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最後は皇帝陛下。
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それからも側妃、側妃の子、皇弟殿下と質問(尋問)したけど此方には接触していなかった。
最後は皇帝陛下か。
皇帝陛下は侍従と近衛騎士副団長と共に入ってきた。
椅子に座り私達を見据える。
「余も尋問するとはな。
さすがはエジエル枢機卿だ。」
嫌味っぽく言ってもエジエル様は眉一つ動かさない。
「いくら枢機卿といえど皇室を侮辱すれば相応の対価は払ってもらうぞ!」
陛下は苛立ったように恫喝する。
ちょっと、エジエル様!
こんだけ怒らせて大丈夫ですか?!
「最後までそう言えるならお好きにどうぞ。
両手で聖玉に触れて下さい。」
·····エジエル様、心臓だけじゃなく神経も合金ですか?
陛下も全く堪えないエジエル様に舌打ちして両手で聖玉に触れる。
「キリカに会った事はありますか?」
「ない。」
「キリカの話を聞いた事はありますか?」
「ある。カルサーリ、ラノシュ、チシスから優秀で明るく優しい平民の娘だと、余とも会えと言ってきた。」
「会わなかった理由は?」
「胡散臭かったからだ。
カルサーリは自分を慮ってくれ周囲の貴族夫人令嬢に辛口だと、ラノシュは自分を甘やかしてくれ人の悪口は言わない、チシスは少し鈍臭く自分には甘えてくると聞けば聞く程警戒したのだ。」
腐っても皇帝、まともな判断だ。
なんか今日一番真面な人を見た気がする。皇帝だけど。
「では、カルサーリ様とクルト殿が共謀してマセル公爵親娘を陥れようとしていた事は知っていましたか?」
エジエル様の質問に陛下は鼻を鳴らして私を見た。
「知っていた。
それでやられるならその程度だ。王太子妃には向かん。
ステナルも同様だ。」
ムカつくが言い返せない。
貴族の経験値が無さすぎる。
「キリカの養女の件は?」
えっ?それは確定でなく私達の推測ですよね。
どうしたのエジエル様?
「·····薄々知っていたが、余がそんな真似はさせん。」
「どう知っていたんですか?」
屑皇帝は一瞬驚いたがすぐにエジエル様を睨む。
「貴様、鎌を掛けたのか?!」
「私はキリカの養女の件があったのか無かったのか、それ以外でも知っているかどうかを知りたかっただけです。
鎌を掛けたのではありません。」
確かにエジエル様の言い方では、後の言葉をどうとでも解釈できる。
皇帝陛下が強く睨んでもエジエル様には意味が無いと思ったのか、諦めて話し出した。
「ミルボーン侯爵家が養女にし、皇后の実家フラムント公爵家が後見に付く話が出ていたようだ。
そのような夢物語を余が許す訳がないがな。」
うーわ、推測がドンピシャだよ!
先生、やっぱり怖いです。
「キリカに関する事柄で他に気付いたことは?」
「他はない。王妃が少しおかしくなったぐらいか?
変わりはいるから構わん。」
·····前言撤回。
この男も屑だ。
自分の奥さんなんだと思ってんだ。
ぶちのめしてやりたい!
「以上で終了です。
ああ、一つ言わなければ。」
エジエル様は感情を伺わせない目で屑皇帝を見据える。
「聖玉に関わる事は口を噤がればなりませんが、それ以外は特に口止めしませんし、今回の皇宮での質問は公表します。
お知りおきを。」
屑皇帝は真っ青になり次に怒りで赤くなった。
「そのようなーー」
アルマエル様が最後まで言わせず嗤ってとどめをさした。
「許されますよ。
言いましたよね、大罪人に関わるかもしれないと。
一国の皇帝に止められると?」
屑皇帝はそれ以上何も言えずまた青くなった。
最後は皇帝陛下か。
皇帝陛下は侍従と近衛騎士副団長と共に入ってきた。
椅子に座り私達を見据える。
「余も尋問するとはな。
さすがはエジエル枢機卿だ。」
嫌味っぽく言ってもエジエル様は眉一つ動かさない。
「いくら枢機卿といえど皇室を侮辱すれば相応の対価は払ってもらうぞ!」
陛下は苛立ったように恫喝する。
ちょっと、エジエル様!
こんだけ怒らせて大丈夫ですか?!
「最後までそう言えるならお好きにどうぞ。
両手で聖玉に触れて下さい。」
·····エジエル様、心臓だけじゃなく神経も合金ですか?
陛下も全く堪えないエジエル様に舌打ちして両手で聖玉に触れる。
「キリカに会った事はありますか?」
「ない。」
「キリカの話を聞いた事はありますか?」
「ある。カルサーリ、ラノシュ、チシスから優秀で明るく優しい平民の娘だと、余とも会えと言ってきた。」
「会わなかった理由は?」
「胡散臭かったからだ。
カルサーリは自分を慮ってくれ周囲の貴族夫人令嬢に辛口だと、ラノシュは自分を甘やかしてくれ人の悪口は言わない、チシスは少し鈍臭く自分には甘えてくると聞けば聞く程警戒したのだ。」
腐っても皇帝、まともな判断だ。
なんか今日一番真面な人を見た気がする。皇帝だけど。
「では、カルサーリ様とクルト殿が共謀してマセル公爵親娘を陥れようとしていた事は知っていましたか?」
エジエル様の質問に陛下は鼻を鳴らして私を見た。
「知っていた。
それでやられるならその程度だ。王太子妃には向かん。
ステナルも同様だ。」
ムカつくが言い返せない。
貴族の経験値が無さすぎる。
「キリカの養女の件は?」
えっ?それは確定でなく私達の推測ですよね。
どうしたのエジエル様?
「·····薄々知っていたが、余がそんな真似はさせん。」
「どう知っていたんですか?」
屑皇帝は一瞬驚いたがすぐにエジエル様を睨む。
「貴様、鎌を掛けたのか?!」
「私はキリカの養女の件があったのか無かったのか、それ以外でも知っているかどうかを知りたかっただけです。
鎌を掛けたのではありません。」
確かにエジエル様の言い方では、後の言葉をどうとでも解釈できる。
皇帝陛下が強く睨んでもエジエル様には意味が無いと思ったのか、諦めて話し出した。
「ミルボーン侯爵家が養女にし、皇后の実家フラムント公爵家が後見に付く話が出ていたようだ。
そのような夢物語を余が許す訳がないがな。」
うーわ、推測がドンピシャだよ!
先生、やっぱり怖いです。
「キリカに関する事柄で他に気付いたことは?」
「他はない。王妃が少しおかしくなったぐらいか?
変わりはいるから構わん。」
·····前言撤回。
この男も屑だ。
自分の奥さんなんだと思ってんだ。
ぶちのめしてやりたい!
「以上で終了です。
ああ、一つ言わなければ。」
エジエル様は感情を伺わせない目で屑皇帝を見据える。
「聖玉に関わる事は口を噤がればなりませんが、それ以外は特に口止めしませんし、今回の皇宮での質問は公表します。
お知りおきを。」
屑皇帝は真っ青になり次に怒りで赤くなった。
「そのようなーー」
アルマエル様が最後まで言わせず嗤ってとどめをさした。
「許されますよ。
言いましたよね、大罪人に関わるかもしれないと。
一国の皇帝に止められると?」
屑皇帝はそれ以上何も言えずまた青くなった。
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