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一周目の時間軸では(2)side皇太子シオン
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「リーシャ!?」
謁見の間にはドレスを着たリーシャが気まずそうに立っていた。
「シオン、様・・・。」
リーシャは視線をそらすと、俯いた。
「リーシャ、どうした?なにがあった?」
僕がどれだけ聞いても、リーシャは何も答えなかった。
「シオン。そんなにその女にいれこんでいるのね。」
不意に母上の声が聞こえた。
この国の王妃である母上はこの国の公爵家出身だ。
「・・・母上。」
久しぶりに見る母上は表情はとても冷たかった。
後ろからおずおずとついてくる父上はちらちらと母上の表情をうかがっている。
「お前は最低です。女の敵です。陛下もそろってグルだっただなんて。あなたたちには失望しました。」
母上の言葉はもっともだったのだろう。
だけど僕はリーシャのことを愛していた。
「お飾りの皇太子妃だなんて。それに皇太子としての仕事も任せっきりにして・・・。」
「皇太子の仕事・・・?」
なんのことだか分からなかった。
そんなもの皇太子になってから一度もやっていない。
「・・・まさか・・・。あなたやってないの!?」
母上が怒るのを見るのは久しぶりだった。
「は、はい。皇太子になってから一度もやってないです。そもそもあることすら知りませんでした。」
本当だ。
あることすら知らなかった。
「そ、そんな・・・。」
もう、母上は怒る気力すら失せたのかうなだれた。
「すまないナディア。私が悪いのだ。皇太子の執務をハルに押し付けたのは私なのだ。」
不意に父上が言った。
次の瞬間、パンッという音が謁見の間に響き渡った。
「あなたはなんて人なんですか!?あの子をどこまで馬鹿にすれば気がすむの!?もともと、あの子だってお飾りの皇太子妃になるために嫁いできたんじゃないのよ!?つらい皇太子妃教育を乗り越えて、人並みの幸せを期待していたというのに・・・。もう、エヴィルナに合わせる顔がないわ。」
母上が泣くのは初めて見た。
「すまない・・・。」
父上はそれしか言えなかった。
「もう、あなたとは離婚します!これ以上、あなたとともに人生を歩むだなんてごめんですわ。」
母上の言葉に初めて父上が焦った。
「待ってくれ!!悪かったと思っている。だからどうか離婚だけは考え直してくれ。」
「冗談もほどほどになさって!?なにが悪かったと思っている、ですの?あなた達のせいで一つの命が失われたのですよ!?」
父上の言葉は母上を怒らせただけだった。
「それに、サザランド帝国の皇帝陛下にはなんと伝えるんですの!?あの方はハルのことを好いていた。なのに、浮気して死なせただなんてことが知られたら、どうなるのか。もう、ラピスラズリ大帝国は終わりですわ。」
母上が嘆き悲しむ。
「・・・あの。」
その時リーシャが恐る恐る手をあげた。
「・・・何かしら。」
母上の冷たい目がリーシャ一人に降り注ぎ、リーシャは体を震わせながら言った。
「本当に申し訳ありませんでした!!」
勢いよく土下座したリーシャに驚いた。
お前が土下座する必要はないんだよ、と言おうとして、でも言う事は叶わなかった。
「謝ってすむことならわざわざ呼ばないわ!!あなた自身、何をしたか分かっているの!?男爵家の娘ごときが公爵家出身のハルに向かってなんてことを・・・。」
母上は絶望していた。
その時だった。
「皇帝陛下、皇后陛下。ルディリーナ公爵家の皆様がいらっしゃいました。」
扉の向こうから聞こえた騎士の言葉に母上は崩れ落ちた。
「ごめんなさいエヴィルナ。」
「ナディアよ。ちゃんとしなければ・・・。」
おろおろと父上が言うと、母上は父上を睨みつけ、立ち上がった。
「あなたに言われなくてもそうするつもりでした。」
謁見の間にはドレスを着たリーシャが気まずそうに立っていた。
「シオン、様・・・。」
リーシャは視線をそらすと、俯いた。
「リーシャ、どうした?なにがあった?」
僕がどれだけ聞いても、リーシャは何も答えなかった。
「シオン。そんなにその女にいれこんでいるのね。」
不意に母上の声が聞こえた。
この国の王妃である母上はこの国の公爵家出身だ。
「・・・母上。」
久しぶりに見る母上は表情はとても冷たかった。
後ろからおずおずとついてくる父上はちらちらと母上の表情をうかがっている。
「お前は最低です。女の敵です。陛下もそろってグルだっただなんて。あなたたちには失望しました。」
母上の言葉はもっともだったのだろう。
だけど僕はリーシャのことを愛していた。
「お飾りの皇太子妃だなんて。それに皇太子としての仕事も任せっきりにして・・・。」
「皇太子の仕事・・・?」
なんのことだか分からなかった。
そんなもの皇太子になってから一度もやっていない。
「・・・まさか・・・。あなたやってないの!?」
母上が怒るのを見るのは久しぶりだった。
「は、はい。皇太子になってから一度もやってないです。そもそもあることすら知りませんでした。」
本当だ。
あることすら知らなかった。
「そ、そんな・・・。」
もう、母上は怒る気力すら失せたのかうなだれた。
「すまないナディア。私が悪いのだ。皇太子の執務をハルに押し付けたのは私なのだ。」
不意に父上が言った。
次の瞬間、パンッという音が謁見の間に響き渡った。
「あなたはなんて人なんですか!?あの子をどこまで馬鹿にすれば気がすむの!?もともと、あの子だってお飾りの皇太子妃になるために嫁いできたんじゃないのよ!?つらい皇太子妃教育を乗り越えて、人並みの幸せを期待していたというのに・・・。もう、エヴィルナに合わせる顔がないわ。」
母上が泣くのは初めて見た。
「すまない・・・。」
父上はそれしか言えなかった。
「もう、あなたとは離婚します!これ以上、あなたとともに人生を歩むだなんてごめんですわ。」
母上の言葉に初めて父上が焦った。
「待ってくれ!!悪かったと思っている。だからどうか離婚だけは考え直してくれ。」
「冗談もほどほどになさって!?なにが悪かったと思っている、ですの?あなた達のせいで一つの命が失われたのですよ!?」
父上の言葉は母上を怒らせただけだった。
「それに、サザランド帝国の皇帝陛下にはなんと伝えるんですの!?あの方はハルのことを好いていた。なのに、浮気して死なせただなんてことが知られたら、どうなるのか。もう、ラピスラズリ大帝国は終わりですわ。」
母上が嘆き悲しむ。
「・・・あの。」
その時リーシャが恐る恐る手をあげた。
「・・・何かしら。」
母上の冷たい目がリーシャ一人に降り注ぎ、リーシャは体を震わせながら言った。
「本当に申し訳ありませんでした!!」
勢いよく土下座したリーシャに驚いた。
お前が土下座する必要はないんだよ、と言おうとして、でも言う事は叶わなかった。
「謝ってすむことならわざわざ呼ばないわ!!あなた自身、何をしたか分かっているの!?男爵家の娘ごときが公爵家出身のハルに向かってなんてことを・・・。」
母上は絶望していた。
その時だった。
「皇帝陛下、皇后陛下。ルディリーナ公爵家の皆様がいらっしゃいました。」
扉の向こうから聞こえた騎士の言葉に母上は崩れ落ちた。
「ごめんなさいエヴィルナ。」
「ナディアよ。ちゃんとしなければ・・・。」
おろおろと父上が言うと、母上は父上を睨みつけ、立ち上がった。
「あなたに言われなくてもそうするつもりでした。」
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