呪われた騎士に贈られた花嫁

金剛@キット

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81話 カチャン

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 怒り狂うフジャヌの、頭グリグリのお仕置きから救い出した、パダムに抱き締められるアイル。


「まぁまぁ! 落ち着けフジャヌ、アイルとて悪気があったワケでは無いのだから… なあ、パギ?」

 今もイライラと不機嫌なフジャヌに…

 パダムはパギを巻き込み、取り成そうとした。


「は… はい! パダム様の言う通りです、フジャヌ兄さま! 私もアイルお姉様に隠しておくのを心苦しく思っていたので、少しホッとしました」

 まだ赤い頬のまま、パギは不機嫌なフジャヌの袖をツンツンと引き…

 パダムの意見に同意すると、アイルを助ける側に入る。


「そうですよ、パギの言う通りです、フジャヌ兄さま! アイル姉様はパギを心配して下さったのですから」

 婿養子に入る先が、無事に決まり…

 パダムの側近として、働き出したベソックも、アイルの援護に回った。


「分かりました、パダム様! パギが良いと言うのなら、私も文句は言いません… 今は」

 両掌を肩の高さまで上げ、フジャヌは降参の態度を示したが…

 最後に、不穏な言葉を、付け加えるコトを忘れず、怒りを引っ込めた。



「あの… アイル様、ブラヌが魔獣退治の前に、カチャンに会いに来てはもらえないかと、言っているのですが?」

 オズオズとハンガットが口を開いた。

 ハンガットとブラヌは、喪が明けてスグに結婚した。


「ええ、そうしたいと思っていました! ご迷惑でなければ」

 カチャンの名前を聞き、アイルの水色の瞳に、涙がまた溢れそうになった。


「遠慮しないで、いつでも来てください、クラン公爵家はアイル様の家でもあるのですから」

 穏やかに微笑むハンガットに…

 アイルの瞳から、ポロリと一粒、涙が零れ、慌てて指で拭う。


「ありがとうございます、ハンガット様!」

 お妃教育を始める前、アイルは正式にクラン公爵家の養女となっていた。




 カチャンの魔力の特性を、確認するために神殿で判定を受けると…

 フジャヌの予想通り、今は亡き、マニス譲りの魔法特性が出た。


 ソレもかなり強く、正しく導いてやらないと…

 魔力の暴走を引き起こし、カチャン自身の命を、危険に曝すダケでなく、大事故に繋がる恐れがあった。


 生前のマニスも、強い魔力の保持者だったが…

 ミニャックも、アイル程ではないが、学園で上位を争う程の、魔力を保持していた。


 その2人の子であれば、強い魔力の保持は、不思議では無かった。


 

 問題は…

 カチャンとは、それぞれ違う魔力の特性を持つ、アイルとパダムでは、どう頑張っても、導き手には不向きなのだ。

 パダムの養子として育てるなら、同じ特性の魔力を保持する人間を雇い、指導させると言う案もあったが…

 話し合いの結果、クラン公爵家で育てられるのが、一番安全で、将来的にも良いと言う判断をしたのだ。


 ミニャックの子カチャンは、元婚約者のハンガットとブラヌの養子になり、2人に育てられている。


 最も導き手に適したクラン公爵が、カチャンの指導を、喜んで引き受けた。



 生まれた時から、アイルが心から愛し、慈しみ育てた子だからこそ…

 養子に出した今、下手に会えば、カチャンがアイルを恋しがり、傷つけてしまうのではないかと、アイルは恐れていたのだ。

 養父母となったハンガットとブラヌへの、配慮もあった。



「本当に大丈夫でしょうか、私があの子の前に、顔を出しても?」

 祈るように、指を組み合わせ、アイルはハンガットに尋ねた。


「カチャンには3人の母親がいて、みんなあの子を愛していると、伝えてやった方が、気持ちが落ち着いた大人へと成長するはずだと、義父も言っていますから…」


「公爵様が…?」


「はい、 怖いのは、あの子がアイル様に捨てられたのでは無いか… と、感じるコトです」


「まぁ!! ソレはダメだわ、ハンガット様の言う通りです! 今日にでも会いに行ってもよろしいですか?」

 顔を青くして慌てるアイルに…

 ハンガットは、チラリとパダムに視線を送った。



「実はなアイル、私もカチャンに会いたくなって、一緒に行ってはどうかと、誘いに来たのだ」

 パダムはアイルを抱き締めたまま、頬にキスを落とした。



「ええ、行きます!! パダム様、連れて行って下さい!!」



 この日より、アイルは母親ではなく、本来の姿である伯母として…



 カチャンを愛し、慈しむようになった。








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