天界送りのサルティエラ

いわみね

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第二章

28話 天界都市サルティエラの使命

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 ボクの名前はクラリス。
 天界都市の一つ、サルティエラに住んでいる土の精霊だ。
 赤い精霊はレミー、水の精霊。
 そして向こうにいる青い精霊とキレイな緑色の精霊がフランとジル。走り回っている銀色の子犬はハッサク。
 ジルの周りで飛び回っているのはウドンとシュトーレンとコンペイトウ。
 ゼリュースエリヤは赤い色が水の精霊で青い色が火の精霊なのを不思議がっている。
 ゼリュースは一度死んでしまって、最近ここに帰ってきたばかりだから色んなことを忘れてしまったんだ。
 だから今のゼリュースはエリヤって呼ばないとよほど気が向かない限り返事をしてくれない。
「クラリス!」
 “ハーイ”
 昔からゼリュースは誰かのいいなりになることを嫌ってきた。
 そんなゼリュースにボクはホンのすこし期待してしまっている。


 ◇
 ◇
 ◇

 天界に12ある街の一つ。
 通称『天界送りのサルティエラ』
 通常天界では生きられない魔界生まれでもサルティエラでなら生きることが出来る。
 ここは創造神イルミナの慈悲によって存在する天界都市。

 そして俺の名前はエリヤ。
 なんの因果か魔界で生まれ天界で死に、イルミナの力によって甦った。

「クラリス!」
 “ハーイ、呼んだ?”
 土の精霊クラリスが思ったより早く俺のもとに到着した。

「ああ、第5区の〈棟梁〉が家を建て直したいそうだ」
 “また?500年くらい使ってほしいんだけど”
「それは本人に言ってくれ」
 “しょうがないなー”
 そう言うとクラリスはトパーズ色の体をキラキラ光らせて飛んでいった。
「さて今日も出掛けるか」
 俺は支度を整えて部屋を出る。
 客人を出迎えに行くためだ。
 この仕事を終えたら一時いっとき現界へ向かう。

 “このあたりなり”

 うっすら光を放つポイントを指して精霊が言った。
「ジルは?」“もうすぐ来るのー”

 俺が迎える『客人』
 罪を犯して罰として天界へ送られるものたちを指してそう呼ぶ。
 天界に送られて罰になる客人と言えば、相場は決まっている。
 魔界生まれの住人だ。

 (暴れるようなら容赦はしない。俺はジルたちとは違う)

 粒子が集まるように形を成して光が強くなる。
エリヤ』ははじめて出迎える『客人』に自然肩に力が入る。

 “はやくこないかなー”“わー”“今度はどんなヒトなりかー”
 精霊たちが暢気に話している。
 (こないだの魔神騒動をもう忘れたのか)

 遅れてやってきたエメラルド色の精霊ジルが言った。
 ハッサクも付いてきている。
『エリヤ!そんなに怖い顔で出迎えちゃ可哀想だよ』
「お前たちは……」
 こうなったら俺だけでも真面目に殺るしかない。
「イルミナのやつ。予告もなしに客を寄越すとはどういう了見だ」
『啓示があって出迎えるほうが希なんだよ』
 “母様忙しい” “超多忙!” 『ヤン!』
 (嘘臭い……)

 魔界の王を怒らせて跳ばされて来た者。
 それを受け入れるのがサルティエラという天界都市にイルミナから与えられた使命。

 集まった光がはっきりと形を成した。
 影がなく存在が薄い。
 天界では実態を持たない、紛れもない魔界生まれの魂。
 眠ったように意識の無い状態だ。
 抜けるように白い肌、細いからだつき。
 (弱そうだが、魔力はそこそこある。なにをして跳ばされてきたかはわからないが油断はできない)

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