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日常
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朝起きてカーテンを開け、身支度を済ませて食事をする。
いつもと変わり映えしない生活。
つまらない生活。
会社へ向かうために列車に乗る。
また今日も部下から後輩への不満を聞かされて、その対応を考えなくてはいけないのか。
(つまらないなあ。こんな人生から早く抜け出したい)
人で混雑した列車の中で、ぎゅうぎゅうに圧されながらそう思った。背中や足に他の乗客の鞄やスーツケースが当たる。
すると同じように圧されている男が突然、耳元で囁くように聞いてきた。
「本当にそう思いますか?」
無意識に独り言にでもなっていたのだろうか。
上から下まで黒に見えるような濃紺のスーツ。
見覚えのない男の質問に答えず、しばらく無言で列車に揺られていると列車は自分が降りるはずの停車駅で止まらない。
列車を乗り間違ってしまった。
(なんてついてないんだろう)
男が再び囁いた。
「さっきの質問なんですがね、こんな人生から早く抜け出したい。本当にそう思いますか?」
男の囁きに今度は即答した。
「本気でそう思うよ!」
次の瞬間、視界が白くなった。
同時に奇妙な浮遊感を味わい、気がつくと体は線路に投げ出されていた。
「人が飛び降りたぞ!」
「キャー!」
前から列車が突っ込んでくる。
避けられない。
人成らざる声と瞳。
なぜもっと男を警戒しなかったのだろう?
抜け出したい。
ただそれだけだったはずだ。
それがどうして。
もっと朝食を味わっておけば良かった。
もっと。
──世界が暗転した。
いつもと変わり映えしない生活。
つまらない生活。
会社へ向かうために列車に乗る。
また今日も部下から後輩への不満を聞かされて、その対応を考えなくてはいけないのか。
(つまらないなあ。こんな人生から早く抜け出したい)
人で混雑した列車の中で、ぎゅうぎゅうに圧されながらそう思った。背中や足に他の乗客の鞄やスーツケースが当たる。
すると同じように圧されている男が突然、耳元で囁くように聞いてきた。
「本当にそう思いますか?」
無意識に独り言にでもなっていたのだろうか。
上から下まで黒に見えるような濃紺のスーツ。
見覚えのない男の質問に答えず、しばらく無言で列車に揺られていると列車は自分が降りるはずの停車駅で止まらない。
列車を乗り間違ってしまった。
(なんてついてないんだろう)
男が再び囁いた。
「さっきの質問なんですがね、こんな人生から早く抜け出したい。本当にそう思いますか?」
男の囁きに今度は即答した。
「本気でそう思うよ!」
次の瞬間、視界が白くなった。
同時に奇妙な浮遊感を味わい、気がつくと体は線路に投げ出されていた。
「人が飛び降りたぞ!」
「キャー!」
前から列車が突っ込んでくる。
避けられない。
人成らざる声と瞳。
なぜもっと男を警戒しなかったのだろう?
抜け出したい。
ただそれだけだったはずだ。
それがどうして。
もっと朝食を味わっておけば良かった。
もっと。
──世界が暗転した。
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