姫将軍は身がもたない!~四人の夫、二人のオトコ~

あこや(亜胡夜カイ)

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萌芽 6.

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 体も思考も煽られ、幾度となく極めさせられて、もうずっと私の口はだらしなく空いたまま。
 唾液を垂らして嬌声を上げるか、夫の名を呼ぶことしかできなくなっている。

 「ああ!…っひ、あ!」

 じゅぶっ、と濁った卑猥な水音は、湯がばしゃんと波立つ音に、幸いにしてかき消された。
 熟れ切った柔襞を熱い剛直に貫かれる。
 浅いところを角度を変えて苛め抜かれ、快感と物足りなさに腰を揺らせば、次の瞬間、ひときわ深々と獰猛に抉られて昇りつめる。 
 彼と共に湯殿へ入ってから、何度も、何度も。

 浅く湯が張られていて、寝湯が楽しめる造りの浴槽。そんな、本来ならのんびりリラックスすべきところで、私は仰向けになったオルギールの上に同じく仰向けで体を繋いでいる。

 オルギールのものを後ろから捻じ込まれ、あられもなく開かされた足の間では彼の右手が添えられて、その指は敏感な快感の芽を執拗に嬲っている。左腕を私の上肢に巻きつけ、羽交い絞めにしながら、胸をわしづかみ、揉みしだき、頂きを捻り上げる。
 リア、リア、と熱い吐息と共に、オルギールは馬車の中でのそれより何倍も激しく、淫らに私の耳朶を舐め、しゃぶり尽くし、うなじにまで唇と舌を這わせている。


 ──温まりましょうか、との言葉に引っかかりを覚えたのだけれど、やはり予想通りの展開になってしまって現在に至る。

 二人で馬車で帰って来て、「到着しました」と告げられたそこは、当然というべきかヘデラ城。
 オルギールの居城だ。

 今年から筆頭公爵はシグルド様になっていて、格段にレオン様の外出が増えてしまったから、ひとりぼっちが嫌な私は、エヴァンジェリスタ城以外の所へ行くことが増えた。

 グラディウスの取り決めで、筆頭公爵である間は公都・アルバを離れないことになっているから、結果的にシグルド様のお城にいることが多いのだけれど、どこのお城へ身を寄せても夫たちと顔を合わせる頻度は変わらないことを、今は実感している。つまり、外交で公都を離れているとき以外は私のいるところに夫たちが集まるから、当然なのかもしれない。 

 もともと私が居たエヴァンジェリスタ城、オーディアル城、ラムズフェルド城。三公爵の城に加えて、彼らは四番目の夫であるオルギールのヘデラ城にも何のためらいもなく集結する。

 ──そして、今も。

 「……まだ宵の口だが。なんとまあ」

 湯殿の入口あたりから、あきれたような、感心したような微妙なニュアンスの声がした。
 それに反応を返すより早く、濡れた床を踏みしめる足音が近づいてきて、体を重ねる私達の傍らに気配が立った。
 気配、というのは、私はもう首を動かす気力も残っていないからだ。
 感じて、声をあげて、達する。
 その繰り返しがずっと続いていて、そこから先の思考が停止している。
 新たに入ってきた夫の顔を見上げることすらできない。

 「オルギール。リヴェアを無駄に疲れさせていないか?」

 いちおう発言の内容は非難めいてはいるけれど、微苦笑をはらんだその声は、決して不機嫌なものではない。
 少しひんやりとしたすべすべの手で、涙や涎やもろもろに塗れた頬をそっと撫でられた。
 恥ずかしいと思う気力も理性も残っていない。
 湯殿のむわっとした湿気と、オルギールから与えられる絶頂と快感で火照った肌をたどる手がなんとも心地よい。

 「ユリアス様、お早いお戻りで」

 オルギールは私を愛撫する手を止めないまま言った。
 声だけ聴いていればまさかこんなことをしているとは誰も思わないだろう。そんな声。

 「まだ一刻ほどは後かと思っておりましたが」
 「早く切り上げたんだ」

 シュル、と微かな音がして、白いローブがふわりと床に落ちた。
 ユリアスが纏っていたものを脱ぎ捨てたらしい。
 気配が、さらに近づいた。

 「思ったほど時間がかからなくてな。それに今日のリヴェアの予定は、午後は茶会だけだったろう?早く終わればそれだけ長く一緒に過ごせると思ったんだ」
 「予定よりもお戻りが遅かったのですよ」
 「は、ああ!」

 オルギールの指が、咎めるように私の敏感な粒を摘まんだ。
 腰が跳ねて、またばしゃんと音を立ててお湯が波立つ。
 そのままゆるゆると撫でられ、私はまた顔を左右に振って喘いだ。

 「知ってる。だから迎えに出たんだろう?」
 「ええ」
 「や、ああん、やあ……」

 胎内に納められたままのそれがまた動き出して、だらしのない甘えた声が自分の口から漏れるのを止められない。

 「なぜ遅れた、リヴェア?」
 「ああああん!」

 じゅうっと強く胸の先を吸われた。
 仰向けになった私の胸元に、ユリアスが顔を寄せている。
 視線を下げると、ユリアスの欲情に濡れた暗緑色の瞳と目が合った。
 黒褐色の髪が湯殿の湿気を含んで、彼の白い額にしっとりと落ちかかっている。
 匂い立つような彼の色気にあてられて、自分の恥ずかしい格好も忘れて見入ってしまう。

 「あの、ユリ、アス、ごめんなさ、い……あ!」
 「心配させるな、リヴェア」

 ユリアスの両手が私の胸を捕まえた。
 指の間に尖りを挟まれ、捩じられ、激しく揉みしだかれる。
 オルギールよりも温度の高い舌が、唇が、胸の谷間を這いまわる。尖りを吸い上げ、咥えて、歯をあてられる。
 オルギールの楔に繋がれ、中心を嬲られたまま。
 常ならばブレーキ役になってくれるはずのユリアスなのに、今は執着する私の胸を執拗に翻弄している。
 長時間に及ぶ行為で全身が性感帯のようになっている私には、いっそ拷問のよう。

 「ごめんなさい、いや、やだあ、もう、お風呂では、や……っ!」 
 「──ユリアス様」

 オルギールは半身を起こすと同時に、ずるりと自身を引き抜いた。
 もう止めてほしいとあんなにも強く願っていたのに、突然の喪失感に私のそこはひくひくと震えている。
 もう頭の中がぐちゃぐちゃで、疼くそこをどうしてよいかわからずに、私は緩慢に腰を揺らした。

 「なんだ、オルギール」

 私の体勢が変わったので、ユリアスもいったん身を起こした。
 名残惜しそうに胸をじっとりと舐めあげてから、のろのろと顔を上げる。

 「交代か?」
 「いえ、ユリアス様」

 ふふ、と吐息だけで笑んで、オルギールは私のうなじに唇をあてた。
 私を片手抱きに切り替え、空いた手で傍らの小瓶に手を伸ばす。
 香油の蓋を開けたのだろう。一瞬、酩酊するほどの薔薇の香りが立ち込める。 

 「ご一緒に」

 私を抱いたまま立ち上がると、大きな手でお尻を撫でられ、尻肉を割られて。

 「リア、力を抜いて」
 「あ、やあああああ!!」

 お尻から彼自身を埋め込まれた。
 硬い、熱いものが後ろから侵入する。

 痛みはない。
 オルギールの淫魔のような愛撫に蕩かされ尽くしていて、私の体は既に快感しか拾わないようになっている。薔薇の香油を纏ったそれは快楽という名の凶器だ。 

 「大丈夫ですよ、リア。私を、感じて」

 オルギールはうなじを舐めながら囁く。
 小刻みに腰を動かしている。

 お尻の行為は、好きか嫌いかと言われればそれほど好きではない。
 どうしても倫理観とか衛生観念とかよけいな考えが邪魔をするから。
 けれど、絶倫の夫を四人も持つ私は、後ろも利用できないと到底彼らを満足させられないし(身も蓋もないけれど効率の問題である)、それに正直に言えば、理性は邪魔をしても体はとっくに受け入れている。それが気持ちの良いことだと体は理解をしている。

 だから。

 ぬちぬちといやらしい抽挿の音を聞きながら、私は促されるままに前に回ったユリアスの肩に手をかけて、求められるままに腰を浮かし、抱えられ、足を開いて。

 「!!はあ、あああああん!」
 「リヴェア!!」

 前から、ユリアスが入ってきた。
 私を穿ち、突き上げ、揺れる胸をしゃぶり尽くす。
 寄せた両胸のはざまも舐めまわし、高い鼻梁を擦りつけ、頬を滑らせる。
 オルギールは私の両足を抱え、開かせて、後ろから私を責め立てる。
 交互に、同時に。灼熱の二本の楔が私を貫き、狂うほどの悦楽を刻み込む。

 湯殿の中は声が響く。だからできれば湯殿での行為は止めてといつも私はお願いするのだけれど(聞き入れられたことなど皆無だけれど)、そんな私にわずかに残された羞恥心も、かすかなためらいも、全て放り捨てて私は喘ぎ続ける。

 やがて。
 オルギールとユリアスがほとんど同時に低く呻き、静止した。
 リア、リヴェア、と熱く、甘く囁きかける。
 喘ぎ疲れた唇をはくはくと動かすと、繰り返し口づけが与えられる。
 喉奥に送り込まれる唾液と、二人の放った熱の奔流を感じながら、私はそっと目を閉じた。

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