ヒロインがヒロインをしてくれません~我儘王子との結婚なんてごめんです~

ルー

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シュナイダー侯爵家

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そして、その日のうちにトリシアはラリシエルとローズリアを連れて公爵家から出て行った。

その足で教会によった。

「これはこれは、リトラ公爵夫人!ようこそおいでくださいました。本日はなに用でございますでしょうか?」

中から出て来た司教は深々と頭を下げる。

「大司教様はいらっしゃるかしら?」

「大司教様ですか?かしこまりました。こちらでお待ちください。」

トリシアは教会の応接室に通された。

「先日ぶりですね、トリシア。」

現れたのは教会の主でありトップでもある大司教オルレン・ハッシュ。

男性でありながら女性のようなその美貌は多くの貴族令嬢、貴族令息を虜にしてきた。

ちなみにハッシュ大公家の当主でもある。

「オルレン様、突然の訪問申し訳ありません。」

「そんな、かしこまらないでください。」

「そういうわけにはいきません。私は公爵様と離縁するのですから。」

そう言ってトリシアはオルレンに離縁届を渡した。

まじまじと離縁届を見たオルレンの口が弧を描いた。

「それなら仕方がありませんね・・・。」

オルレンは至極残念そうに言った。

「それでは・・・。」

「ええ、離縁届は受理します。」

オルレンは離縁届に魔力印を押すとにっこりとほほ笑んだ。

「離縁するのなら実家に戻るのですか?確か子が2人いましたね?」

「はい、ラリシエルとローズリアです。」

トリシアの言葉にオルレンは言った。

「再婚は考えていませんか?」

「今のところはまだです。」

トリシアの返事にオルレンは少し残念そうな表情をした。

「そういえばラリシエル嬢は第一王子との婚約話が上がっていませんでしたか?」

「ええ、ですけれど離縁するのならこの話はなくなると思います。お兄様も優しい方ですからきっと追い出さないで別邸にでもおいてくれると思いますし。」

「辛くなったらいつでも言ってくださいね。絶対に助けに行きますから。あと、再婚相手を決める前に1度その方の名前を教えてください。あなたに相応しいか調べますので。」

「そこまでしていただけるだなんて。光栄です。ありがとうございます。」

トリシアは深々と頭を下げると部屋を辞した。

馬車に戻ったトリシアは子供たちに言った。

「今から行くところは私の実家であるシュナイダー侯爵家よ。今の当主は私のお兄様なのだけど少し厳しい方だわ。多分別邸にはおいてもらえると思うのだけど・・・。」

トリシアの表情が沈む。そしてしばらくして、馬車がとまった。

「お帰り、トリシア。」

馬車の扉が突然開いた。

「お、お兄様・・・。」

そこに立っていたのがトリシアの兄でありシュナイダー侯爵家の当主でもあるヴィンセントだった。



――――――――――――――――――――
8月13日の分まで予約しました。登場人物にヒロインの名前を入れるのを忘れていました。追加しておきました。
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