24 / 63
第一章
23運命の別れ道~謁見の間~(6)
しおりを挟む
「王家に生まれながらなんて身勝手なの!そなたなど生まなければ良かった。平民になってどこへでも行けばいいのよ!!」
「王妃!!」
シルフィーラの言葉に貴族達が騒めきが大きくなる。
マドルクが止めたときには遅く、シルフィーラも己の言葉がどれ程の波紋を呼ぶのか気付いたが、すでに遅かった。
王城官吏の者もユーリアシェを軽んじてはいるが、王太女として優秀で国王の無茶振りにも真摯に取り組んでいたユーリアシェを後継者として認めている。ただ銀髪で、国王や王妃が蔑ろにするから倣っているだけ。
地方領主も幼い頃から王族として国を周り問題が起きれば、自身が先頭に立って王城と連携をとり解決してきた姿を見てきた。
そして先程のユーリアシェの発言も国を割らないためのものだ。
それを身勝手と罵り、剰え生まなければよかったなど、王族として以前に母親として言っていいことではない。
地方貴族は国王や王妃、第二王女に侮蔑の視線を向け、王城の者は気づかない振りをしていた国王一家の歪さに嫌でも向き合わされる結果になった。
「・・・陛下。どうか少しでもわたくしを哀れに思うならばお聞き届け下さい。」
顔を上げず声を震わせて再び告げる。
王妃の暴言に第二王女と婚約者の裏切り、国王の娘を顧みない発言に第一王女であり王太女でもあったユーリアシェの衝撃は、どれ程のものかと誰もがその胸中を思った。
騒めきが消え水を打ったような静けさの中、マドルクは唸るように告げる。
「・・・そなたの望みを叶えよう」
「感謝致します。気分が優れないため、退室をお許し下さい」
「許す」
「殿下、1人では危ない。私を支えに使ってくれ」
「ありがとう」
ユーリアシェは礼をしてふらつく体をカーティスに支えられながら退室する。
扉から出ていく時にチラリとランセルドを見ると何を考えているのかわからない無表情でこちらをじっと見ていた。
無言でカーティスとともに自室に入り扉を閉める。
貴族令嬢なら部屋に異性と2人になることは許されない。王族ならばなおさらだ。
しかし今のユーリアシェの憔悴ぶりを見て扉を守る騎士も侍女も何も言えなかった。
「王妃!!」
シルフィーラの言葉に貴族達が騒めきが大きくなる。
マドルクが止めたときには遅く、シルフィーラも己の言葉がどれ程の波紋を呼ぶのか気付いたが、すでに遅かった。
王城官吏の者もユーリアシェを軽んじてはいるが、王太女として優秀で国王の無茶振りにも真摯に取り組んでいたユーリアシェを後継者として認めている。ただ銀髪で、国王や王妃が蔑ろにするから倣っているだけ。
地方領主も幼い頃から王族として国を周り問題が起きれば、自身が先頭に立って王城と連携をとり解決してきた姿を見てきた。
そして先程のユーリアシェの発言も国を割らないためのものだ。
それを身勝手と罵り、剰え生まなければよかったなど、王族として以前に母親として言っていいことではない。
地方貴族は国王や王妃、第二王女に侮蔑の視線を向け、王城の者は気づかない振りをしていた国王一家の歪さに嫌でも向き合わされる結果になった。
「・・・陛下。どうか少しでもわたくしを哀れに思うならばお聞き届け下さい。」
顔を上げず声を震わせて再び告げる。
王妃の暴言に第二王女と婚約者の裏切り、国王の娘を顧みない発言に第一王女であり王太女でもあったユーリアシェの衝撃は、どれ程のものかと誰もがその胸中を思った。
騒めきが消え水を打ったような静けさの中、マドルクは唸るように告げる。
「・・・そなたの望みを叶えよう」
「感謝致します。気分が優れないため、退室をお許し下さい」
「許す」
「殿下、1人では危ない。私を支えに使ってくれ」
「ありがとう」
ユーリアシェは礼をしてふらつく体をカーティスに支えられながら退室する。
扉から出ていく時にチラリとランセルドを見ると何を考えているのかわからない無表情でこちらをじっと見ていた。
無言でカーティスとともに自室に入り扉を閉める。
貴族令嬢なら部屋に異性と2人になることは許されない。王族ならばなおさらだ。
しかし今のユーリアシェの憔悴ぶりを見て扉を守る騎士も侍女も何も言えなかった。
60
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる