48 / 64
荷馬車の中
しおりを挟む
アルマエル様が人払いをしていたのもあるけど、騎士の巡回も少なく楽に脱出できた。
そういえば王妃の部屋にも侍女が1人もいなかった。
夜中とはいえ深夜番の侍女がいないなんて。
王妃自身も髪に艶がないし、服装も簡素なワンピースで痩せてサイズがあってない。
目に生気もないし、泣き方も人形が涙を流しているようだった。
一緒に来てるのも自分の意思っていうより言われた通りに動いてる感じがする。
教会に着いたらお医者さんに診てもらうように言っとこう。
荷馬車の中に皆乗り込んでリッツヘルムに御者をしてもらって皇宮から離れた。
馬鹿を担いでいた先生は荷馬車に荷物を放り込むように投げた。
凄い音したけど生きてるよね?
皇宮がどんどん離れて行き、やっとホッとした。
乗り心地は悪いけど我慢しないとね。
アヤナは王妃が心配なようで真ん中に座り肩を貸してあげてる。
王妃は虚ろな目で涙を流し続けていた。
さすがにこれは駄目だ。
「アルマエル様。教会に着いたら王妃陛下を医師に診せて下さい。」
アルマエル様はきょとんとした顔をした。
「何故です?何処か怪我でもしているんですか?」
んん?マジで聞いてる?
·····あ、マジだ。
「王妃陛下は多分精神を病んでます。食事もほとんど食べてないかも知れません。
この状態では何も出来ませんよ。」
「尋問に耐えられればいいんじゃないですか?
王妃から聞くのはもうそんなに無いでしょう。」
先生、王妃を見てそれ言う?
こんな時だけアルマエル様と意気投合しないでよ。
私は心の良心アヤナを見たが、仕方ないって顔をしていた。
アヤナですら王妃が医者の治療を受けないのは当然なの?
「お嬢様、罪人をお医者様に診せるなんてしません。」
「母上は罪人じゃない。頼む、医師に診せてくれ!」
皇太子がアルマエル様に縋りついて叫んだ。
「まだ罪人ではないだけです。保護はしますがそれ以上はする必要が無い。
彼女の供述を知れば私の言っている事がわかりますよ。」
幼子に言い聞かせるように話す。
皇太子は俯き震えながら小さな声で答えた。
「知っている。母上が何をしていたか、しようとしていたか。」
「知っているのに罪人ではないと?凄いですね。
あの愚か者と不貞をし、婚約者を非道に貶めるだけあります。
想像上の悪魔を現実に見れるなんて思いませんでした。」
アルマエル様は本当に吃驚して言った。
屑はブルブル震えているが言葉が出てこないようだ。
枢機卿から悪魔呼ばわりされるなんてかなりのショックだろう。
父親からは処刑、母親は心が壊れ、信仰している宗教の枢機卿に悪魔と言われたのだ。
自業自得だけど·····
「同情はしないように。君の心が壊れても皇太子は笑って見てたのだろうから。」
そうだ。暗闇で会ったリアナの目も焦点があってなかった。
そんな風に追い詰めたのはコイツらだ。
だからこそ言わないといけない。
「アルマエル様、王妃陛下はおそらくまともな受け答えはできないと思います。
一度治療してから真実を聞き出す方がキリカの実態がよりわかりますし、それが神の御心にそうのではないでしょうか。」
聖玉での尋問でキリカと会う前から神経が綱渡り状態だったようだし、正気で罪を償って欲しい。
皇太子は勢いよく私の方を向いたけど、あんたの為に言ったんでも王妃の為でもない。
「君は甘すぎる」
「この前痛い目を見たばかりなのに懲りないですね」
「お嬢様~」
先生、アルマエル様、アヤナの順でコメントされた。
私がちゃんと罪を償って欲しくて、自分の為に言ったのに。
なんで伝わらないのよ!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
次回から3話皇太子視点が入ります。
話が暗いですがよろしくお願いいたします(*´︶`*)♥️
そういえば王妃の部屋にも侍女が1人もいなかった。
夜中とはいえ深夜番の侍女がいないなんて。
王妃自身も髪に艶がないし、服装も簡素なワンピースで痩せてサイズがあってない。
目に生気もないし、泣き方も人形が涙を流しているようだった。
一緒に来てるのも自分の意思っていうより言われた通りに動いてる感じがする。
教会に着いたらお医者さんに診てもらうように言っとこう。
荷馬車の中に皆乗り込んでリッツヘルムに御者をしてもらって皇宮から離れた。
馬鹿を担いでいた先生は荷馬車に荷物を放り込むように投げた。
凄い音したけど生きてるよね?
