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第五章〜ディフォン〜
おかえり
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リアン、それは発動条件がとても難しい魔法だ。
以前フェンリル先生に魔法を教えて貰った時、どのようなものなのかは少しだけ聞いていた。
一つ、2人以上でしか発動できないこと。
二つ、魔法を使う人全員の魔力が桁外れに多いこと。
三つ、魔力の相性がいいこと。
四つ、決して断ち切れない絆があること。
教えてもらったのはこれだけだったが、成功例がすくないため実際の発動方法はわからない。
しかし、今の2人ならこの4つ全てをクリアしていた。
詠唱と共に発動する魔法。
花火が打ち上げられる時のように、2人の魔力が空高くへと上がっていく。
そしてその魔力は弾け、雨のように地上に降り注いだ。
ただの打ち上げた魔力になんの効果があるのか。
それは私にもわからない。
この魔法は発動条件に加え、魔法の効果もわかっていない。
これまで成功した例でも魔法の効果はバラバラだったようだ。
ただ、難しい魔法なこともあり発動者が願ったような効果がでるらしい。
私たちが願うことはただひとつ。
この世界の人達が幸せな生活をおくること。
「きれい……」
誰かの呟きが聞こえる。
ほんとうにその通りだった。
魔法の雨は傷ついている人を癒し、ラウスを浄化させていく。
集まって強くなったラウスでさえ、為す術なく消えていき、あっという間に全てのラウスがいなくなった。
「サーチ」
広範囲にサーチを発動するが、ラウスの反応はない。
この場にいる誰もが安堵の表情を浮かべた。
「イリスー!」
危険がなくなったことを確認して、私はすぐさまイリスにダイブした。
「ちょ、カナ」
困った表情をしつつも優しく受け止めてくれる。
私はイリスの顔を見て笑顔で言った。
「おかえり、イリス」
間違っている表現かもしれないが、私はこの言葉が最適だと思う。
「……ただいま」
ほんとうにイリスが戻ってきたんだ。
そう思うと涙が溢れてきた。
「ほんとうにごめんね。でも、虹花って名前、覚えていてくれて嬉しかったよ」
「……名前でなにか思い出してくれないかなって思ってたんだけど」
実際効果はなかったように思う。
イリスによると、記憶をなくしている時は頭の中にモヤがあったようだ。
日々暮らしている中でだんだんと晴れてきていたらしい。
決定打は私がイリスを庇ったこと。
それで全てを思い出したようだ。
それからラウスがいなくなったという事実をやっと受け入れられたみんなと勝利を喜び、私が探していた4人が無事に合流できたことを報告する。
「よかったな」
「うん!」
信玄さんがそう言葉をかけてくれた。
すると空から声が聞こえてきた。
『みなさん、ありがとうございました』
その声は私たちをここに呼び寄せた声だった。
──────────
あっという間に山場が終わってしまった…
以前フェンリル先生に魔法を教えて貰った時、どのようなものなのかは少しだけ聞いていた。
一つ、2人以上でしか発動できないこと。
二つ、魔法を使う人全員の魔力が桁外れに多いこと。
三つ、魔力の相性がいいこと。
四つ、決して断ち切れない絆があること。
教えてもらったのはこれだけだったが、成功例がすくないため実際の発動方法はわからない。
しかし、今の2人ならこの4つ全てをクリアしていた。
詠唱と共に発動する魔法。
花火が打ち上げられる時のように、2人の魔力が空高くへと上がっていく。
そしてその魔力は弾け、雨のように地上に降り注いだ。
ただの打ち上げた魔力になんの効果があるのか。
それは私にもわからない。
この魔法は発動条件に加え、魔法の効果もわかっていない。
これまで成功した例でも魔法の効果はバラバラだったようだ。
ただ、難しい魔法なこともあり発動者が願ったような効果がでるらしい。
私たちが願うことはただひとつ。
この世界の人達が幸せな生活をおくること。
「きれい……」
誰かの呟きが聞こえる。
ほんとうにその通りだった。
魔法の雨は傷ついている人を癒し、ラウスを浄化させていく。
集まって強くなったラウスでさえ、為す術なく消えていき、あっという間に全てのラウスがいなくなった。
「サーチ」
広範囲にサーチを発動するが、ラウスの反応はない。
この場にいる誰もが安堵の表情を浮かべた。
「イリスー!」
危険がなくなったことを確認して、私はすぐさまイリスにダイブした。
「ちょ、カナ」
困った表情をしつつも優しく受け止めてくれる。
私はイリスの顔を見て笑顔で言った。
「おかえり、イリス」
間違っている表現かもしれないが、私はこの言葉が最適だと思う。
「……ただいま」
ほんとうにイリスが戻ってきたんだ。
そう思うと涙が溢れてきた。
「ほんとうにごめんね。でも、虹花って名前、覚えていてくれて嬉しかったよ」
「……名前でなにか思い出してくれないかなって思ってたんだけど」
実際効果はなかったように思う。
イリスによると、記憶をなくしている時は頭の中にモヤがあったようだ。
日々暮らしている中でだんだんと晴れてきていたらしい。
決定打は私がイリスを庇ったこと。
それで全てを思い出したようだ。
それからラウスがいなくなったという事実をやっと受け入れられたみんなと勝利を喜び、私が探していた4人が無事に合流できたことを報告する。
「よかったな」
「うん!」
信玄さんがそう言葉をかけてくれた。
すると空から声が聞こえてきた。
『みなさん、ありがとうございました』
その声は私たちをここに呼び寄せた声だった。
──────────
あっという間に山場が終わってしまった…
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