ヒロインがヒロインをしてくれません~我儘王子との結婚なんてごめんです~

ルー

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どうしてこうなった sideロイド

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妻が、トリシアが公爵家を出て行った。

今、俺はとても後悔していた。

あんな冷たいトリシアなんて今まで見たこともなかった。

差別?

当然だろ?

ローズリアはトリシアに似て可愛い。

だがラリシエルは俺に似たのかちっとも可愛くない。

やっぱ可愛いほうを溺愛したくなるだろう?

トリシアが出て行ったのはラリシエルのせいだ。

ああ、そうだ。

ラリシエルが一生結婚できないように醜聞でも社交界に広めてくるか?

そうしたらトリシアも泣いて謝るだろう。

そうしたら俺は優しくトリシアを抱きしめてこう言うんだ。

「かわいそうなトリシア。俺が慰めてやるよ。」

それで俺と再婚してローズリアも戻ってくる。

醜聞であるラリシエルは領地にでも閉じ込めておけばいい。

フッ。

やっぱ俺って天才。

じゃ、さっそくアヴェインに今来ている夜会の招待状がないか聞いてみよう。

俺は鈴を鳴らして執事であるアヴェインを呼んだ。

「お呼びですか、旦那様。」

「今俺宛に来ている招待状はあるか?」

「申し訳ありません。奥様宛ならば何通か来ておりますが、旦那様宛には1通も来ておりません。」

なんだと!?

ふざけるな!!

このリトラ公爵家を敵に回したいのか!?

こうなったらトリシアの招待状を使って行くとするか。

どうせまだ離縁の噂はたっていないだろうからな!

「トリシアの招待状はどこからだ?」

「ティセリカ公爵家のジュリ様とハッシュ大公家のオルレン大司教様。エルバン侯爵家のヒルデ様とアサルト伯爵家のエミリー様んです。」

なんと・・・!?

あの宰相の娘からだと!?

挙句は大司教様であせられるオルレン様から?

ヒルデと言えばエルバン侯爵家の三女だなあ。

アサルト伯爵家は代々宰相補佐官を輩出している名家。

うーん、どれがいいだろうか?

「・・・旦那様。まさかですが。まさか、奥様の、トリシア様の招待状を使って行くつもりですか?」

なんと・・・!!

さすがアヴェイン。

私の考えを見抜くとは。

「そうだ。まだ離縁の噂はたっていないだろう。妻は体調不良で出られないから私が代わりに来たとでも言えば良かろう。」

「・・・旦那様。私は犯罪を犯す気はございません。まことに残念ですが本日、今この時を持ちまして執事の職を辞させていただきます。」

は?は?は!?

「ふざけてるのか!?」

こいつは!なんていうことを・・・!!

「貴様!!私への恩を忘れたか!?」

「残念ですが旦那様。私がいつ旦那様に恩義を感じるようになったのでしょうか?私がここに今までずっと勤めいたのは私の実家が執事家だったからです。しかし、トリシア様が私を雇ってくださるとそう言ってくださいました。申し訳ございませんが後任はご自分でお探しください。それでは失礼します。」

こうしてアヴェインも去って行ってしまった。

なんなのだ、あの男は!

無礼にも程があるぞ!

俺の家には執事はアヴェインしかいなかった。

今、我が公爵家には執事は1人もいない。

俺は執務机の上に置かれた4枚の招待状を見た。

返事は自分でするしかない。

とりあえず行かなければ何も始まらない。

そうだ、オルレン様は公平な御方。

きっと俺のことを正しいとそう認めてくださるはず。

毎年俺の名で多額の寄付をしているからな。

きっと何があっても守ってくださるはず。

こうして俺はハッシュ大公家のオルレン様に返事を送った。

まさかそれが破滅への一歩になるとは知らずに。
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