ヒロインがヒロインをしてくれません~我儘王子との結婚なんてごめんです~

ルー

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王子の言葉2

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「だそうだがラリシエル、いいか?」

王子からの命令に近い言葉にさすがのヴィンセントも逆らえずラリシエルに尋ねた。

「・・・はい。私は大丈夫です。」

ラリシエルが大きくうなづき、ヴィンセントはアンドリューに向き直った。

「くれぐれもラリシエルを泣かせないでくださいね。」

そう言い残すとヴィンセントは部屋から出て行き、同じく護衛騎士も出た。

扉が閉められ、部屋にはアンドリューとラリシエルしかいなかった。

「お前、俺との婚約がそんなに嫌なのか?」

アンドリューの質問にラリシエルは何だそんなことかと思いながら答えた。

「はい。嫌です。」

簡潔の述べられた答えにアンドリューは不満そうな顔をした。

「俺のどこが嫌だ?行ってみろ。」

「そういう我儘で傲慢な所です。」

すぐに返ってきた答えにアンドリューは少し不機嫌そうな表情になった。

「お前の所のシュナイダー侯爵家と王家で取り決めが決まった。内容は知ってるな?」

「はい、当然知っております。私が学園を卒業するまでに婚約解消したいという気持ちに変わりがなければ婚約解消ができるようになるということですよね?」

「ああ、そうだ。だが、俺は・・・。」

アンドリューはラリシエルを睨むように見た。

「俺は絶対にお前との婚約を解消なんてさせない!」

「・・・は?」

なに言ってるんだというようにラリシエルがアンドリューを見るがアンドリューはそのまま言い切った。

「俺は傲慢でも我儘でもなくなる!そしたら俺のことを、その・・・好きになってくれるか?」

頬を染めながらアンドリューが言った一言にラリシエルは固まった。

(今、なんて言った?)

「・・・考えておきます。」









「それで?なにを言われたんだい?」

帰りの馬車で浮かない顔をするラリシエルにヴィンセントは尋ねた。

ラリシエルは部屋でアンドリューに言われた言葉をヴィンセントに伝えた。

「くふふっ!それは面白い、愉快だね!!」

意味が分からず首をかしげるラリシエル。

恋愛には疎いのである。

「はは、どう変わるのか楽しみだな。」

ヴィンセントはそれはそれは楽しそうに言った。









その日の夕食の時間にラリシエルは同じ話をローズリアとトリシアにもした。

「お姉様、それって。」

「ローズリア、言っては駄目よ。本人に自力で気づかせなきゃ意味ないでしょ。」

ローズリアの言葉をトリシアは止める。

「お母様、言ってください。分からないです。」

「うふふ、頭の良いあなたでも恋愛事には疎いのね。秘密よ秘密。大きくなったらきっと分かるわ。王子殿下の変化に期待ってところかしら。」

トリシアはそう言うとそうだ、と手を叩いた。

「そういえば私とお兄様で今度夜会に行ってくるわね。ええと3日後なんだけど。ハッシュ大公家の大司教様。ほら離縁届の件でお世話になった方。」

「離縁届の件だけじゃなくていつもおせわになってるじゃないお母様。」

ラリシエルの言葉にトリシアはくすっと笑った。

「ええ、そうね。だから感謝を込めて夜会に出ることにしたのよ。」

「いいなぁお母様。私も行きたい。」

ローズリアが期待したような目でトリシアを見た。

「ごめんなさい、ローズリア。王宮でのデビュタントをしていない令嬢は夜会に出席できないのよ。」

「むぅ、不満。」

ローズリアはぎゅっとラリシエルに抱き着いた。

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