自殺したお飾り皇太子妃は復讐を望む ~二周目の君は変われない~

ルー

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一周目の時間軸では(5)sideルディリーナ公爵

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「お父様、私シオン殿下に嫁ぎたくない。」

娘がそう言ってきたのは婚約する直前のことだった。

五歳の誕生日パーティーでハルを見初めた皇太子が婚約できる七歳になると同時に皇帝陛下にお願いした。

皇帝陛下にとって皇太子はたった一人の可愛い息子だ。

そんな皇太子のお願いを断るわけがなかった。

王命で婚約の話が出たとき、娘は泣いて嫌がった。

「第一印象が最悪なのよ。初めてあった人にあんなことを平気で言える人なんかと結婚したくないわ!」

でも、王命を拒否すれば我が公爵家がどうなるか分からない。

婚約を渋る私のもとに皇太子が自らやってきて、頭を下げてお願いしてきた。

必死にお願いする皇太子の娘への想いが嘘だとはどうしても思えなかった。

もし皇太子妃になれば、娘は幸せになれるだろうと思い込んでいた。

娘が嫌がるのは王太子妃教育が嫌なだけだろう、そう思い込んでいた。

でも、実際は違った。

皇宮から帰って、婚約した旨を伝えると、娘はその目に絶望の感情をみせた。

「お父様、どうして?どうしてですの?私、婚約したくないって!」

「すまない。だが皇太子殿下は本当にお前のことを想っているようだ。あの感情が嘘だとはどうしても思えない。それに、皇太子妃になれば将来が安定する。きっと幸せになれるだろう。」

「そんなっ!!どうして!私嫌だって言ったのに!!」

娘は泣いた。

そのまま部屋に閉じこもってしまった。

けれど皇太子の婚約者になったのだから将来の皇太子妃の教育を行わなければならない。

嫌がる娘を見て、こういった。

「ハル、皇太子妃教育が嫌なのはわかるが、我儘を言ってはダメだ。お前を想ってくれている殿下のためにも精進しなさい。」

その一言にハルの表情が凍り付いた。

「お父様は、何も、分かってない。私は、皇太子妃教育が嫌なんじゃない。皇太子様と結婚するのが嫌なのに。」

ハルはぽろぽろと涙をこぼし、ハルの専属侍女であるナターシャがものすごい形相で睨みつけてくる。

「お嬢様。泣いても仕方がありません。とりあえず準備をしましょう。行っても、殿下に会わなければいいだけですから。」

ハルはコクリとうなづくと、準備をし、挨拶もそこそこに皇宮に行ってしまった。

なぜ、ハルが皇太子を嫌うのかがわからなかった。



本日は二話か三話ほど更新したいと思います。最後までお付き合いくださるとうれしいです。
よかったらお気に入り登録もしてくださるとうれしいです。
あともう少しで一周目の時間軸での話が終わります。あと六話以内で一周目の時間軸での話を終わりにできればいいなと思っています。
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