呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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52話 光の結界2

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 オークの群れが次から次へと溢れ出し…

 パダムは罵りながらギリギリまで、オークを引きつけると、剣に魔法を乗せて一太刀で7,8匹ずつ切り捨てて行く。

「ああ臭い!! 鼻が曲がりそうだ!! だからオークは嫌いなんだ!!」

 山になったオークの死骸から、悪臭が漂いパダムは顔をしかめた。


 パダムが切り損ねた、オークをハンガットを含めた側近たちと精鋭部隊が、1匹づつ退治する。


「我慢ですよ、パダム様! マンティコアの大群よりはマシではありませんか!」

 軽口を叩きながらも、ハンガットは確実にオークを殺してゆく。


「マンティコアはそもそも、群れたりしないさ!」

 文句を言うパダムに流石のハンガットからも苦笑が零れる。

「それにしてもスゴイ数ですね! この様子だと親玉のオーガを殺さない限り、何日もこの状態が続きそうだ」

 パダムの側近の1人、ワルナが核心に触れた。

 多勢のオークに、パダムたちは前に進めないでいた。


「もう少し王立騎士団の連中が、やってくれるかと思ったのですがね!!」

 側近のクダが忌々し気に、吐き捨てた。

 前回の魔獣退治の折りに、大臣たちがパダムに付けた側近たちは、王立騎士団から引き抜いた精鋭たちのはずだったが…

 上級貴族出身の気位の高い騎士ばかりで、アンギヌ王国出身のパダムを軽んじる傾向が強く、波長も合わず軋轢が生じていた。 

 

 見兼ねたフジャヌが、苦労するパダムの為に、新たに側近を選び直した方が良いと、王太子に進言した。

 治療師として、魔獣退治の現場を見て来たフジャヌが…

 魔獣との戦いに関しては、王立騎士団の騎士などより、経験豊富で、魔力もそこそこあリ、信頼出来ると王太子に推薦した騎士たちがこの3人である。
 
 3人とも地方騎士団に所属する下級貴族で、それぞれの騎士団から、自分の部下たちを連れて来ていた。

 ソレがパダム率いる、新しい精鋭部隊であった。


「ワルナ隊長、アレは何でしょうか? 先程から強い光を放って、コチラに向かって来ているように見えるのですが?! 新手の魔獣でしょうか?」

 ワルナの部下が不安そうに報告した


「いや、光る魔獣など、聞いたコト無いぞ?」

 オークを一匹、切り伏せながら、油断なくワルナがチラリと視線を送る。

「…アレは発光魔法の類ではないか? だがズイブン範囲が広いなぁ… オークに対しては有効だが! アレでは魔力がいくらあっても維持できまい」

 強い光がドンドン近づいて来る。

 
「王立騎士団のバカどもでは無いか?! 怯えて無駄に魔法を飛ばしまくっているのでは?」 
 

 パダムは剣に少し多めの魔力を込め、一気に50匹近いオークを切り伏せた。

 少し前からパダムはずっと、気になっていたのだ。

 視界の端に煌めく、飛んでも無い大きさの、発光魔法が近づいて来るのを。


「何処の大バカ者だ?! スグに魔力切れを起こす…っ!」

 チラリと光を見て、パダムはスグにオークへ視線を戻すが…

 信じられないコトにアイルが居た気がして、もう一度発光魔法の中心を見る。


「・・・・・・っ!!」

 口を開けてパダムは、光の中の治療師たちを見つめた。 


「危ない、パダム様!!」

 気を取られて、呆然とするパダムの前に出て、ハンガットがオークを切り伏せた。


「ああ、すまない!」

 パダムはまた、多めに魔力を込めて剣を振り、100匹程のオークを切り伏せる。


「パダム様! 魔力切れを起こしますよ?!」

 ハンガットの方が若いが、パダムがあまりにも無茶をするから、案外、口うるさいのだ。


「分かっているさ、ハンガット! 少し時間稼ぎをしたかったのだ」

 熱心にパダムが見つめる視線の先を、ハンガットも見て息を呑んだ。


「アイル様?!」


「やっぱりアレは私の幻覚では無いのだな! ココは頼むハンガット!」

 



 パダムが走り出した。









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