モブキャラ男子の恋愛事情

大吉祭り

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モブキャラ男子が学級委員に

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 その日の昼休み、僕は授業のチャイムが鳴ると同時に桜さんの席へ。
 要件は当然一つしかなくて。


 「桜さん、なんかとんでもないことに」

 「良かったじゃないですか。学級委員になるなんて、思い切ったなって。すごいと思いますよ?」


 うん、確かにその通り。
 ただ、僕には一つだけ思うところがある。


 「結局、桜さんが図書委員なんだよね?」

 「そうなりましたね」


 そう、僕が当初目指した図書委員は、抽選の結果桜さんになっていた。
 まぁ桜さん以外にもいたわけだが。


 「そんな恨めしそうな顔しないでください。それに、佐藤君が図書委員になっても仕方ないですよ」

 「仕方ないって?」

 「だって目立ちたいから、なりたかったんですよね。図書委員は目立ちませんよ?」


 確かにそうかも知れない。
 元々の目的が達成できなかったところだ。


 「そうだね、桜さんのいう通りだ。……でも学級委員か~」


 今更ながら、学級委員など務まるのだろうか。
 それも……


 「本田さんも一緒に、ですよね?」

 「っ!?」


 考えていることがバレてるのか?


 「別にバレてませんよ。ただ、なんとなくです」


 本当、人の考えてることを読まないでほしい。



 桜さんとの話を終え、いつもと同じように大地の席へ。
 すると、それはもう隠す気の一切ないように笑いながら。


 「博やったなぁ。これから楽しそうじゃん?」


 楽しんでるな。
 この状況を、世界で一番楽しんでいるな。


 「楽しそうっていうか、すでにボロボロというか」

 「そうなのか? 本田さんと同じ仕事ができるなんて、ラッキーなことじゃないか。他の人を見てみろよ」


 見れません、本当に見られません。
 見なくても伝わってくる、なんとも言えない視線。
 少し忘れてた感覚が、あっという間に戻ってきた。


 「……変わる?」

 「なぁにを言うか! 自分で挙手したんだから、責任を持てよな」


 言い返せないようなことを!


 「そもそもさ、僕は本田さんと組みたいとかって訳じゃなかったんだよ。脱モブキャラのため、桜さんと考えた作戦をだなぁ」

 「それは分かってるけどさ、他の人からすれば、完全に狙ってるって、思われて仕方ないぞ?」

 「なんで?」

 「そりゃ、普段目立たないような奴が、突然学級委員やりたいって言ったんだ。それだけでも不思議なのに、相方には本田さん。これでもわからんか?」

 「……わかりました」


 どうしよう、この状況は席の時よりヤバい。
 あれは回避できないことだったけど、これはできた案件。

 目立ってる。
 今年は確実に、嫌な方で目立ってる。


「またしばらく胃が痛くなりそうだなぁ」


 大地は面白そうに、言うのだった。
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