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第一章
22話 顛末
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□□
結局ジルたちを撒くことが出来なかった俺は、宴会に強制参加させられている。
振る舞われる料理や飲み物を口に入れても、幸い今のところ平気だ。
それだってどこまで大丈夫か、なんて保証もない。
呑気に銀色の子犬がじゃれついてくるのを時々引き剥がしながら、宴会場を抜け出そうと俺は隙を窺う。
『宴会は犠牲になった人たちへの弔いでもあるからね。ねぇ、聞いてる?エリヤ』
エメラルド色の精霊ジルが宴会のなんたるやを説明するが、そんなの俺がいなくたって出来る。
俺との遊びにやっと飽きたらしい子犬がようやく離れた。
宴会場は現界の座敷というのを模し、低いテーブルの上に寿司と呼ばれる色彩豊かな食べ物が並べられ、それを住人たちが銘々取り分けて幸せそうに食べている。
テーブル中央にはデカイ鯛がドンと置かれているのを見て俺は思った。
ジル、お前は知っているか。
現界のある国では『鯛』っていう魚は『めでたい』って駄洒落に使われるんだぞ、と。
座敷の上座辺りで行われているのは、明らかに『宴会芸』と呼ばれる代物だ。
まあいい。
空腹を癒す謎の液体はジルからせしめるのに成功している。
(しばらくはこれで問題なくサルティエラで活動できる)
『さあ、どんどん食べて、飲んでくださいエリヤ様!』
サルティエラの住人が勧めてくる。
みんなして俺を様付けで呼んできて鬱陶しい。
「さっきも言ったろ。様は付けなくていい」
『とんでもない!その様なわけには参りません』
魔神を倒しきりは出来なかったものの、大人しくさせたことだけでも恩に着ているらしかった。
□
□
一方のヤカン坊魔神ハテナは槍を奪おうと、エリヤたちの後をこっそりとつけて宴会場に紛れ込んでいた。
エリヤは宴会場の一角で座って差し出された料理を、精霊たちと一緒になって、呑気に頬張り寛いでいる。
その手元に槍はない。
(槍はどこだ?!)
ジルの復活は気になったが、それよりもヤカン坊魔神ハテナにとって槍を手に入れることの方が重要だった。
槍こそがエリヤの力の源だと信じて疑わないハテナは、躍起になって槍を探し、辺りに視線をさまよわせる。
すると座敷の出入り口付近のあまり人が通らない場所に、槍が立て掛けられているのに気がついた。
しかもエリヤたちから死角になる場所だ。
(バカなやつめ、大事な槍をあんなところに!)
このまま素早く槍に近づき、身体の大きさをもとに戻して槍を奪う。
あと一歩で槍に手が届く。
(わたしの勝ちだ!若造め!)
ヤカン坊魔神ハテナが確信した瞬間、突如黒い影が小さなヤカン坊魔神ハテナを覆った。
背後からかかる生暖かい息。
咄嗟に振り返るその視界に、大きく開いた口から覗く白い牙と赤い舌が映った。
─魔界へ戻り魔界王を打ち倒し、わたしが魔界の王として君臨する。
願い虚しく、ヤカン坊魔神ハテナの魂は人知れず消滅した。
結局ジルたちを撒くことが出来なかった俺は、宴会に強制参加させられている。
振る舞われる料理や飲み物を口に入れても、幸い今のところ平気だ。
それだってどこまで大丈夫か、なんて保証もない。
呑気に銀色の子犬がじゃれついてくるのを時々引き剥がしながら、宴会場を抜け出そうと俺は隙を窺う。
『宴会は犠牲になった人たちへの弔いでもあるからね。ねぇ、聞いてる?エリヤ』
エメラルド色の精霊ジルが宴会のなんたるやを説明するが、そんなの俺がいなくたって出来る。
俺との遊びにやっと飽きたらしい子犬がようやく離れた。
宴会場は現界の座敷というのを模し、低いテーブルの上に寿司と呼ばれる色彩豊かな食べ物が並べられ、それを住人たちが銘々取り分けて幸せそうに食べている。
テーブル中央にはデカイ鯛がドンと置かれているのを見て俺は思った。
ジル、お前は知っているか。
現界のある国では『鯛』っていう魚は『めでたい』って駄洒落に使われるんだぞ、と。
座敷の上座辺りで行われているのは、明らかに『宴会芸』と呼ばれる代物だ。
まあいい。
空腹を癒す謎の液体はジルからせしめるのに成功している。
(しばらくはこれで問題なくサルティエラで活動できる)
『さあ、どんどん食べて、飲んでくださいエリヤ様!』
サルティエラの住人が勧めてくる。
みんなして俺を様付けで呼んできて鬱陶しい。
「さっきも言ったろ。様は付けなくていい」
『とんでもない!その様なわけには参りません』
魔神を倒しきりは出来なかったものの、大人しくさせたことだけでも恩に着ているらしかった。
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一方のヤカン坊魔神ハテナは槍を奪おうと、エリヤたちの後をこっそりとつけて宴会場に紛れ込んでいた。
エリヤは宴会場の一角で座って差し出された料理を、精霊たちと一緒になって、呑気に頬張り寛いでいる。
その手元に槍はない。
(槍はどこだ?!)
ジルの復活は気になったが、それよりもヤカン坊魔神ハテナにとって槍を手に入れることの方が重要だった。
槍こそがエリヤの力の源だと信じて疑わないハテナは、躍起になって槍を探し、辺りに視線をさまよわせる。
すると座敷の出入り口付近のあまり人が通らない場所に、槍が立て掛けられているのに気がついた。
しかもエリヤたちから死角になる場所だ。
(バカなやつめ、大事な槍をあんなところに!)
このまま素早く槍に近づき、身体の大きさをもとに戻して槍を奪う。
あと一歩で槍に手が届く。
(わたしの勝ちだ!若造め!)
ヤカン坊魔神ハテナが確信した瞬間、突如黒い影が小さなヤカン坊魔神ハテナを覆った。
背後からかかる生暖かい息。
咄嗟に振り返るその視界に、大きく開いた口から覗く白い牙と赤い舌が映った。
─魔界へ戻り魔界王を打ち倒し、わたしが魔界の王として君臨する。
願い虚しく、ヤカン坊魔神ハテナの魂は人知れず消滅した。
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