ラストで死ぬ主人公に転生したけど死なないから!!

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第一章

20.運命の別れ道~謁見の間~(3)

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扉が開くと1番奥に玉座に座った国王マドルク、右に王妃シルフィーラが座り、左には第二王女リーシェとリーシェの肩を抱いたイルヴァンが立っていた。
臣下達も左右に分かれて立っており、ランセルドは護衛騎士ではなくハルク伯爵として、臣下の列に加わっていた。

ユーリアシェは震えそうになる足を叱咤し、真ん中を顔を上げて歩いていく。
ここから先は瞬き1つも計算していかなければ、破滅に向かって進むことになる。

玉座から20歩手前で止まり最敬礼をしたまま挨拶する。

「第一王女ユーリアシェが両陛下にご挨拶申し上げます」

「楽にしなさい」

「ありがとうごさいます」

ゆっくりと顔を上げ、父である国王を真っ直ぐに見る。
国王マドルクは娘の視線に怯んだようにピクッと揺れたが、そんな自分を恥じるように咳払いをした。

「久し振りだな。ハルシュでは良くやった。」

「勿体ないお言葉にございます」

もう一度礼をして、マドルクを見続ける。
広間中に静寂が広がる。
小説では、空気を読んでユーリアシェから身を引くが、今のユーリアシェはそんなことはしない。

長い沈黙が続き、我慢できなくなったのはリーシェだった。

「お姉様っ!」

静寂の中その声は会場中に響きリーシェ本人も自分の声に驚き続きが出てこなかった。
会場にいる貴族達も驚きにさざ波が起こる。
少数ではあるが城勤めでない貴族もいて、国王と王太女の会話に割ってはいる無礼に不快感をあらわにするものもいた。

(今まで誰もリーシェのすることを咎めたことがないけど今回はどうかしら)

向こうから失態をしてくれるならありがたいが、そんな状態を両親が放っておくはずもない事もわかっていた。

「まあ、リーシェったら、このような場に出ることが少ないから緊張したのね。ユーリアシェも緊張しているのかしら。先程から硬い受け答えよ。そこまで畏まらなくてもいいのよ。」

王妃シルフィーラが優しく諭すように言う。

「ありがとうごさいます王妃陛下。ですが例え家族であっても、このような場では王族として無作法な振舞いはできかねます。」

暗に自分は緊張・・しているのではなく、礼儀・・に乗っ取った対応をしていると伝える。

「なっ」

言い返されるとは思わなかったのだろう。そちらが先にユーリアシェを引き合いに出してリーシェを庇おうとしたのだから、こちらも自分を守らなければ場に喰われる事になる。

「ご容赦下さいませ」

ユーリアシェはシルフィーラに最敬礼をして怒りが解けるのを待つーーーフリをした。

「やめよ。今のは王妃の発言に問題があった。ユーリアシェも母の他愛ない言葉を堅苦しくとるでない。」

国王が間に入ってきたのでユーリアシェは礼を解き、また真っ直ぐに国王マドルクを見る。



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