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08.醒めない悪夢
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嫌な夢を見た。同室の男に牙を突き立てられ、血を吸われる夢だ。いくら人ならざるものが通う学校だと噂されているとはいえ、それは昔の話。
そんなのはお伽噺であって、この世には人間しかいない。悪魔や魔法使い、その他モンスターに至るまで、フィクションの中にいるような生き物など、この世には存在しないのだ。ましてや人間の血を吸う、ヴァンパイアなんて。
「…………夢か」
「夢で片付けようとしているところ悪いが、俺がヴァンパイアなのは事実だ」
「うおああああ!」
目覚めてすぐ、リックはベッドから転げ落ちた。隣にレイが頬杖をつきながら寝そべっていたからだ。
リックは布団を握り締めると、自分の身を守るように小さく体を丸めた。
「そう怯えるな。体は大丈夫か?」
こっちは全力で拒絶しているというのに、男が何食わぬ顔でベッドから降りてくる。レイはリックの前にしゃがみ込むと、容赦なく布団を剥ぎ取った。
「ギャーーー!」
「品のない声を出すな」
「お前が布団を剥ぎ取るからだろ!? てか、昨日床に転がってた女子はどうしたんだよ!? ま、まさか……お前、」
「あぁ、アレか。別に殺してはない。ちゃんと記憶を消して、部屋に戻しておいた」
「記憶を消す、って、お前……」
そんな人外発言をしないでほしい。ますます、この男がヴァンパイアなのだと認めざるを得なくなる。
正直、信じたくはない。というより、信じられない。今でもまだ醒めない悪夢を見ている気分だ。
「お前、本当にヴァンパイアなのかよ……」
「そう言ってるだろう? 信じられないのなら、もう一度お前の血を吸ってやろうか?」
レイに体を引っ張り上げられる。気付いたらレイの腕の中で、首筋に生暖かい呼気を感じた。ぐいとシャツの襟ぐりを広げられ、男の牙が肌に触れる。
「ちょっ、待て待て待て!」
「……五月蝿い」
「お前がヴァンパイアだとしてもだ! 俺はお前の餌になるつもりはない!!」
力いっぱいレイの体を押しのけ、なんとか男の腕から脱出する。
だけど、逃げた先がまずかった。ベッドの上だ。部屋の壁に寄せる形でベッドが置かれているため、逃げても逃げても壁だ。シーツの上でのたうち回る以外に為す術がない。
レイはすぐさまリックの体を転がしてうつ伏せにすると、リックの背中に腰をおろした。
「くっそ……! 重い! どけ!!」
「お前は俺の食事の時間を邪魔したんだ。加えて、俺の秘密も知ってしまった。餌になる以外に、選択肢がないと思うが?」
「なんでそうなっ、うぐっ」
シーツに顔を押し付けられ、うまく息が吸えない。レイは「馬鹿な奴」と冷笑交じりに吐き出すと、剥き出しになったうなじをすぅっと指で撫でた。
「ひッ……」
「お前はまだ自分の置かれた立場が分かっていないようだな? 俺は人間じゃない。つまり、お前ごとき、赤子の手をひねるよりも簡単に殺せる」
鷲掴みにされた後頭部がミシミシと音を立てる。握り潰さんとする勢いで手に力を込められ、リックは悲鳴じみた声を上げた。
「あ゛あああ……!」
「正直、男の血は不味いんだ。俺だって、お前の血なんかより女の血のほうがよかった」
「じゃ、じゃあ! 女の血を吸えよ……!」
「いちいち女を探してくるのも面倒くさい。その点、お前は同室だからな。いつでも好きなときに食事ができる」
うなじに男の唇が触れる。ジタバタと暴れるも、さらに強い力で体を抑え込まれた。息をする隙間すら与えられず、シーツに強く顔を押し付けられる。うぐっ、と肺から息が潰れたような声が漏れた。
「恨むなら自分の行動を恨め。俺の忠告を聞かず、部屋に入ったことを」
つぷりとうなじにレイの牙が刺さる。その瞬間、鈍い痛みと共にゾワゾワとした快感が腹の奥底からせり上がってきた。
「っ、う……あっあああ……!」
(なんだこれ……! なんで、こんなっ、)
シーツに唾液が染みる。体中の血液が沸騰したみたいに、熱くて熱くてたまらない。
