3 / 17
3
しおりを挟む
「初めまして、今日からリリアナ様にお仕えするフィネ・レイエスと申します。」
面接から一週間が経過し、最初の勤務日を迎えたフィネは主であるリリアナ、そして上司となる侍女長アリス、先輩となる侍女たちに頭を下げた。
「久しぶりね、フィネさん。いえ、ここではフィネと呼ぶわ。これからよろしくお願いするわ。」
「はい!リリアナ様!」
リリアナが言うとフィネは大きくうなづいた。
「侍女長様、なんともお淑やかさに欠ける子ですね。」
その後ろで一人の侍女がアリスにそう耳打ちした。
「あら、リズベットあなたもそうだったじゃない。フィネに限った話ではないわ。それにフィネのそういう所も私は好きよ。」
しっかりと声が聞こえていたリリアナは半身で振り返って言う。
「リリアナ様!そ、そんな好きだなんて!」
フィネは感激したように手で口を覆う。
「そ、そうでした。申し訳ございませんでした、リリアナ様、フィネさん。」
一方の侍女リズベットは以前の自分を思い出し、恥ずかしい思いに震えていた。
「フィネ、これだけは言っておくわ。ここで働くためにはまずこれを知っていて欲しいの。」
リリアナはフィネを見つめる。
「はい、何でしょうか?」
「ここで働いている子たちはみんながみんな貴族というわけではないのよ。」
リリアナの言葉にフィネは目を丸くする。
「え、でも皆さんとっても綺麗な所作です。平民には見えません。」
「ええ、そうでしょう。皆私に仕えるにふさわしい所作を独学で身に着けたのよ。私は別にいいと言っているのに。」
リリアナは振り返るとリズベットを手招きする。
「リズベットなんてその筆頭よ。平民出身でありながら貴族令嬢さながらの所作を半年で身に着けたのよ。さすがの私も驚いたわね。」
「そ、それは!リリアナ様の侍女として、リリアナ様の名を落とさないようにするためです。侍女が教育できているかどうか、それはすべて主であるリリアナ様の責任になってしまうのです。私のせいでリリアナ様が良縁を掴めなかったらと思うと心苦しくて。」
一般的に一国の姫の縁談を破談にしたら心苦しいではすまなくなる。
リズベットは恥ずかしそうに言った。
その様子をフィネはじ~っと見ていた。
「フィネさん、フィネさん。聞いてる?」
リリアナ専属の侍女と一口に言ってもその中には階級がある。
当然ながらそこに貴族だ、平民だという隔たりはないわけで。
侍女長含む上級侍女五名がリリアナの身の回りの世話をする。
中級侍女七名はリリアナが部屋にいない時間帯に部屋の掃除をする。
フィネを含む下級侍女九名はリリアナが住まう秋の宮全体を掃除する。
リリアナの部屋から退室したフィネと同僚となった先輩侍女リズベットは秋の宮の廊下を掃除道具を持って歩いていた。
「あ、ごめんなさいリズベットさん。聞いてませんでした。」
フィネは素直にリズベットに謝る。
「ほんと、フィネさんって素直だよね~。まあ、そういう所、貴族らしくないけど、侍女として勤めるならその性格は長所と言ってもいいと思う。」
リズベットの言葉にフィネはぱあっと笑顔になる。
「ほんとですか!?」
「その口調も。フィネさんって本当に貴族だったのか疑わせる言動が多いよね。」
「そう・・・ですか?あんまり意識したことはないです。私の祖国はそういうマナーにはあまりうるさくない国だったんです。」
「いい国なんですね。」
ふとフィネが立ち止まった。
「フィネさん?」
「あの、お願いがあって・・・。」
フィネがおずおずと言う。
「なんですか?」
振り返ったリズベットは首を傾げる。
「二つ・・・ほど。その、よかったら私に所作を教えてくれませんか!」
フィネは周りに響き渡る大声で言った。
何事かとリリアナの護衛騎士サーシャがやって来る。
「あ、サーシャ様。」
「今、リリアナ様は本を読んでいらっしゃいます。邪魔にならないよう小声で話してください。」
サーシャが来たことに気づいたリズベットは慌てて頭を下げる。
リズベットにならってフィネも頭を下げた。
「すみませんでした。」
「以後気をつければそれでいいです。」
サーシャは身をひるがえすとリリアナの部屋に戻っていく。
「それで、所作を教えて欲しいっていう話についてだけど・・・。」
「駄目・・・ですか?」
「私・・・駄目とは言ってないでしょ・・・?」
心配そうな表情をするフィネにリズベットは苦笑いをした。
「じゃ、じゃあ!」
ぱっと表情を変えたフィネにリズベットは言った。
「もちろん、可愛い後輩のお願いだもの。聞かない理由はないわ。いつにする?」
「そう・・・ですね。リズベット先輩が良ければ休憩時間とかに少しづつ・・・。」
「やる気満々ね。いいよ、それで。」
「ありがとうございます。」
フィネはペコリと頭を下げた。
「それで、もう一つって?」
「ええと、その。敬語をやめていいですか?私、あまり社交とか出たことないので敬語とか苦手なんです。それになんかちょっと・・・。」
「なんかちょっと?なぁに?」
「えっと・・・黙秘します。」
答えに詰まりフィネは黙秘を宣言した。
「ふふ、冗談だって。」
リズベットはクスクスと笑う。
「いいよ。私もその方が楽だし。じゃあ、フィネの担当のところに案内するね。」
リズベットはフィネを連れて、秋の宮のはじっこに連れて来た。
「ここって・・・?」
「ここは秋の宮の最東端のエリア『居住区』よ。リリアナ様に仕える侍女や侍従が住まうところよ。」
いくつもの扉がある。
「あなたの仕事はここの廊下を掃除すること。それが終わったら客間の掃除をするの。掃除の仕方はわかるよね?」
「はい。」
「じゃあさっき言った二つの掃除が終わったら玄関ホールに来て。お客様をお出迎えするときの作法を教えるから。」
リズベットはそう言うとその場をフィネに任せて去って行く。
「よーし、やるぞ!」
フィネは家具の埃をとり、廊下をほうきで掃き、花瓶の水を取り替えた。
廊下の掃除を終えるとフィネは客間に移動する。
客間は大体の場合建物の一階の玄関ホール付近にあることが多い。
「ええと、ここだよね・・・。」
フィネが客間に入ろうとして、そこで誰かに声をかけられた。
「そこの君、ちょっといいかな?」
玄関ホールの方から1人の貴族の男性がやって来る。
フィネはきょろきょろした後、そのまま客間に入ろうとする。
「いや、君だって。侍女の君。」
男性はフィネの腕を掴む。
「へっ!私ですか!?」
「いや、君以外にいないでしょ。」
驚くフィネに男性は呆れたような表情をした。
「リリアナ様今、部屋にいるかな?」
「えーと・・・い、いると思いますけど・・・。あなたはリリアナ様とどういう関係なんですか?」
フィネの警戒したような表情に気づいたのか男性の顔が強張った。
「え、君、もしかして僕のこと知らない?」
「はい、知るわけがないですね。私はリリアナ様一筋なので!」
自慢げに言ったフィネに男性は困惑気味に言った。
「ええと、君、この国の貴族だよね?黒髪は珍しいと思うんだけど。」
「私はアスタリカ皇国のレイエス伯爵家の娘です。」
「ああ、アスタリカ皇国の・・・。それなら知らなくても仕方がないね。」
男性は一つうなづくと自己紹介した。
「初めましてレディ、フィネ。私はアーサー・ルネ・フィオレンス。よろしくね。」
「あ、フィオレンス公爵家の現当主様!?」
今更気づきフィネは慌てて頭を下げた。
「名前と顔が一致せず誠に申し訳ありませんでした。」
「それってつまり名前は知ってるけど顔は知りませんよってことだよね。」
「・・・まさか!」
フィネはあははと笑った。
「それで、リリアナ様は今自室にいらっしゃるかな?」
気を取り直してアーサーは尋ねた。
「申し訳ありませんが、事前にお知らせ等されていますか?」
「うーん、昨日の夜侍従を通してしたはずなんだけど、伝わってなかったかな?」
「私は本日からリリアナ様にお仕えすることになった侍女ですのでそういう話は耳に入ってこないのです。ですので侍女長様に確認してまいりますので客間でお待ちください。」
一礼するとフィネは侍女長アリスの部屋がある一階の最東端に歩みを進めようとした。
