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連載
7.-24
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さすがは鉄の町、ウルブスフェル。
製鉄には大量の水が不可欠であり、だからこそ良港を要するウルブスフェルは栄えているわけだが、山に抱かれ、陸路も整備されたこの町は、当然、生活用水にも事欠かない。
だから、高級旅籠、特別室の浴室ともなれば、浴槽は広いしお湯も適温にされたものがふんだんに満たされ、循環させてあって、元の世界の温泉施設みたいに壁の装飾からひっきりなしに新しいお湯が注ぎこまれている。
私はそんなお風呂場の、広い大理石の浴槽の中で、オルギールに抱きしめられ、長い手足で絡めとられながら、いつ果てるともないくちづけに身を委ねていた。
よく、「噛みつくような」と、激しいくちづけを表現するけれど、それはあまりにただの力任せなのだと、思い知らされた。オルギールのそれはとてもとても激しいとはいえ、「噛みつくような」暴力的なものでは全くなかったのだ。
まさに、官能、としかいいようのないくちづけ。
ぴったりと、隙間なく唇を重ねたかと思えば、ほんのわずか、距離ができると、生き物のように蠢く舌で、唇を、歯列を、口腔内を、私の舌の裏も表も、余すところなく、延々と、執拗になぞられ、啜られ、味わいつくされる。溢れる唾液は、ただの一滴も口の端から零れることはなく、吐息も、抵抗の声も、理性も、全て、飲み込まれてしまう。
レオン様からうけるくちづけは、激しいものも、甘いものも、いつだって充足感と幸福感で脳が痺れるほどに私を満たしてくれるけれど、オルギールのそれは全く異なっていた。理性も、分別も、倫理観も、何もかも根こそぎもってゆかれてしまう。手練手管に長けた女性なら、楽しむ余裕があるのかもしれないが、少なくとも私にとっては、くちづけだけで完全に支配されてしまう。
今の私は、ただの女、ただの淫獣だ。
お湯は長湯向きにとてもぬるめにしてあって、ながいこと湯船につかっているのにのぼせることはなさそうだ。というより、とっくに、オルギールから受ける行為によってのぼせあがっていたと思う。
気が付けば、私はオルギールの上に跨らせられ、両手を彼の首に回し、縋りつくようにしながら互いの唇を貪り、貪られていた。
リヴェア様、と、ずいぶん長い時間が経ってから、オルギールは甘く、私の名をよんだ。
一瞬も離れていたくないと言わんばかりに、絶えず、私の唇を尖らせた舌でなぞっている。
返事の代わりに、私は彼の舌をちょっと吸い上げて、自分の頬を彼の大理石みたいな頬に、猫のように摺り寄せた。
たぶん、もう頭がおかしくなっているのだろう。・・・からだの中心は、とっくにお湯ではないものが溢れているのがわかる。疼いて、もどかしくて、私はオルギールの上で腰を揺らした。
ごつごつして、痛いくらいに張り詰めたものが、私のそこにあたっている。下穿きを身に着けたままのオルギールはとてもつらいはずだ。
私のはしたない行動も、オルギールには予測の内、というより、彼の期待どおりだったようだ。
オルギールは淫靡に微笑んで、もう一度、リヴェア様、と言って。
「!?んあああ!!」
唐突な刺激に、私はのけぞって声を上げた。
彼の長い指が、いちどに何本も、私の秘所に深々と埋め込まれていた。
そのまま、いいように掻きまわされ、指で膣壁を擦り上げられる。
じゅぶじゅぶとお湯の中で抜き差しされ、水圧で締まるそこは常よりも一層きつく蠢く彼の指を締め上げる。
「ああ、あん!!あああああん!」
「気持ちいいですか、リヴェア様」
