箱庭の子ども〜世話焼き侍従と訳あり王子〜

真木もぐ

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番外編 重ねる日々

石けんと妖精

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 お風呂でロダスが石けんを泡立てるのを見ていたエリオットは、小さくなった石けんの最後のひとかけらは、いったいどうなるのかしらと不思議に思った。

 エリオットが暮らすおうちのお風呂では、とってもいい匂いのする石けんを使っているのだけれど、たくさん使って小さくなった石けんは、いつの間にか大きな石けんになっているから。

「ねぇロダス、ちっちゃくなったせっけんは、どこにいくの?」

 ちっちゃな王子の問いかけに、ロダスは手のなかで泡立つ石けんを見下ろした。

 正解は至極簡単だ。メイドが時期を見て新しいものと入れ替えているというだけのこと。

 小さなかけらはそのままスタッフの手洗い用などに使われるのだが、それはいかにもロマンがないように思われた。

 ロダスは石けんの泡をスポンジに移し、焼き立てパンのように柔らかなエリオットの手を優しく洗いながら、秘密を打ち明けるように小声でこう言った。

「最後のひとかけらは、お屋敷に住んでいる妖精が、自分が使うのに丁度いい大きさだからと、持って行ってしまうんですよ」
「ようせい!?」
「えぇ」

 まん丸に見開いた目できょろきょろと周りを見回してから、エリオットは不安そうに尋ねる。

「ようせいは、いおにかみついたりしない?」
「そのようなことはありませんよ」
「ほんとう?」
「えぇ。彼らはとても恥ずかしがり屋で、いつだってわたしたちに見つからないようにしているんです」
「へぁ~」

 感心しきった声を出したエリオットは、バスタブの中から浴室の天井を見上げた。そこに妖精がいて、石けんの残り具合を確かめているのかもしれないと。







業務日誌(ロダス)

 ご就寝の前、殿下より『ビスケットとミルクをバスルームに置いてあげて』とのお願いがあり、そのとおりにする。フランツからの助言に従い、ビスケットを数枚とミルクを半分、失敬した。
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