異世界転生した私は今日も大空を羽ばたきます!〜チートスキルで自由気ままな異世界ライフ〜

青いウーパーと山椒魚

文字の大きさ
108 / 131
第五章〜ディフォン〜

新たな旅立ち

しおりを挟む
 1週間ほどゆっくり休んで、やっと完全復活した。
 今日は久しぶりにイリスに会いに行く。
 何度かお見舞いに来てくれていたようだが、ゆいさんが断ってくれていたそうだ。
 心の整理が出来ていない状態だったから、ゆいさんの対応がとてもありがたい。

「虹花さん、入ってもいい?」
「カナちゃん?!」

 勢いよく部屋から出てきたと思えば、すぐに近寄ってきて抱きしめてきた。

「熱が出てたって話だけど大丈夫?」
「うん、お見舞いに来てくれたって聞いたよ。心配してくれてありがとう。もう完璧に治った!」
「そっか、良かった」
「ねぇねぇなにかしよう? 久しぶりに体動かしたい!」
「そうだね、じゃあ庭に行って鬼ごっこでもしよっか」

 そういうわけで、途中でゆいさんも誘って庭に移動した。
 すると秀吉さんが利家さんと稽古をしているのが目に入った。
 ちなみに利家、前田利家さんは秀吉さんの側近で槍の使い手みたい。
 
 すると近づいた私達に気づき、声をかけてきた。

「お、もう大丈夫なの?」
「うん、色々とありがとう」
「どういたしまして。それで、3人揃って何をしようとしてたの?」
「鬼ごっこ!」
「おー、俺達もまぜてよ」

 遊びは人数が多い方が楽しいからね。
 急遽参戦した2人を追いかけ回したり、仕返しに追いかけられたり。
 タッチされそうな時に急にゆいさんやイリスを巻き込んでタッチさせたりした。



 それからしばらく、秀吉さんのお城でお世話になった。
 イリス、いや、虹花が失った記憶は断片的なもので、日常生活に支障はないようだった。
 染み付いた令嬢時代の癖も抜けることはなく、ひとつひとつの行動が美しい。
 ある日、突然の知らせが城中に響き渡った。

「城下町に大量のラウスが現れました!」
「城下町に?!」

 すぐに秀吉さん達と共に討伐に向かう。
 城下町に着くと、負傷した人はいたものの、幸いにも命の危険があるような人はいないようだった。
 しばらくして全てのラウスを討伐する。

「これまで城下町に大量のラウスが現れなかったのになんで……」

 秀吉さんが呟くが、答えは明白だった。

「異世界人が3人もいたら、集まってくるのも頷けますね」

 ラウスは浄化の力が強いところに集まるという習性がある。
 それなら3人もいるところに集まるのも当たり前だろう。

 少し考えて、発言する。

「私、1人で帰る方法を探します。もちろんラウス討伐も」
「もし私たちが帰る方法を見つけた時どうするの?」
「この手紙に書いて私に届くよう願ってください」

 そう言って以前ディランさんに渡した手紙と同じものを渡す。

「帰る方法もだけど、虹花に何かあった時も、お願いします」

 色々な人に迷惑をかけないためにも、あまり異世界人が一所に集まるのは良くない。
 しばらくはゆいさんともイリスともお別れすることにした。

「しばもね。私と行くと危険だからゆいさんにお世話になって」

 しかししばは全く離れようとせず、いつまでも私の足にくっついている。

「しばも行きたいんじゃない? これまでもずっと一緒にいたんだから、連れて行ってあげなよ」

(確かにこれまでラウス討伐も一緒に行ったけど……。特に危ないこともなかったか、なら……)

「しばも、一緒に行ってくれる?」
『ワンッ!』

(イリス、しばらくお別れ。でも一緒に帰ろうね)

 それから1人と1匹の旅が始まったのだった。



 
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

異世界転生者のTSスローライフ

未羊
ファンタジー
主人公は地球で死んで転生してきた転生者。 転生で得た恵まれた能力を使って、転生先の世界でよみがえった魔王を打ち倒すも、その際に呪いを受けてしまう。 強力な呪いに生死の境をさまようが、さすがは異世界転生のチート主人公。どうにか無事に目を覚ます。 ところが、目が覚めて見えた自分の体が何かおかしい。 改めて確認すると、全身が毛むくじゃらの獣人となってしまっていた。 しかも、性別までも変わってしまっていた。 かくして、魔王を打ち倒した俺は死んだこととされ、獣人となった事で僻地へと追放されてしまう。 追放先はなんと、魔王が治めていた土地。 どん底な気分だった俺だが、新たな土地で一念発起する事にしたのだった。

オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~

鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。 そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。 そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。  「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」 オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く! ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。 いざ……はじまり、はじまり……。 ※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。

莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ

翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL 十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。 高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。 そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。 要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。 曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。 その額なんと、50億円。 あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。 だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。 だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~

チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!? 魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで! 心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく-- 美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!

悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。

向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。 それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない! しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。 ……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。 魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。 木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

処理中です...