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第一章
19話 矜持
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□□
魔障壁から這い出たヤカン坊魔神は、大きめのバッタほどにまで身を縮め、身を隠せそうな瓦礫の隙間を見つけて隠れた。
ちょうどエリヤが下へ追いかけてきて、槍で破壊された魔障壁の中を調べ始めた。
ヤカン坊魔神自身に魔力は残っているものの、槍を持ったエリヤに勝てそうもない。
(あの槍は何なのだ。こんな形で逃げ回る羽目になるなんて。ああ、魔障壁なんて張らずに攻撃魔術でヤツを仕留めておけばよかった……!)
ヤカン坊魔神がそう思っていると、エリヤが辺りをうろついてあちこち隙間を覗き始めた。
時折瓦礫を退かしたりもしている。
自分を食らうために探しているのだ。
ヤカン坊魔神は見つかるまいと息を潜めた。
エリヤの足が目の前に現れ、屈んで覗き込む顔が見えた。
「ここにもいないな」
瓦礫の隙間の奥深く、真っ暗な影に小さくなって隠れたヤカン坊魔神をエリヤは見つけることが出来なかった。
止まっていた息を安堵したヤカン坊魔神が吐き出すと、やや乱暴に瓦礫が崩される音が聞こえてきた。
「くそ、食い損ねたな。早くなにか食わねえと」
エリヤがそう言った後しばらく経って、エリヤの足音が遠ざかる。
(ヤツめ!魔障壁から私の力を奪う気だ……!)
焦ったヤカン坊魔神が恐る恐る隠れていた瓦礫の隙間から這い出て辺りを窺った。
ヤカン坊魔神自身、魔障壁から這い出る直前魔力をいくらか回収はしたが、全然足りていなかった。
(あああ、私の魔力が……)
ヤカン坊魔神の願い空しく、エリヤは魔障壁を食べて力を回復させている。
(なんという酷いヤツだ!わたしをこんなめに遇わせただけで飽きたらず!魔力まで奪おうと言うのか!この天界で生き延びるためにどれだけの苦労があったかも知らぬ生まれたてが!)
自分が多くの同族を犠牲にして力を得てきたことを棚に上げ、ヤカン坊魔神はエリヤに腹を立てた。
どうにかしてエリヤに自身の優位を思い知らせてやりたいが、今のヤカン坊魔神がエリヤに勝つのは到底無理に思えた。
(最初に見たときには、生まれたてにしては魔力ばかり大きくて魔術の一つも使えなかったくせに)
それが今では恐怖さえ感じさせるのである。
自信のあった魔障壁があっさり槍で破壊されたのは、つい先刻のことだ。
(そうだ、あの槍)
ヤカン坊魔神の脳裏にエリヤが持つ槍がよぎる。
(あの槍があやつに力を与えているに違いない)
魔障壁から這い出たヤカン坊魔神は、大きめのバッタほどにまで身を縮め、身を隠せそうな瓦礫の隙間を見つけて隠れた。
ちょうどエリヤが下へ追いかけてきて、槍で破壊された魔障壁の中を調べ始めた。
ヤカン坊魔神自身に魔力は残っているものの、槍を持ったエリヤに勝てそうもない。
(あの槍は何なのだ。こんな形で逃げ回る羽目になるなんて。ああ、魔障壁なんて張らずに攻撃魔術でヤツを仕留めておけばよかった……!)
ヤカン坊魔神がそう思っていると、エリヤが辺りをうろついてあちこち隙間を覗き始めた。
時折瓦礫を退かしたりもしている。
自分を食らうために探しているのだ。
ヤカン坊魔神は見つかるまいと息を潜めた。
エリヤの足が目の前に現れ、屈んで覗き込む顔が見えた。
「ここにもいないな」
瓦礫の隙間の奥深く、真っ暗な影に小さくなって隠れたヤカン坊魔神をエリヤは見つけることが出来なかった。
止まっていた息を安堵したヤカン坊魔神が吐き出すと、やや乱暴に瓦礫が崩される音が聞こえてきた。
「くそ、食い損ねたな。早くなにか食わねえと」
エリヤがそう言った後しばらく経って、エリヤの足音が遠ざかる。
(ヤツめ!魔障壁から私の力を奪う気だ……!)
焦ったヤカン坊魔神が恐る恐る隠れていた瓦礫の隙間から這い出て辺りを窺った。
ヤカン坊魔神自身、魔障壁から這い出る直前魔力をいくらか回収はしたが、全然足りていなかった。
(あああ、私の魔力が……)
ヤカン坊魔神の願い空しく、エリヤは魔障壁を食べて力を回復させている。
(なんという酷いヤツだ!わたしをこんなめに遇わせただけで飽きたらず!魔力まで奪おうと言うのか!この天界で生き延びるためにどれだけの苦労があったかも知らぬ生まれたてが!)
自分が多くの同族を犠牲にして力を得てきたことを棚に上げ、ヤカン坊魔神はエリヤに腹を立てた。
どうにかしてエリヤに自身の優位を思い知らせてやりたいが、今のヤカン坊魔神がエリヤに勝つのは到底無理に思えた。
(最初に見たときには、生まれたてにしては魔力ばかり大きくて魔術の一つも使えなかったくせに)
それが今では恐怖さえ感じさせるのである。
自信のあった魔障壁があっさり槍で破壊されたのは、つい先刻のことだ。
(そうだ、あの槍)
ヤカン坊魔神の脳裏にエリヤが持つ槍がよぎる。
(あの槍があやつに力を与えているに違いない)
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