モブキャラ男子の恋愛事情

大吉祭り

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モブキャラ男子にも出会いを

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 高校二年の初日が終わり、帰宅途中。
 だけど、正直今日起きたことのほとんどは覚えていない。

 だって隣が学年一人気の女の子だぞ!?
 運がいいのか悪いのかわからない。

 隣の席ってだけで、男子から恨まれるかもしれない。
 もしそうなったら……嫌だなぁ。

 それに彼女の席は壁側で、いよいよ隣には僕一人。
 同じ気持ちを味わう人もいない。
 ……そうだな、これは運が悪かった。

 だいたい、ああいうメインヒロイン的な人の隣は主人公でなければ!
 ゲームとかだとそうなるはず。

 なのに僕なのか~。
 このプレッシャーに耐えられるだろうか。



 「ただいまー」


 色々考えていたらすぐに家に着いた。
 奥からは、母が返事をしてくれる。


 「それで? 今日の学校はどうだったの」

 「? 特に変わったことは……なかったよ」

 「嘘ね!」


 僕の返しに、母はすぐさま反応した。
 何か知っているのか?


 「嘘って何が? 何も起きてないけど」

 「い~や、そんなはずはない。あんたの隣の席は誰?」


 !?
 本当にどこまで知ってるのだろうか。
 その単語をスパッと言うなんて。


 「えっと、本田あすかって女の子で」

 「そう、どんな子なの?」

 「どんな子? う~ん、学年で一番人気がある子らしい」


 僕の答えに、母はニヤニヤしながら。


 「良かったじゃない、博。ようやく学生らしい展開になって」

 「別にそんなことにはならないよ。それに、どうして隣の席について聞いたの?」


 そう言うと、母はしてやったりの顔で。


 「何か隠してそうだったから探りを入れただけ。何があったかなんて、知りませんでした~」


 この母親!
 まんまと罠にハマったって事か。


 「それよりあんた、どうして隠そうとしたのかな?」

 「いや、だって別に隣の席が誰だろうが関係ないだろうし」

 「ふ~ん」


 母はそう言って、笑いながら奥へ戻ろうとする。
 
 そして。


 「高校二年、楽しめるといいねぇ」


 そう言い残していった。
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