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食えないやつら 天然×天然
しおりを挟む「あ、ソウ~。それちょうだい?」
「えー? やだよぉ。前、イタルくれなかったじゃん」
休み時間。二人の少年がじゃれるように一つの飲み物を取り合っていた。もしこれが男女のやりとりならば、カップルにも見えたのだが、いかんせん彼等はどちらとも男であった。
「あれは、あと一口しかなかったんだもん」
ぶぅと頬をふくらませながら、イタルと呼ばれた少年はソウを恨めしそうに見つめた。
身長180センチ以上の男が、頬を膨らませる姿は可愛くともなんと見えず、普通は気色悪いだけなのだが、イタルは栗色でくせっ毛の髪の毛に、たれ気味の瞳が甘い感じのイケメンに入るので、どこか頬を膨らませる姿も見苦しくはなかった。
かたや、ソウと呼ばれた少年はイタルよりは低い身長であるものの、たれ目な瞳と口元の黒子がどこか色っぽさを含んでいた。
「意地悪しないでよ~」
「ん~……じゃあ、一口だけだからねぇ」
ソウはイタルに仕方がないなと笑いながらジュースのパックを手渡した。イタルはご機嫌でそれを口に含むと、ふと気が付いたように、にこりと微笑んだ。
「これって間接ちゅーだね」
「あ、ほんとだ~」
イタルが言うと、ソウも頷いて和やかな雰囲気を作っていたが、周りは二人の発言にしんと静まり反っていた。
ここは共学である。何故男同士で頬を染めあっているのか、実はこの二人の行動はいつもの事なのだが、未だに慣れない周りは、やや唖然とした面持ちで彼らを見つめるのだ。
そこへイタルとソウの共通の友人が恐る恐るというように、二人に近づいていった。
「なぁ、前から気になっていたんだけど、お前らって……そのホモっていうか、付き合ってるのか?」
「え~? 何でそうなるの? 俺達付き合ってないよ」
ね?とソウが聞くと、イタルも頷いた。まさか友人がホモ?と心配していたので、一安心半面、では今までのいちゃつきぶりは天然?と冷や汗を内心かきながら、そっかと呟いた後で、ちょっとした好奇心がわいた。
「そういえば、お前らって一年の時はそんな仲良くなかったよな」
「そうだね~」
「俺達が仲良くなったきっかけはプリントだよねぇ」
「イタル、よく覚えてるねぇ」
のほほんとした雰囲気でイタルとソウは一年前を思い出していた。昔の彼らは同じクラスであったが、当時は別々の友人達とつるんでいた。
「確か俺が先生に大量のプリントを教務室に運ぶ途中で、プリントをばらまいちゃったんだよね」
「そうそう、必至にソウが拾ってるんだけど、抱えきれなくて、次から次にプリント落としてたんだよね」
そうそうとイタルが笑うので、ソウはむうとしながら、ふと表情を綻ばせた。
□□□
ついてないなぁと思いながら、自身の顎にまでつくほどのプリントをソウは落とさないように歩いていた。しかし、気をつけていたにも関わらず、バランスを崩したソウはプリントをばらまいてしまった。
「あ~」
と何かを諦めたような面倒くさいというような声をだしてから、ソウはゆっくりとプリントを拾い始めた。しかしソウが拾っても、膝の上にプリントを抱え込むようにして集めていては、大量のプリントが次々と零れ落ちていく。
「あれ? 何してんの~」
そこへ現れたのがイタルであった。しかし、すぐに現状を理解すると、自身も屈んでプリントを拾い出した。
「ありがと~」
「お互い様だよ」
にこりと微笑みあいながら、ソウはプリントを半分持ってくれているイタルにお礼を述べた。ふとソウは今気が付いたとまじまじとイタルを見つめた。
「そういえば、俺たち話したことないよねぇ」
「つるむ奴らが違うからね~。じゃあ改めまして、俺イタル~」
「俺はソウって言うんだ。宜しくねぇ」
えへへとお互いに再び笑いあった瞬間から、二人はつるむようになった。
□□□
「運命の出会いってやつだったんだよねぇ」
「そうだね~」
イタルに肩を抱き寄せられ、ソウもイタルの胸に頬を寄せて笑いあう姿はどう見てもカップルにしか見えない。
本当に付き合っていないんだよなと、友人のみならず、クラスメイト一同が疑問に思うのだったが、再度問い掛ける勇気は彼らにはなかった。
END
後書き
イベントペーパーにて記載した小説で、天然×天然です。
続編も考え中。
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