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一周目の時間軸では(1)side皇太子シオン
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更新が遅くなり申し訳ありません。更新できなかった三話を連続で出したいと思います。お気に入り登録してくださると執筆の励みになります。平日は更新できない日があるかもしれません。その場合は土日にまとめて更新したいと思います。
ここからはしばらく一周目の時間軸でのお話になります。最後までお付き合いくださるとうれしいです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
そんなつもりはなかった。
まさかハルが自殺するとは思わなかった。
本当はリーシャにお願いされて、ただ何かしら理由をつけて頬を叩いて終わりにするつもりだった。
なのにこんなことになるなんて。
久しぶりに会ったハルは少しやつれていた。
痩せていて、型の古いドレスに身を包んでいた。
連れてきている侍女は明らかに身分の低い侍女たちだった。
それを理由にしてハルの頬を叩いて、すぐにハルから何らかの反応があると思っていた。
だけど、ハルはずっと黙っていた。
下を向いて、叩いた頬をおさえていた。
いつまでも何も言わないハルにしびれを切らした。
「・・・そんなに私のことが憎いのですね。」
やっと口を開いたかと思えば出てきた言葉はどこか諦めたような言葉だった。
だから、思わず言っていた。
「誰が憎いと言った?リーシャが、シャトレッタ男爵令嬢ではなく、ルトルバード侯爵家に養女として入ることになったからお前は用済みだから出て行けと言ったんだ。」
リーシャが顔色を変えて、慌てて僕の服の裾を引っ張る。
ルトルバード侯爵家なんて存在しない。
僕が勝手に作った仮想の侯爵家。
とっさに口に出たありもしない家名。
ハルの表情が凍った。
こいつ、何を言ってるんだというような表情で何も言わずただただ固まっている。
不意に諦めたように笑うと言った。
「分かりました、殿下。ですが殿下、あんまりだとは思いませんか?もう、私、笑って許すことなんてできません。」
その言葉にん?と思った。
もう、笑って許すことはできない。
確かに今、そう言った。
何故だかとても嫌な予感がした。
そして、それは的中してしまった。
「一生後悔してください、殿下。」
あっという間だった。
すぐ側に立っていた私の護衛である近衛騎士のヒューリーの剣を抜くと自らの胸に突き刺したのだ。
とめる暇はなかった。
「ハル!?」
ぎょっとして慌てて駆け寄った。
何故命を絶とうとしたのかがわからなかった。
「ハル!なんで?どうして!!」
リーシャが僕の側でおろおろとしていた。
ヒューリーは血の気の引いた顔でただ立ち尽くしている。
その後、僕とリーシャはそれぞれの自室に戻された。
二日後のことだった。
僕は父である国王陛下に呼ばれ、謁見の間に来ていた。
ここからはしばらく一周目の時間軸でのお話になります。最後までお付き合いくださるとうれしいです。
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そんなつもりはなかった。
まさかハルが自殺するとは思わなかった。
本当はリーシャにお願いされて、ただ何かしら理由をつけて頬を叩いて終わりにするつもりだった。
なのにこんなことになるなんて。
久しぶりに会ったハルは少しやつれていた。
痩せていて、型の古いドレスに身を包んでいた。
連れてきている侍女は明らかに身分の低い侍女たちだった。
それを理由にしてハルの頬を叩いて、すぐにハルから何らかの反応があると思っていた。
だけど、ハルはずっと黙っていた。
下を向いて、叩いた頬をおさえていた。
いつまでも何も言わないハルにしびれを切らした。
「・・・そんなに私のことが憎いのですね。」
やっと口を開いたかと思えば出てきた言葉はどこか諦めたような言葉だった。
だから、思わず言っていた。
「誰が憎いと言った?リーシャが、シャトレッタ男爵令嬢ではなく、ルトルバード侯爵家に養女として入ることになったからお前は用済みだから出て行けと言ったんだ。」
リーシャが顔色を変えて、慌てて僕の服の裾を引っ張る。
ルトルバード侯爵家なんて存在しない。
僕が勝手に作った仮想の侯爵家。
とっさに口に出たありもしない家名。
ハルの表情が凍った。
こいつ、何を言ってるんだというような表情で何も言わずただただ固まっている。
不意に諦めたように笑うと言った。
「分かりました、殿下。ですが殿下、あんまりだとは思いませんか?もう、私、笑って許すことなんてできません。」
その言葉にん?と思った。
もう、笑って許すことはできない。
確かに今、そう言った。
何故だかとても嫌な予感がした。
そして、それは的中してしまった。
「一生後悔してください、殿下。」
あっという間だった。
すぐ側に立っていた私の護衛である近衛騎士のヒューリーの剣を抜くと自らの胸に突き刺したのだ。
とめる暇はなかった。
「ハル!?」
ぎょっとして慌てて駆け寄った。
何故命を絶とうとしたのかがわからなかった。
「ハル!なんで?どうして!!」
リーシャが僕の側でおろおろとしていた。
ヒューリーは血の気の引いた顔でただ立ち尽くしている。
その後、僕とリーシャはそれぞれの自室に戻された。
二日後のことだった。
僕は父である国王陛下に呼ばれ、謁見の間に来ていた。
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