10 / 15
王子の言葉2
しおりを挟む
「だそうだがラリシエル、いいか?」
王子からの命令に近い言葉にさすがのヴィンセントも逆らえずラリシエルに尋ねた。
「・・・はい。私は大丈夫です。」
ラリシエルが大きくうなづき、ヴィンセントはアンドリューに向き直った。
「くれぐれもラリシエルを泣かせないでくださいね。」
そう言い残すとヴィンセントは部屋から出て行き、同じく護衛騎士も出た。
扉が閉められ、部屋にはアンドリューとラリシエルしかいなかった。
「お前、俺との婚約がそんなに嫌なのか?」
アンドリューの質問にラリシエルは何だそんなことかと思いながら答えた。
「はい。嫌です。」
簡潔の述べられた答えにアンドリューは不満そうな顔をした。
「俺のどこが嫌だ?行ってみろ。」
「そういう我儘で傲慢な所です。」
すぐに返ってきた答えにアンドリューは少し不機嫌そうな表情になった。
「お前の所のシュナイダー侯爵家と王家で取り決めが決まった。内容は知ってるな?」
「はい、当然知っております。私が学園を卒業するまでに婚約解消したいという気持ちに変わりがなければ婚約解消ができるようになるということですよね?」
「ああ、そうだ。だが、俺は・・・。」
アンドリューはラリシエルを睨むように見た。
「俺は絶対にお前との婚約を解消なんてさせない!」
「・・・は?」
なに言ってるんだというようにラリシエルがアンドリューを見るがアンドリューはそのまま言い切った。
「俺は傲慢でも我儘でもなくなる!そしたら俺のことを、その・・・好きになってくれるか?」
頬を染めながらアンドリューが言った一言にラリシエルは固まった。
(今、なんて言った?)
「・・・考えておきます。」
「それで?なにを言われたんだい?」
帰りの馬車で浮かない顔をするラリシエルにヴィンセントは尋ねた。
ラリシエルは部屋でアンドリューに言われた言葉をヴィンセントに伝えた。
「くふふっ!それは面白い、愉快だね!!」
意味が分からず首をかしげるラリシエル。
恋愛には疎いのである。
「はは、どう変わるのか楽しみだな。」
ヴィンセントはそれはそれは楽しそうに言った。
その日の夕食の時間にラリシエルは同じ話をローズリアとトリシアにもした。
「お姉様、それって。」
「ローズリア、言っては駄目よ。本人に自力で気づかせなきゃ意味ないでしょ。」
ローズリアの言葉をトリシアは止める。
「お母様、言ってください。分からないです。」
「うふふ、頭の良いあなたでも恋愛事には疎いのね。秘密よ秘密。大きくなったらきっと分かるわ。王子殿下の変化に期待ってところかしら。」
トリシアはそう言うとそうだ、と手を叩いた。
「そういえば私とお兄様で今度夜会に行ってくるわね。ええと3日後なんだけど。ハッシュ大公家の大司教様。ほら離縁届の件でお世話になった方。」
「離縁届の件だけじゃなくていつもおせわになってるじゃないお母様。」
ラリシエルの言葉にトリシアはくすっと笑った。
「ええ、そうね。だから感謝を込めて夜会に出ることにしたのよ。」
「いいなぁお母様。私も行きたい。」
ローズリアが期待したような目でトリシアを見た。
「ごめんなさい、ローズリア。王宮でのデビュタントをしていない令嬢は夜会に出席できないのよ。」
「むぅ、不満。」
ローズリアはぎゅっとラリシエルに抱き着いた。
王子からの命令に近い言葉にさすがのヴィンセントも逆らえずラリシエルに尋ねた。
「・・・はい。私は大丈夫です。」
ラリシエルが大きくうなづき、ヴィンセントはアンドリューに向き直った。
「くれぐれもラリシエルを泣かせないでくださいね。」
そう言い残すとヴィンセントは部屋から出て行き、同じく護衛騎士も出た。
扉が閉められ、部屋にはアンドリューとラリシエルしかいなかった。
「お前、俺との婚約がそんなに嫌なのか?」
アンドリューの質問にラリシエルは何だそんなことかと思いながら答えた。
「はい。嫌です。」
簡潔の述べられた答えにアンドリューは不満そうな顔をした。
「俺のどこが嫌だ?行ってみろ。」
「そういう我儘で傲慢な所です。」
すぐに返ってきた答えにアンドリューは少し不機嫌そうな表情になった。
「お前の所のシュナイダー侯爵家と王家で取り決めが決まった。内容は知ってるな?」
「はい、当然知っております。私が学園を卒業するまでに婚約解消したいという気持ちに変わりがなければ婚約解消ができるようになるということですよね?」
「ああ、そうだ。だが、俺は・・・。」
アンドリューはラリシエルを睨むように見た。
「俺は絶対にお前との婚約を解消なんてさせない!」
「・・・は?」
なに言ってるんだというようにラリシエルがアンドリューを見るがアンドリューはそのまま言い切った。
「俺は傲慢でも我儘でもなくなる!そしたら俺のことを、その・・・好きになってくれるか?」
頬を染めながらアンドリューが言った一言にラリシエルは固まった。
(今、なんて言った?)
