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150話 プファオ公爵の攻撃
しおりを挟む最期の近衛騎士を昏倒させ、ホッ… と一息つくリヒト。
だが、突然背後から熱風に襲われ、リヒトは慌てて振り返ると…
「ぐぅわああああぁ――――――っ!!!!!」
紫色の髪をしたリーラ公爵家の長男に、囚人服を着たリヒトの父、プファオ公爵が攻撃を仕掛けていた。
オーベンが鎖を切り、魔法を封じていた手枷足枷を外され、プファオ公爵が魔法を取り戻した時…
ちょうど公爵の視界に、リヒトを背後から狙うリーラ公爵家長男アルムの姿が入った。
慌てて公爵は強力な稲妻をアルムへと放ち、リヒトへの攻撃を阻止したのだ。
「背後から狙うことしか出来ない卑怯者には、死をくれてやろう!!」
こっそりと背後からリヒトを狙ったように…
国王陛下の寝室で、プファオ公爵を背後から狙い気絶させたのも、目の前で断末魔の叫び声を上げるアルムだった。
「アアガッ… ガッア… アガッ――――――ッ!!!!」
プファオ公爵は自分の手と繋がった稲妻に魔力を注いだ。
反撃の余裕も無く白目をむいてビクビクと痙攣するアルムの身体に…
バチッ… バチッ… と激しい音を立ててまとわりつく無数の稲妻で、公爵は容赦なくとどめを刺した。
ぼてっ… とアルムだったものは、シューッ… シューッ… と煙を上げて転がった。
間近でプファオ公爵の、神の裁きを連想させる魔法攻撃を見ていた者たちは、公爵が敵ではなくて良かったと心から女神に感謝した。
「父上!!」
自分が公爵に助けられたのだと知り、慌ててリヒトは公爵に走り寄った。
「リヒト、まだ油断するな!! お前は守られることに慣れ過ぎて、すぐに警戒心を解くくせがあると何度も注意したのを忘れたのか?」
渋い顔で説教する公爵だが…
「申… 申し訳ありません! 父上」
しょんぼりと顔を伏せ、リヒトは背中を丸める。
「だが、以前よりも腕を上げたな… 誇らしいぞ、良くやった!!」
自分の前に立った息子の頭を、プファオ公爵は幼い子供にするように撫でた。
プファオ公爵はリヒトと同様、生真面目過ぎて不器用なのだ。
「ありがとうございます、父上!!」
嬉しそうに顔を上げ、リヒトはニコニコと笑った。
「さぁ! まだ、終わってはいないぞリヒト、今度こそ油断するな!」
「はい!」
常にリヒトの安全を気にかけていたシルトにも…
リヒトの背後から攻撃を仕掛けようとする、アルムの姿は見えていたが、プファオ公爵が狙いを定めたのを見て、シルトは手を出すのを止めて静観していた。
「普段は穏やかな方だが、義父上の戦いぶりは実に荒々しいな…!」
流石、リヒトの父親というだけはあり、怒らせないようにしなければと、シルトは肝にめいじた。
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