悪女と言うのは自由ですけど、双子のどちらか見分けられるようになってから悲劇のヒロインごっこをしてもらってもいいですか!?

Ray

文字の大きさ
12 / 31

第十二話

しおりを挟む

 あんなことがあってから二ヶ月。いまだにペルクシム男爵令嬢が違法薬物を使用しているという証拠は掴めていません。お兄様たちには既に話してありますが、捕まえるのは難しいでしょう。何せ、持っていると確証できる要素はほとんどなく、【時詠み】様がそう言っているだけ。あの方は確かにすごいですが、完全に信じきって動くワケにもいきません。

「ルシア、今はそれよりこっち」
「そうですね」

 確かにそれも大切ですがこっちも大切です。年に三回行われる学力テスト。早くももうその第一回目が来週まで迫ってきています。なので、今はエルピス伯爵令嬢とシグニを招いて城で勉強会です。シグニに教えられる人が誰もいないですが……。

「ここは?」
「そこはこっちの式を使って」

 ルーチェは勉強が得意とは言えません。できる方ですが、本人曰く、机に向かってる時間身体を動かした方が効率的なんだそうです。エルピス伯爵令嬢はところどころ躓いていますが、ちゃんと見てあげれば大丈夫そうです。私は勉強は得意な方だと思っているので、大丈夫なはずです。シグニはなんでもできてしまうタイプなので、教える側に回ってくれます。シグニは大丈夫と言っていますが、私たちのせいで順位が落ちたら申し訳ないです。

 …………それにしても、ルーチェとシグニの距離、近い気がします。私の気のせいかもしれませんが、本当に、ほんのちょっぴり、近い気がします。今までときっと変わらない距離感のはずなのに、それがとてもモヤモヤします。なんででしょうか……。

「ルシア、大丈夫?」
「ひゃ!?」

 ひんやりと冷たい手が額に当てられ、顔を前に向けるとシグニの顔がとても近くにありました。思わず変な声が出てしまったのは仕方ないはずです。不可抗力です。だって、だって近いんですよ!
 ……うぅ、やっぱりおかしいです。変です。学院に入る前はルーチェとシグニの距離感や仲の良さも、シグニと話すときも、なんとも思わなかったのに、最近ではシグニが私以外の誰かといるとモヤモヤして、胸の辺りがチクリと痛みます。病気でしょうか。ルーチェたちに相談したら大事になりそうです。内密に動いた方がいいですね。今度、学院の保険医に相談してみましょう。

「少し休憩にしましょうか」
「わ、私お菓子もらってきます!」
「え、いや……」

 ルーチェたちを置いてさっさと部屋を出てきてしまいます。あぁどうしましょう。自分でそうしたのに、部屋で何をしているかとか、シグニが他の人といるのが嫌だとか、変なことばかり考えてしまいます。早くお菓子をもらってきて戻らないと。いやでも、あんな風に飛び出してきてしまいましたし、迷惑じゃ……。

「やはり、第二皇女殿下は社交に向いていないな」
「あぁ。ずっと出てこないどころか、城でも全く見かけない」

 ピタリと、足が止まります。どうやら、私の話をしているみたいです。誰かは分かりませんが、いつ誰が通るかも分からない城で、堂々とよく話せますね。けど、これは良いチャンスではないでしょうか。私のことを知らない人たちから見た私のことを知ることができます。怖いですが、学院に通っているおかげか、少しずつ、人が怖くなくなってきています。まぁ、一部の人はですけど……。

「【妖精姫】などと呼ばれているが、本性はどんな狐か分かったものではない」
「セフィド公子も気の毒だな。皇族との関係を持ちたいがために、あんな欠陥皇女と婚約を継続しなければいけないのだから」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。

ナイスミドルな国王に生まれ変わったことを利用してヒロインを成敗する

ぴぴみ
恋愛
少し前まで普通のアラサーOLだった莉乃。ある時目を覚ますとなんだか身体が重いことに気がついて…。声は低いバリトン。鏡に写るはナイスミドルなおじ様。 皆畏れるような眼差しで私を陛下と呼ぶ。 ヒロインが悪役令嬢からの被害を訴える。元女として前世の記憶持ちとしてこの状況違和感しかないのですが…。 なんとか成敗してみたい。

シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした

黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)

……モブ令嬢なのでお気になさらず

monaca
恋愛
……。 ……えっ、わたくし? ただのモブ令嬢です。

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

処理中です...