レイはぢゅうっと音を立てて血を吸うと、足りないと言わんばかりに牙を深く突き刺した。さっきよりも、より強い痛みと快楽に目の前がチカチカする。ぐすっ、と鼻を鳴らして抵抗したら、やっと体を解放された。
「もっ……やめろっ……」
「ハッ、さっきまでの威勢の良さはどこへ行ったんだ?」
わざとなのだろう。仰向けに体を転がされ、冷たい目で見下される。
レイの目は昨夜と同じく紅く染まっていた。肌の上をすべる手も温かい。
少し前までレイの手が冷たかったのも、青白い顔をしていたのも、単純に腹が減っていたからなのだと合点がいった。
「これで分かっただろう? お前は俺の餌になるしかないんだ」
「……っ、誰が」
お前の餌なんかに、と言う前にうなじを撫でられる。確かに痛みがあったはずなのに、レイに触れらた瞬間、スッと痛みが引いた。
「お前、いま何した?」
「傷を治したんだ。そのままでもよかったが、体が傷だらけになるのも嫌だろう?」
「……だったら吸うなよ、もう」
ハァ、とため息をつく。傷を治してくれた影響なのか、さっきまで感じていた痛みも体の熱も嘘みたいに引いていた。
「それは無理な話だな。ただでさえ、こっちに来てからほとんど食事をとれていないんだ。本来なら一週間に一度で十分事足りるんだが……。できれば一日、三回で頼む」
「そんなに吸われたら死ぬわ、馬鹿」
俺は血液製造マシーンじゃないんだぞ、というツッコミをする気力すら失せる。リックは馬鹿らしいと一蹴すると、レイの体を押しのけ、ベッドから起き上がろうとした。だが、
「っ、」
体に力が入らず、レイの胸に顔ごと突っ込む。
レイはフッと鼻で笑うと、リックの体をベッドに戻した。
「急に動くな。さっきを血を吸ったんだから、貧血気味になって当然だ」
ベッドから降りたレイに、先ほど剥ぎ取られた布団を肩まで掛けられる。貧血の原因を作った張本人がピンピンしているのは解せなかった。
「……なんだ?」
「お前、俺のこと、殺すなよ」
「それはお前の行動次第だ。まぁ、せいぜい、俺の餌として頑張ってくれ」
レイの目が楽しそうに細められる。
(あっ、これ、終わった……)
レイの餌かつ玩具で確定だ。
リックは最悪だ……と呟くと、次に目を覚ますときには今のやり取りも含めてぜんぶ夢でありますようにと願って目を閉じた。
そんなのはお伽噺であって、この世には人間しかいない。悪魔や魔法使い、その他モンスターに至るまで、フィクションの中にいるような生き物など、この世には存在しないのだ。ましてや人間の血を吸う、ヴァンパイアなんて。
「…………夢か」
「夢で片付けようとしているところ悪いが、俺がヴァンパイアなのは事実だ」
「うおああああ!」
目覚めてすぐ、リックはベッドから転げ落ちた。隣にレイが頬杖をつきながら寝そべっていたからだ。
リックは布団を握り締めると、自分の身を守るように小さく体を丸めた。
「そう怯えるな。体は大丈夫か?」
こっちは全力で拒絶しているというのに、男が何食わぬ顔でベッドから降りてくる。レイはリックの前にしゃがみ込むと、容赦なく布団を剥ぎ取った。
「ギャーーー!」
「品のない声を出すな」
「お前が布団を剥ぎ取るからだろ!? てか、昨日床に転がってた女子はどうしたんだよ!? ま、まさか……お前、」
「あぁ、アレか。別に殺してはない。ちゃんと記憶を消して、部屋に戻しておいた」
「記憶を消す、って、お前……」
そんな人外発言をしないでほしい。ますます、この男がヴァンパイアなのだと認めざるを得なくなる。
正直、信じたくはない。というより、信じられない。今でもまだ醒めない悪夢を見ている気分だ。
「お前、本当にヴァンパイアなのかよ……」
「そう言ってるだろう? 信じられないのなら、もう一度お前の血を吸ってやろうか?」
レイに体を引っ張り上げられる。気付いたらレイの腕の中で、首筋に生暖かい呼気を感じた。ぐいとシャツの襟ぐりを広げられ、男の牙が肌に触れる。
「ちょっ、待て待て待て!」
「……五月蝿い」
「お前がヴァンパイアだとしてもだ! 俺はお前の餌になるつもりはない!!」
力いっぱいレイの体を押しのけ、なんとか男の腕から脱出する。
