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五歳に戻るらしいです

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「お嬢様。起きてください。朝ですよ。」

懐かしい声。

確かこの声はナターシャだったかしら?

あら、でもナターシャは私が皇太子妃になって離宮に追いやられたことで皇太子殿下に不満を訴えて殺されてしまったのではなかったかしら?

もしかして、これは神様が見せてくれる夢なのかしら?

『変なことを言っていないで私の話をよく聞きなさい。』

「あら、どちら様?」

『死ぬ間際に必死にお願いしてきたというのに私の声をもう忘れたのか!?』

「まぁ、それは申し訳ございませんわ。ってあの時の声とそっくりですわね。」

『いや、だからそうだと言っているだろう・・・。』

あら、ちゃんと聞いていなかったわ、ごめんなさい。

『まったく何がごめんなさい、だ。』

「心を読まれた・・・?」

『神にはたやすいことだ。とりあえずもう時間がないから手短に話す。よく聞きなさい。』

時間が、ない?

『ハル、そなたはあの生の時を遡った五歳からスタートする。そして皇太子シオン・・・そなたの元夫だな、彼には前世、つまり君が自殺したときの記憶を持っている。』

ええっと、つまり?

『どういう行動をとるのか分からない。またアレは君が自殺した後のことも知っている。あの未来を引き起こさないように慎重に行動してくるだろうが十分に注意しなさい。』

アレ・・・って殿下のことよね。

すごい呼び方だわ。

私もこれからアレと呼ぼうかしら。

『・・・本人の前ではやめてあげなさい。泣くぞ。』

殿下が泣こうが喚こうが痛くもかゆくもないので。

『少し彼がかわいそうに見えて来たな・・・。』

失礼な!!

『話を戻そう。もしアレが拗らせて襲ってきたとき用に護衛として精霊を向かわせよう。またいつでも話せるよう加護を授けておく。』

え、待って。それって・・・。

『君の想像通りだ。隠してもいいが公表してもいい。最後に、君は家族に愛されていないと勘違いしているようだから、一つだけ。おせっかいと言われるかもしれないけれど聞いてほしい。』

お父様たちがどうかしたのかしら?

『彼らは君を愛していたよ。愛するという言い方は不適切だね。溺愛していたよ。』

ええっ。それは嘘だと思います。

『そうそう。彼らも前の記憶を持っている。前よりも溺愛に拍車がかかっているかもしれないがそこは見なかったことにしてあげなさい。』

・・・どういうこと?

「お嬢様!いつまで寝ているんですか!!」

ナターシャだわ。

『彼女は・・・まさか。やはり、そうか。』

ちょっと一人で納得してないで教えてよね。

『そうだね。もう少し時が経ってから教えるとしよう。』

ん?

なんか体が透けているような・・・?

『そろそろタイムリミットだね。じゃあ、二度目の人生。楽しんでね。』

声がどんどん遠くなる。

まだまだ聞きたいことはいっぱいあるのに。

「お嬢様!!いい加減にしてください!!」
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