呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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50話 眠りの繭

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 前線までの途中でも何人もの騎士が倒れていた。

 一人づつ確認すると、何人かはまだ息があり、その場で治療したが…


「治療を終えた怪我人はどうしますか? 救護所へ連れて戻りますか?」
 
 ブラットがフジャヌに尋ねると…


「いや、この場に置いて行く」

 フジャヌはあっさりと置き去りにするコトを決め、他の3人が目を剥く。


「お兄様! ソレはあんまりです!!」

 アイルがカッと声を荒げるのを、フジャヌは手を上げて遮る。
 

「騒ぐな、愚か者! 最後まで聞け! 途中で見つけた怪我人たちは "眠りの繭" で、仮死状態まで深く眠らせれば、オークたちも死人と区別がつかないだろう」


「…ああ!」

 細い手をアイルは、パッと口に当てる。


 「昔、読んだ魔獣との戦いを記録した古い文献に、治療師たちが現在の私たちと似たような状況に陥った時、そうやってオークたちの目を誤魔化したと書いてあったのだ」

 学園でも首席で卒業した、優等生のフジャヌである。
 
 治療師に関連した記録は、出来るだけ目を通すようにしていた。
 
 そうしたフジャヌの地道な努力が、有事に役立つと…
 
 努力出来る力も才能だと、父ブサルは生前、フジャヌを良く褒めていた。



「ブラット! お前が一番 "眠りの繭" を掛けるのが上手い、頼む!」

 言い出したフジャヌが、実行しないのには理由がある。 

 眠りが深すぎると、そのまま目覚めず死んでしまうから、仮死状態にするのは難しいのだ。



「お任せ下さい!」

 ブラットは早速、青みが濃く層が分厚い "眠りの繭" を作り、怪我人をフワリと包み、少し時間をかけてゆっくり吸収させてゆく。




 オバット伯爵家直系のような、致命傷の怪我を直せる治療師が不在の現場の方が多い。

 そんな時は仮死状態にして、生命活動を最低限にして、怪我人を治療できる場所まで運ぶコトはよくある実例だ。




「よし! 先を急ごう」














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