だけど、逃げた先がまずかった。ベッドの上だ。部屋の壁に寄せる形でベッドが置かれているため、逃げても逃げても壁だ。シーツの上でのたうち回る以外に為す術がない。
レイはすぐさまリックの体を転がしてうつ伏せにすると、リックの背中に腰をおろした。
「くっそ……! 重い! どけ!!」
「お前は俺の食事の時間を邪魔したんだ。加えて、俺の秘密も知ってしまった。餌になる以外に、選択肢がないと思うが?」
「なんでそうなっ、うぐっ」
シーツに顔を押し付けられ、うまく息が吸えない。レイは「馬鹿な奴」と冷笑交じりに吐き出すと、剥き出しになったうなじをすぅっと指で撫でた。
「ひッ……」
「お前はまだ自分の置かれた立場が分かっていないようだな? 俺は人間じゃない。つまり、お前ごとき、赤子の手をひねるよりも簡単に殺せる」
鷲掴みにされた後頭部がミシミシと音を立てる。握り潰さんとする勢いで手に力を込められ、リックは悲鳴じみた声を上げた。
「あ゛あああ……!」
「正直、男の血は不味いんだ。俺だって、お前の血なんかより女の血のほうがよかった」
「じゃ、じゃあ! 女の血を吸えよ……!」
「いちいち女を探してくるのも面倒くさい。その点、お前は同室だからな。いつでも好きなときに食事ができる」
うなじに男の唇が触れる。ジタバタと暴れるも、さらに強い力で体を抑え込まれた。息をする隙間すら与えられず、シーツに強く顔を押し付けられる。うぐっ、と肺から息が潰れたような声が漏れた。
「恨むなら自分の行動を恨め。俺の忠告を聞かず、部屋に入ったことを」
つぷりとうなじにレイの牙が刺さる。その瞬間、鈍い痛みと共にゾワゾワとした快感が腹の奥底からせり上がってきた。
「っ、う……あっあああ……!」
(なんだこれ……! なんで、こんなっ、)
シーツに唾液が染みる。体中の血液が沸騰したみたいに、熱くて熱くてたまらない。
レイはぢゅうっと音を立てて血を吸うと、足りないと言わんばかりに牙を深く突き刺した。さっきよりも、より強い痛みと快楽に目の前がチカチカする。ぐすっ、と鼻を鳴らして抵抗したら、やっと体を解放された。
「もっ……やめろっ……」
「ハッ、さっきまでの威勢の良さはどこへ行ったんだ?」
わざとなのだろう。仰向けに体を転がされ、冷たい目で見下される。
レイの目は昨夜と同じく紅く染まっていた。肌の上をすべる手も温かい。
少し前までレイの手が冷たかったのも、青白い顔をしていたのも、単純に腹が減っていたからなのだと合点がいった。
「これで分かっただろう? お前は俺の餌になるしかないんだ」
「……っ、誰が」
お前の餌なんかに、と言う前にうなじを撫でられる。確かに痛みがあったはずなのに、レイに触れらた瞬間、スッと痛みが引いた。
「お前、いま何した?」
「傷を治したんだ。そのままでもよかったが、体が傷だらけになるのも嫌だろう?」
「……だったら吸うなよ、もう」
ハァ、とため息をつく。傷を治してくれた影響なのか、さっきまで感じていた痛みも体の熱も嘘みたいに引いていた。
「それは無理な話だな。ただでさえ、こっちに来てからほとんど食事をとれていないんだ。本来なら一週間に一度で十分事足りるんだが……。できれば一日、三回で頼む」
「そんなに吸われたら死ぬわ、馬鹿」
俺は血液製造マシーンじゃないんだぞ、というツッコミをする気力すら失せる。リックは馬鹿らしいと一蹴すると、レイの体を押しのけ、ベッドから起き上がろうとした。だが、
「っ、」
体に力が入らず、レイの胸に顔ごと突っ込む。
レイはフッと鼻で笑うと、リックの体をベッドに戻した。
「急に動くな。さっきを血を吸ったんだから、貧血気味になって当然だ」
ベッドから降りたレイに、先ほど剥ぎ取られた布団を肩まで掛けられる。貧血の原因を作った張本人がピンピンしているのは解せなかった。
「……なんだ?」
「お前、俺のこと、殺すなよ」
「それはお前の行動次第だ。まぁ、せいぜい、俺の餌として頑張ってくれ」
レイの目が楽しそうに細められる。
(あっ、これ、終わった……)
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