「あ、待って待って。冗談だから。話はつけてないから。確認しに行かなくて結構だよ。それで、話を伝えに行ってくれるかな?」
慌ててアーサーはフィネを止めた。
「・・・私はしがない下級侍女でございますので公爵様のお言葉をお伝えすることは恐れ多いことでございますので辞退させていただきます。公爵様には必要ないかもしれませんがおひとつご忠告を。」
「・・・何かな?」
「リリアナ様はきざなセリフを言うような貴族令息が何よりも嫌いだそうですよ。」
「え・・・?」
固まったアーサーをおいて、一礼したフィネはそそくさと客間に入って行ってしまった。
面接から一週間が経過し、最初の勤務日を迎えたフィネは主であるリリアナ、そして上司となる侍女長アリス、先輩となる侍女たちに頭を下げた。
「久しぶりね、フィネさん。いえ、ここではフィネと呼ぶわ。これからよろしくお願いするわ。」
「はい!リリアナ様!」
リリアナが言うとフィネは大きくうなづいた。
「侍女長様、なんともお淑やかさに欠ける子ですね。」
その後ろで一人の侍女がアリスにそう耳打ちした。
「あら、リズベットあなたもそうだったじゃない。フィネに限った話ではないわ。それにフィネのそういう所も私は好きよ。」
しっかりと声が聞こえていたリリアナは半身で振り返って言う。
「リリアナ様!そ、そんな好きだなんて!」
フィネは感激したように手で口を覆う。
「そ、そうでした。申し訳ございませんでした、リリアナ様、フィネさん。」
一方の侍女リズベットは以前の自分を思い出し、恥ずかしい思いに震えていた。
「フィネ、これだけは言っておくわ。ここで働くためにはまずこれを知っていて欲しいの。」
リリアナはフィネを見つめる。
「はい、何でしょうか?」
「ここで働いている子たちはみんながみんな貴族というわけではないのよ。」
リリアナの言葉にフィネは目を丸くする。
「え、でも皆さんとっても綺麗な所作です。平民には見えません。」
「ええ、そうでしょう。皆私に仕えるにふさわしい所作を独学で身に着けたのよ。私は別にいいと言っているのに。」
リリアナは振り返るとリズベットを手招きする。
「リズベットなんてその筆頭よ。平民出身でありながら貴族令嬢さながらの所作を半年で身に着けたのよ。さすがの私も驚いたわね。」
「そ、それは!リリアナ様の侍女として、リリアナ様の名を落とさないようにするためです。侍女が教育できているかどうか、それはすべて主であるリリアナ様の責任になってしまうのです。私のせいでリリアナ様が良縁を掴めなかったらと思うと心苦しくて。」
一般的に一国の姫の縁談を破談にしたら心苦しいではすまなくなる。
リズベットは恥ずかしそうに言った。
その様子をフィネはじ~っと見ていた。
「フィネさん、フィネさん。聞いてる?」
リリアナ専属の侍女と一口に言ってもその中には階級がある。
当然ながらそこに貴族だ、平民だという隔たりはないわけで。
侍女長含む上級侍女五名がリリアナの身の回りの世話をする。
中級侍女七名はリリアナが部屋にいない時間帯に部屋の掃除をする。
フィネを含む下級侍女九名はリリアナが住まう秋の宮全体を掃除する。
リリアナの部屋から退室したフィネと同僚となった先輩侍女リズベットは秋の宮の廊下を掃除道具を持って歩いていた。
「あ、ごめんなさいリズベットさん。聞いてませんでした。」
フィネは素直にリズベットに謝る。
「ほんと、フィネさんって素直だよね~。まあ、そういう所、貴族らしくないけど、侍女として勤めるならその性格は長所と言ってもいいと思う。」
リズベットの言葉にフィネはぱあっと笑顔になる。
「ほんとですか!?」
「その口調も。フィネさんって本当に貴族だったのか疑わせる言動が多いよね。」
「そう・・・ですか?あんまり意識したことはないです。私の祖国はそういうマナーにはあまりうるさくない国だったんです。」
「いい国なんですね。」
ふとフィネが立ち止まった。
「フィネさん?」
「あの、お願いがあって・・・。」
フィネがおずおずと言う。
「なんですか?」
振り返ったリズベットは首を傾げる。
「二つ・・・ほど。その、よかったら私に所作を教えてくれませんか!」
フィネは周りに響き渡る大声で言った。
何事かとリリアナの護衛騎士サーシャがやって来る。
「あ、サーシャ様。」
「今、リリアナ様は本を読んでいらっしゃいます。邪魔にならないよう小声で話してください。」
サーシャが来たことに気づいたリズベットは慌てて頭を下げる。
リズベットにならってフィネも頭を下げた。
「すみませんでした。」
「以後気をつければそれでいいです。」
サーシャは身をひるがえすとリリアナの部屋に戻っていく。
「それで、所作を教えて欲しいっていう話についてだけど・・・。」
「駄目・・・ですか?」
「私・・・駄目とは言ってないでしょ・・・?」
心配そうな表情をするフィネにリズベットは苦笑いをした。
「じゃ、じゃあ!」
ぱっと表情を変えたフィネにリズベットは言った。
「もちろん、可愛い後輩のお願いだもの。聞かない理由はないわ。いつにする?」
「そう・・・ですね。リズベット先輩が良ければ休憩時間とかに少しづつ・・・。」
「やる気満々ね。いいよ、それで。」
「ありがとうございます。」
フィネはペコリと頭を下げた。
「それで、もう一つって?」
「ええと、その。敬語をやめていいですか?私、あまり社交とか出たことないので敬語とか苦手なんです。それになんかちょっと・・・。」
「なんかちょっと?なぁに?」
「えっと・・・黙秘します。」
答えに詰まりフィネは黙秘を宣言した。
「ふふ、冗談だって。」
リズベットはクスクスと笑う。
「いいよ。私もその方が楽だし。じゃあ、フィネの担当のところに案内するね。」
リズベットはフィネを連れて、秋の宮のはじっこに連れて来た。
「ここって・・・?」
「ここは秋の宮の最東端のエリア『居住区』よ。リリアナ様に仕える侍女や侍従が住まうところよ。」
いくつもの扉がある。
「あなたの仕事はここの廊下を掃除すること。それが終わったら客間の掃除をするの。掃除の仕方はわかるよね?」
「はい。」
「じゃあさっき言った二つの掃除が終わったら玄関ホールに来て。お客様をお出迎えするときの作法を教えるから。」
リズベットはそう言うとその場をフィネに任せて去って行く。
「よーし、やるぞ!」
フィネは家具の埃をとり、廊下をほうきで掃き、花瓶の水を取り替えた。
廊下の掃除を終えるとフィネは客間に移動する。
客間は大体の場合建物の一階の玄関ホール付近にあることが多い。
「ええと、ここだよね・・・。」
フィネが客間に入ろうとして、そこで誰かに声をかけられた。
「そこの君、ちょっといいかな?」
玄関ホールの方から1人の貴族の男性がやって来る。
フィネはきょろきょろした後、そのまま客間に入ろうとする。
「いや、君だって。侍女の君。」
男性はフィネの腕を掴む。
「へっ!私ですか!?」
「いや、君以外にいないでしょ。」
驚くフィネに男性は呆れたような表情をした。
「リリアナ様今、部屋にいるかな?」
「えーと・・・い、いると思いますけど・・・。あなたはリリアナ様とどういう関係なんですか?」
フィネの警戒したような表情に気づいたのか男性の顔が強張った。
「え、君、もしかして僕のこと知らない?」
「はい、知るわけがないですね。私はリリアナ様一筋なので!」
自慢げに言ったフィネに男性は困惑気味に言った。
「ええと、君、この国の貴族だよね?黒髪は珍しいと思うんだけど。」
「私はアスタリカ皇国のレイエス伯爵家の娘です。」
「ああ、アスタリカ皇国の・・・。それなら知らなくても仕方がないね。」
男性は一つうなづくと自己紹介した。
「初めましてレディ、フィネ。私はアーサー・ルネ・フィオレンス。よろしくね。」
「あ、フィオレンス公爵家の現当主様!?」
今更気づきフィネは慌てて頭を下げた。
「名前と顔が一致せず誠に申し訳ありませんでした。」
「それってつまり名前は知ってるけど顔は知りませんよってことだよね。」
「・・・まさか!」
フィネはあははと笑った。
「それで、リリアナ様は今自室にいらっしゃるかな?」
気を取り直してアーサーは尋ねた。
「申し訳ありませんが、事前にお知らせ等されていますか?」
「うーん、昨日の夜侍従を通してしたはずなんだけど、伝わってなかったかな?」
「私は本日からリリアナ様にお仕えすることになった侍女ですのでそういう話は耳に入ってこないのです。ですので侍女長様に確認してまいりますので客間でお待ちください。」
一礼するとフィネは侍女長アリスの部屋がある一階の最東端に歩みを進めようとした。
「あ、待って待って。冗談だから。話はつけてないから。確認しに行かなくて結構だよ。それで、話を伝えに行ってくれるかな?」
慌ててアーサーはフィネを止めた。
「・・・私はしがない下級侍女でございますので公爵様のお言葉をお伝えすることは恐れ多いことでございますので辞退させていただきます。公爵様には必要ないかもしれませんがおひとつご忠告を。」
「・・・何かな?」
「リリアナ様はきざなセリフを言うような貴族令息が何よりも嫌いだそうですよ。」
「え・・・?」
固まったアーサーをおいて、一礼したフィネはそそくさと客間に入って行ってしまった。
20
あなたにおすすめの小説
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
あなたのことなんて、もうどうでもいいです
もるだ
恋愛
舞踏会でレオニーに突きつけられたのは婚約破棄だった。婚約者の相手にぶつかられて派手に転んだせいで、大騒ぎになったのに……。日々の業務を押しつけられ怒鳴りつけられいいように扱われていたレオニーは限界を迎える。そして、気がつくと魔法が使えるようになっていた。
元婚約者にこき使われていたレオニーは復讐を始める。
【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。
木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。
「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」
シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。
妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。
でも、それなら側妃でいいのではありませんか?
どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?
勝手に勘違いして、婚約破棄したあなたが悪い
猿喰 森繁
恋愛
「アリシア。婚約破棄をしてほしい」
「婚約破棄…ですか」
「君と僕とでは、やはり身分が違いすぎるんだ」
「やっぱり上流階級の人間は、上流階級同士でくっつくべきだと思うの。あなたもそう思わない?」
「はぁ…」
なんと返したら良いのか。
私の家は、一代貴族と言われている。いわゆる平民からの成り上がりである。
そんなわけで、没落貴族の息子と政略結婚ならぬ政略婚約をしていたが、その相手から婚約破棄をされてしまった。
理由は、私の家が事業に失敗して、莫大な借金を抱えてしまったからというものだった。
もちろん、そんなのは誰かが飛ばした噂でしかない。
それを律儀に信じてしまったというわけだ。
金の切れ目が縁の切れ目って、本当なのね。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
お馬鹿な聖女に「だから?」と言ってみた
リオール
恋愛
だから?
それは最強の言葉
~~~~~~~~~
※全6話。短いです
※ダークです!ダークな終わりしてます!
筆者がたまに書きたくなるダークなお話なんです。
スカッと爽快ハッピーエンドをお求めの方はごめんなさい。
※勢いで書いたので支離滅裂です。生ぬるい目でスルーして下さい(^-^;
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる