本体であるヤカン坊魔神側にもまだ相当量の魔力が残っているとエリヤは踏んだ。
 槍に魔力を注ぎ消耗した分を魔神からきっちり取り返す算段が頓挫して苛立つ。

 いっそ槍か魔術で辺りを一掃してしまうのもいいかと思ったが、これ以上の魔力の消耗は自分のほうが危険だと感じてやめにした。エメラルド色の精霊ジルからもらった空腹を癒す液体はもうない。
 俺は霧散しかかった魔障壁にさらに手を伸ばした。
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