「・・・考えておきます。」
「それで?なにを言われたんだい?」
帰りの馬車で浮かない顔をするラリシエルにヴィンセントは尋ねた。
ラリシエルは部屋でアンドリューに言われた言葉をヴィンセントに伝えた。
「くふふっ!それは面白い、愉快だね!!」
意味が分からず首をかしげるラリシエル。
恋愛には疎いのである。
「はは、どう変わるのか楽しみだな。」
ヴィンセントはそれはそれは楽しそうに言った。
その日の夕食の時間にラリシエルは同じ話をローズリアとトリシアにもした。
「お姉様、それって。」
「ローズリア、言っては駄目よ。本人に自力で気づかせなきゃ意味ないでしょ。」
ローズリアの言葉をトリシアは止める。
「お母様、言ってください。分からないです。」
「うふふ、頭の良いあなたでも恋愛事には疎いのね。秘密よ秘密。大きくなったらきっと分かるわ。王子殿下の変化に期待ってところかしら。」
トリシアはそう言うとそうだ、と手を叩いた。
「そういえば私とお兄様で今度夜会に行ってくるわね。ええと3日後なんだけど。ハッシュ大公家の大司教様。ほら離縁届の件でお世話になった方。」
「離縁届の件だけじゃなくていつもおせわになってるじゃないお母様。」
ラリシエルの言葉にトリシアはくすっと笑った。
「ええ、そうね。だから感謝を込めて夜会に出ることにしたのよ。」
「いいなぁお母様。私も行きたい。」
ローズリアが期待したような目でトリシアを見た。
「ごめんなさい、ローズリア。王宮でのデビュタントをしていない令嬢は夜会に出席できないのよ。」
「むぅ、不満。」
ローズリアはぎゅっとラリシエルに抱き着いた。
30
あなたにおすすめの小説
帰還した聖女と王子の婚約破棄騒動
しがついつか
恋愛
聖女は激怒した。
国中の瘴気を中和する偉業を成し遂げた聖女を労うパーティで、王子が婚約破棄をしたからだ。
「あなた、婚約者がいたの?」
「あ、あぁ。だが、婚約は破棄するし…」
「最っ低!」
あなたが婚約破棄したいと言うから、聖女を代替わりしたんですよ?思い通りにならなくて残念でしたね
相馬香子
恋愛
わたくし、シャーミィは婚約者である第一王子のラクンボ様に、婚約破棄を要求されました。
新たに公爵令嬢のロデクシーナ様を婚約者に迎えたいそうです。
あなたのことは大嫌いだから構いませんが、わたくしこの国の聖女ですよ?聖女は王族に嫁ぐというこの国の慣例があるので、婚約破棄をするには聖女の代替わりが必要ですが?
は?もたもたせずにとっととやれと?
・・・もげろ!
婚約破棄は予定調和?その後は…
しゃーりん
恋愛
王太子の17歳の誕生日パーティーで婚約者のティアラは婚約破棄を言い渡された。
これは、想定していたことであり、国王も了承していたことであった。
その後の予定が国王側とティアラ側で大幅に違っていた?
女性が一枚上手のお話です。
聖女が帰らなかったので婚約は破棄された
こうやさい
恋愛
殿下はわたくしとの婚約を破棄して聖女と結婚なさるそうです。
いや『聖女は帰らなかったけど婚約は破棄された』の時に、聖女が帰らない婚約破棄の場合はふつー違うよなと考えた話。けどこれもなんかずれてる気が。
直接的に関係はないです。
プロフィール少し編集しました。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/678728800
運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。
ぽんぽこ狸
恋愛
気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。
その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。
だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。
しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。
五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
【完結】わたしは大事な人の側に行きます〜この国が不幸になりますように〜
彩華(あやはな)
恋愛
一つの密約を交わし聖女になったわたし。
わたしは婚約者である王太子殿下に婚約破棄された。
王太子はわたしの大事な人をー。
わたしは、大事な人の側にいきます。
そして、この国不幸になる事を祈ります。
*わたし、王太子殿下、ある方の視点になっています。敢えて表記しておりません。
*ダークな内容になっておりますので、ご注意ください。
ハピエンではありません。ですが、救済はいれました。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる