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3話 秘密の扉
しおりを挟む王宮の地下にある歴代の王族たちが眠る霊廟前で、国王付きの使用人たちを戻らせ、一番奥まで進むと、国王はぺたりと石壁に触れる。
金色に輝く解錠の魔法陣が、白い石壁に浮かび上がり… ゴゴンッ…! と重々しい音を立てて、石の隠し扉が開き、さらに奥へと続くせまい通路があらわれた。
「こ… こんな場所に、隠し扉があるなんて?!」
ハァッ… ハァッ… と熱い息をはきながら、アニマシオンは驚愕の表情で初めて見る、秘密の扉と通路を見つめた。
「これは我が王族の血肉に宿る、魔力にしか反応しない、解錠の魔法陣だ… アニマシオン、このことは誰にも話してはならないぞ? もちろんお前の弟、第二皇子にもだ!」
「はい… 承知しました、父上!」
せまい地下通路を進み、その先に2番目の扉があらわれた。
魔法文字がびっしりと刻まれた、黒光りする木製の扉に国王が触れると、解錠の魔法陣が輝き、ギギギギッ… と扉が開く。
厳重に守られた扉の内側で、すそが石床につくほど長い儀式用の神官服に身を包んだ、国王と同年代の男性オメガが待っていた。
「待たせたな大賢者殿! 思いのほか、アニマシオンがごねたのだ」
「思慮深いアニマシオン殿下ならば、当然のことです… そのような意地悪な言いかたは、お止めください、陛下」
穏やかに微笑みながら、大賢者は国王を諫めた。
「・・・っ?!」
大賢者?! この方が大賢者なのか?! 我がインテルメディオ王国に仕えるのではなく、国王陛下ただ一人に忠誠を誓い… 国王が望む時にのみ、未来視の魔法を行使するという… あの大賢者殿か?!
インテルメディオ王国で大賢者と呼ばれる、未来視の魔法の使い手はたった一人しか存在しない。
王国中に大賢者の存在は知れ渡っているが… そのような貴重な存在を、奪おうと企む他国の間諜や、大賢者を利用して王家を脅かそうとする大貴族たちから守るため、名前も居場所もあかされず、今まで国王の手で厳重に守られて来た。
「そちらの継承は… もう、済んでいるのか?」
「はい、陛下… 滞りなく済んでおります」
「そうか… この時を楽しみに待っていたはずなのに、いざその時が来ると… 何やら名残惜しいものだな…?」
「私はようやく、肩の荷が下りた気分でございますが… 少しばかり、寂しさをを感じております」
「うむ… ピントゥラ、今までご苦労であったな礼を言う…」
国王は労いの言葉をかけ、大賢者の肩をトントンッ… とたたく。
「陛下も… お疲れ様でございました」
大賢者は深々と、丁寧に頭を下げた。
国王は寂しそうに、大賢者の姿を見つめ… 思いを断ち切るようにアニマシオンに命令を下す。
「アニマシオン… ここからは、そなた1人で奥へと進み、“秘儀の間”へ入れ!」
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