皇宮がどんどん離れて行き、やっとホッとした。
乗り心地は悪いけど我慢しないとね。
アヤナは王妃が心配なようで真ん中に座り肩を貸してあげてる。
王妃は虚ろな目で涙を流し続けていた。
さすがにこれは駄目だ。
「アルマエル様。教会に着いたら王妃陛下を医師に診せて下さい。」
アルマエル様はきょとんとした顔をした。
「何故です?何処か怪我でもしているんですか?」
んん?マジで聞いてる?
·····あ、マジだ。
「王妃陛下は多分精神を病んでます。食事もほとんど食べてないかも知れません。
この状態では何も出来ませんよ。」
「尋問に耐えられればいいんじゃないですか?
王妃から聞くのはもうそんなに無いでしょう。」
先生、王妃を見てそれ言う?
こんな時だけアルマエル様と意気投合しないでよ。
私は心の良心アヤナを見たが、仕方ないって顔をしていた。
アヤナですら王妃が医者の治療を受けないのは当然なの?
「お嬢様、罪人をお医者様に診せるなんてしません。」
「母上は罪人じゃない。頼む、医師に診せてくれ!」
皇太子がアルマエル様に縋りついて叫んだ。
「まだ罪人ではないだけです。保護はしますがそれ以上はする必要が無い。
彼女の供述を知れば私の言っている事がわかりますよ。」
幼子に言い聞かせるように話す。
皇太子は俯き震えながら小さな声で答えた。
「知っている。母上が何をしていたか、しようとしていたか。」
「知っているのに罪人ではないと?凄いですね。
あの愚か者と不貞をし、婚約者を非道に貶めるだけあります。
想像上の悪魔を現実に見れるなんて思いませんでした。」
アルマエル様は本当に吃驚して言った。
屑はブルブル震えているが言葉が出てこないようだ。
枢機卿から悪魔呼ばわりされるなんてかなりのショックだろう。
父親からは処刑、母親は心が壊れ、信仰している宗教の枢機卿に悪魔と言われたのだ。
自業自得だけど·····
「同情はしないように。君の心が壊れても皇太子は笑って見てたのだろうから。」
そうだ。暗闇で会ったリアナの目も焦点があってなかった。
そんな風に追い詰めたのはコイツらだ。
だからこそ言わないといけない。
「アルマエル様、王妃陛下はおそらくまともな受け答えはできないと思います。
一度治療してから真実を聞き出す方がキリカの実態がよりわかりますし、それが神の御心にそうのではないでしょうか。」
聖玉での尋問でキリカと会う前から神経が綱渡り状態だったようだし、正気で罪を償って欲しい。
皇太子は勢いよく私の方を向いたけど、あんたの為に言ったんでも王妃の為でもない。
「君は甘すぎる」
「この前痛い目を見たばかりなのに懲りないですね」
「お嬢様~」
先生、アルマエル様、アヤナの順でコメントされた。
私がちゃんと罪を償って欲しくて、自分の為に言ったのに。
なんで伝わらないのよ!
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
読んで頂きありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)
次回から3話皇太子視点が入ります。
話が暗いですがよろしくお願いいたします(*´︶`*)♥️
10
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。
kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる