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43話 兄の本心
しおりを挟む救護所の前で火を焚き、昼間のように明るくする。
魔力を封じ込めた魔石を使えば、もっと明るくなるのだが、あまり長持ちしないのだ。
人の力で石に魔力を込めるのだから仕方ない。
だから魔石を使う時は、ここぞという時だけにする。
「アイル、お前は救護所前に待機して、テントに入れない騎士の治療に当たれ!」
フジャヌに指示され、アイルは一応うなずくが…
「お兄様は重症度ではなく、身分で治療の順番を決めたりして、治療師として恥かしく無いのですか?!」
どうしても納得が行かず、アイルは兄に食ってかかる。
「声を押さえろアイル! 私がそのやり方を拒めば、お前までこの場から追い出されるコトになるが、ソレで良いのか?」
フジャヌはアイルの腕を掴み、冷淡に言い放つ。
「どうしてですか? お兄様も納得していないと言うコトですか?」
兄の言葉に眉をひそめ、アイルは食い入るようにジッと見た。
「当然だ! だがここの長はニャムック叔父上だ、逆らえば治療師の職まで奪われるコトになる」
フジャヌは声を押さえて、アイルにだけ聞こえるように話す。
「なぜ叔父様が、お兄様から職を奪うのですか?!」
「あの人は次男に生まれ、他家へ婿養子に出された人だ、オバット伯爵家を恨んでいる」
「そんな… あんなに親切にしてくれたのに」
「優しくしておけば、子供は言うコトを良く聞くと知っているからさ! 私にだってお前の治療は出来たのに、叔父の治療が良いと言い張ったのはお前だアイル」
積もり積もった怒りと屈辱を、吐き捨てるように罵るフジャヌに、アイルは言葉を失う。
「・・・・・・」
兄フジャヌは昔から優秀で、学園に在籍していた時から、魔獣の襲撃で父が呼ばれると、兄も一緒に襲撃の場へ治療師として参加していた。
両親を暴漢に殺され、アイルが大怪我を負った時、父によく似た容姿の叔父に、父のように優しくされ…
アイルは兄でなく、叔父の治療を選んだ。
『フジャヌは優秀だが、まだ未熟だからね… とても時間が掛かる治療だし、私の方が綺麗に直してやれる』
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「お兄様… ソレは…」
<叔父様が一番… 得をした?>
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「叔父の前で、余計なコトを話すな」
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「…お兄様!」
何年かぶりに兄フジャヌの本心を、アイルは聞いた。
「誰も信用するな」
フジャヌはアイルの腕を放し、救護所テントへ入って行く。
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