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第一章
26.東の辺境の思い出~カーティス・フォン・スード~
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それから一週間、ユーリアシェはベッドの住人になった。
まだ熱がある状態で連れ出されたのと、辺境伯夫人エセルの優しさに触れて安心したのと、泣いたのとで緊張の糸が切れて高熱をだしたのだ。
熱が下がると、最初の日に挨拶をしてから1度も会わなかった辺境伯夫妻の子供達が、お見舞いに来にきたのだ。長男のカーティスは紫紺色の髪と琥珀色の瞳で当時11才、次男のエリオルは8才で紫紺の髪と金糸雀色の瞳、長女のフィルフェは辺境伯夫人エセルと同じ茜色の髪と桜色の瞳で2才になったばかりだった。
兄妹は皆顔立ちは可愛らしいエセルに似ていたが、カーティスの雰囲気は強面の辺境伯テバンにそっくりで可愛らしさは一欠片もなかった。
最初はカーティスに気後れしていたユーリアシェも、優しく面倒を見て遊んでくれるカーティスに懐いて行き、「ティス兄様」と呼んで雛のようにカーティスに付いて回った。
辺境の人々もそんなユーリアシェを温かく見守ってくれていた。
辺境伯の皆が遠慮がちなユーリアシェを甘えてもいいのだと根気よく諭しかまいたおしたので、居場所を探していたユーリアシェの心が彼らに傾くのは当然の事だった。
2ヶ月の間この地でカーティス兄弟と一緒に勉強や乗馬、木の実取り、追い駆けっこと子供らしい遊びを経験した。
初めはまごついていたが、カーティスがいつも手を引いてやり方を丁寧に教えてくれた。
ここではユーリアシェを冷たい目で見る大人もおらず、走っても口を開けて笑っても貴族言葉を使わなくても咎められなかった。
王都に帰る日、帰りたくないと泣くユーリアシェを辺境伯夫妻はまたおいでと抱き締めてくれた。カーティスも抱き締めて琥珀色の髪留めをくれ来年の約束をしてくれた。
王城に帰ってくると謁見の間に呼ばれ、臣下達の前で体調管理が出来ずにスード辺境伯の手を煩わせたことを叱責され、誰もユーリアシェの体を心配してくれる者はいなかった。
それからも毎年使者として視察団と辺境地を回り、スード辺境伯の所では視察団の目を盗んでカーティス兄妹と過ごした。
カーティスはユーリアシェのことを妹のように可愛がり、ユーリアシェもカーティスを兄のように慕っていた。
辺境伯夫妻も臣下としての礼はとりつつ影でユーリアシェが視察団と離れられるように手を回してくれていた。
1年に1度だけの使者として辺境地を回ることがユーリアシェの唯一の幸せだった。
まだ熱がある状態で連れ出されたのと、辺境伯夫人エセルの優しさに触れて安心したのと、泣いたのとで緊張の糸が切れて高熱をだしたのだ。
熱が下がると、最初の日に挨拶をしてから1度も会わなかった辺境伯夫妻の子供達が、お見舞いに来にきたのだ。長男のカーティスは紫紺色の髪と琥珀色の瞳で当時11才、次男のエリオルは8才で紫紺の髪と金糸雀色の瞳、長女のフィルフェは辺境伯夫人エセルと同じ茜色の髪と桜色の瞳で2才になったばかりだった。
兄妹は皆顔立ちは可愛らしいエセルに似ていたが、カーティスの雰囲気は強面の辺境伯テバンにそっくりで可愛らしさは一欠片もなかった。
最初はカーティスに気後れしていたユーリアシェも、優しく面倒を見て遊んでくれるカーティスに懐いて行き、「ティス兄様」と呼んで雛のようにカーティスに付いて回った。
辺境の人々もそんなユーリアシェを温かく見守ってくれていた。
辺境伯の皆が遠慮がちなユーリアシェを甘えてもいいのだと根気よく諭しかまいたおしたので、居場所を探していたユーリアシェの心が彼らに傾くのは当然の事だった。
2ヶ月の間この地でカーティス兄弟と一緒に勉強や乗馬、木の実取り、追い駆けっこと子供らしい遊びを経験した。
初めはまごついていたが、カーティスがいつも手を引いてやり方を丁寧に教えてくれた。
ここではユーリアシェを冷たい目で見る大人もおらず、走っても口を開けて笑っても貴族言葉を使わなくても咎められなかった。
王都に帰る日、帰りたくないと泣くユーリアシェを辺境伯夫妻はまたおいでと抱き締めてくれた。カーティスも抱き締めて琥珀色の髪留めをくれ来年の約束をしてくれた。
王城に帰ってくると謁見の間に呼ばれ、臣下達の前で体調管理が出来ずにスード辺境伯の手を煩わせたことを叱責され、誰もユーリアシェの体を心配してくれる者はいなかった。
それからも毎年使者として視察団と辺境地を回り、スード辺境伯の所では視察団の目を盗んでカーティス兄妹と過ごした。
カーティスはユーリアシェのことを妹のように可愛がり、ユーリアシェもカーティスを兄のように慕っていた。
辺境伯夫妻も臣下としての礼はとりつつ影でユーリアシェが視察団と離れられるように手を回してくれていた。
1年に1度だけの使者として辺境地を回ることがユーリアシェの唯一の幸せだった。
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