こんなに淫らなことをしながら、オルギールは、穏やかにさえも聞こえる、優しい声で囁いた。
熱を持った紫の瞳が私を射抜く。いや、私が発熱しているからそう見えるのかも。こんなにも煌めく、あやかしのような紫はみたことがない。
「オルギール、オルギール、・・・!」
「可愛い、美しい、・・・とてもみだらなリヴェア様」
唇をはなれた彼の舌は、そのまま私の顎、喉元、鎖骨へと伝ってゆき、のけぞる私がオルギールに押し付ける恰好になっている胸へとたどり着いた。
私の中を探る手はそのままに、もう片方の手が私の胸を下から持ち上げる。
「真珠色の、宝玉のようですね」
胸の重みと、弾力を楽しむように揉みしだきながら、その先端を指でつまみ、擦られた。
そして、そっと口に含まれる。ねろり、と舌で舐め上げ、押し潰し、ちゅう、と吸われた。
「あああんん!!」
「・・・宝玉は冷たいが、あなたは・・・柔らかくて、温かい」
真っ赤に膨れた胸の頂きを、びちゃびちゃと音を立てて舐め回され、吸い上げ、甘噛みをされて、またからだが跳ね上がる。
狂ったように、喘ぎ、悶えて、意味を成す言葉と言えば、オルギール、と彼の名をよぶことしかできない。
ばしゃん、ばしゃん、とお湯が揺れて波を作り、音を立てる。
「ひあ!」
思考が、焼ける。私の秘所を犯しながら、親指が飛び出した肉粒を愛撫する。
「オルギール、もう、だめ、もう、オルギール、死んじゃう、やあああ!!」
ずぶり、と、一際深く、指が突きこまれた。
「死なせるものですか、あなたを」
指の抽送が、陰核を転がす指が、胸を味わう舌が、手が、力強さを増してゆく。
蜜が止まらない。恐怖するほどの快感に涙が零れる。
「ただ、溺れていればいい、リヴェア様。・・・至上の、快楽に」
「オルギール!・・・オル、ギール・・・!・・・」
力強く、指を突き上げられ、私の下肢は、逆に下へと押さえこまれて。
オルギールに胸を差し出すようにして背中を反らせながら、私は絶頂を迎えた。
製鉄には大量の水が不可欠であり、だからこそ良港を要するウルブスフェルは栄えているわけだが、山に抱かれ、陸路も整備されたこの町は、当然、生活用水にも事欠かない。
だから、高級旅籠、特別室の浴室ともなれば、浴槽は広いしお湯も適温にされたものがふんだんに満たされ、循環させてあって、元の世界の温泉施設みたいに壁の装飾からひっきりなしに新しいお湯が注ぎこまれている。
私はそんなお風呂場の、広い大理石の浴槽の中で、オルギールに抱きしめられ、長い手足で絡めとられながら、いつ果てるともないくちづけに身を委ねていた。
よく、「噛みつくような」と、激しいくちづけを表現するけれど、それはあまりにただの力任せなのだと、思い知らされた。オルギールのそれはとてもとても激しいとはいえ、「噛みつくような」暴力的なものでは全くなかったのだ。
まさに、官能、としかいいようのないくちづけ。
ぴったりと、隙間なく唇を重ねたかと思えば、ほんのわずか、距離ができると、生き物のように蠢く舌で、唇を、歯列を、口腔内を、私の舌の裏も表も、余すところなく、延々と、執拗になぞられ、啜られ、味わいつくされる。溢れる唾液は、ただの一滴も口の端から零れることはなく、吐息も、抵抗の声も、理性も、全て、飲み込まれてしまう。
レオン様からうけるくちづけは、激しいものも、甘いものも、いつだって充足感と幸福感で脳が痺れるほどに私を満たしてくれるけれど、オルギールのそれは全く異なっていた。理性も、分別も、倫理観も、何もかも根こそぎもってゆかれてしまう。手練手管に長けた女性なら、楽しむ余裕があるのかもしれないが、少なくとも私にとっては、くちづけだけで完全に支配されてしまう。
今の私は、ただの女、ただの淫獣だ。
お湯は長湯向きにとてもぬるめにしてあって、ながいこと湯船につかっているのにのぼせることはなさそうだ。というより、とっくに、オルギールから受ける行為によってのぼせあがっていたと思う。
気が付けば、私はオルギールの上に跨らせられ、両手を彼の首に回し、縋りつくようにしながら互いの唇を貪り、貪られていた。
リヴェア様、と、ずいぶん長い時間が経ってから、オルギールは甘く、私の名をよんだ。
一瞬も離れていたくないと言わんばかりに、絶えず、私の唇を尖らせた舌でなぞっている。
返事の代わりに、私は彼の舌をちょっと吸い上げて、自分の頬を彼の大理石みたいな頬に、猫のように摺り寄せた。
たぶん、もう頭がおかしくなっているのだろう。・・・からだの中心は、とっくにお湯ではないものが溢れているのがわかる。疼いて、もどかしくて、私はオルギールの上で腰を揺らした。
ごつごつして、痛いくらいに張り詰めたものが、私のそこにあたっている。下穿きを身に着けたままのオルギールはとてもつらいはずだ。
私のはしたない行動も、オルギールには予測の内、というより、彼の期待どおりだったようだ。
オルギールは淫靡に微笑んで、もう一度、リヴェア様、と言って。
「!?んあああ!!」
唐突な刺激に、私はのけぞって声を上げた。
彼の長い指が、いちどに何本も、私の秘所に深々と埋め込まれていた。
そのまま、いいように掻きまわされ、指で膣壁を擦り上げられる。
じゅぶじゅぶとお湯の中で抜き差しされ、水圧で締まるそこは常よりも一層きつく蠢く彼の指を締め上げる。
「ああ、あん!!あああああん!」
「気持ちいいですか、リヴェア様」
こんなに淫らなことをしながら、オルギールは、穏やかにさえも聞こえる、優しい声で囁いた。
熱を持った紫の瞳が私を射抜く。いや、私が発熱しているからそう見えるのかも。こんなにも煌めく、あやかしのような紫はみたことがない。
「オルギール、オルギール、・・・!」
「可愛い、美しい、・・・とてもみだらなリヴェア様」
唇をはなれた彼の舌は、そのまま私の顎、喉元、鎖骨へと伝ってゆき、のけぞる私がオルギールに押し付ける恰好になっている胸へとたどり着いた。
私の中を探る手はそのままに、もう片方の手が私の胸を下から持ち上げる。
「真珠色の、宝玉のようですね」
胸の重みと、弾力を楽しむように揉みしだきながら、その先端を指でつまみ、擦られた。
そして、そっと口に含まれる。ねろり、と舌で舐め上げ、押し潰し、ちゅう、と吸われた。
「あああんん!!」
「・・・宝玉は冷たいが、あなたは・・・柔らかくて、温かい」
真っ赤に膨れた胸の頂きを、びちゃびちゃと音を立てて舐め回され、吸い上げ、甘噛みをされて、またからだが跳ね上がる。
狂ったように、喘ぎ、悶えて、意味を成す言葉と言えば、オルギール、と彼の名をよぶことしかできない。
ばしゃん、ばしゃん、とお湯が揺れて波を作り、音を立てる。
「ひあ!」
思考が、焼ける。私の秘所を犯しながら、親指が飛び出した肉粒を愛撫する。
「オルギール、もう、だめ、もう、オルギール、死んじゃう、やあああ!!」
ずぶり、と、一際深く、指が突きこまれた。
「死なせるものですか、あなたを」
指の抽送が、陰核を転がす指が、胸を味わう舌が、手が、力強さを増してゆく。
蜜が止まらない。恐怖するほどの快感に涙が零れる。
「ただ、溺れていればいい、リヴェア様。・・・至上の、快楽に」
「オルギール!・・・オル、ギール・・・!・・・」
力強く、指を突き上げられ、私の下肢は、逆に下へと押さえこまれて。
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