ラストで死ぬ主人公に転生したけど死なないから!!

as

文字の大きさ
34 / 63
第一章

33、運命の別れ道〜波乱~(4)

しおりを挟む
あまりにも叙情的に語り、王女の哀れさを浮き彫りにする。

「スードに異心はありません。先程陛下も仰せられたように王族を抜ければただの平民でございます。野に下った殿下の御身を王家が見れぬのであればスードが御守り致したく存じます。」

「本当にそんな理由でユーリアシェ殿下をスードに連れて行くのかな?誰も信じないと思うけど」

イルヴァンが挑発するように嘲笑う。
カーティスもそれに乗って皮肉げに嗤った。

「アルビス公爵子息殿。貴方が愛だけで第二王女殿下を選んだというよりは、真実味があると思うが?」

その言葉に反応したのはイルヴァンではなく、リーシュだった。

「酷いわ!わたくしとイルヴァンは本当に愛しあっているのよ!!どうしてそんな事が言えるの!?」

「第二王女殿下。アルビス公爵子息殿は陛下との会話に割って入った上に、スードの忠心を疑われた。貴女様と彼の裏切りで全てを失ったユーリアシェ殿下がどんな思いで野に下ると言ったかお解りか?王家の庇護がなければ1日とて無事ではいられまい。それでも国の為に王族の地位を捨てると言われるなら、スードがお守りする。我らは東の守護を自負している。その矜持にかけて殿下も守り抜くつもりだ。」

そう言い切ったカーティスは、誇り高い東の守護神と呼ばれるイバン・フォン・スード辺境伯の後を継ぐに相応しい雄々しさだった。

「だ、だったら王女として残ったら・・・」

今までの話を聞いてなかったのか!と怒鳴り付けたいのを我慢して子供に諭すように話す。

「第二王女殿下。実績のない貴女の側に、何の非もなく降ろされた優秀なユーリアシェ殿下がいれば誰もが納得などしないのですよ。国の為に心を殺し身を削ってきたユーリアシェ殿下以上を求められ続けるのです。貴女にそれができるのですか?」

「でもーーー」

「やめなさい」

「お父様!」

「そなたは王女としての義務でなく愛を選んだのだ。今からは王太女としての責務を果たさねばならん。それが愛をとった代償だ。」

マドルクはカーティスの不敬に目を瞑り、イルヴァンを睨み付けた。

「イルヴァンよ、そなたは王女の婚約者ではあるが王女より上ではない。それは婚姻しても変わることはない。何故王の許しなく会話に割って入った?そなたは王より上のつもりか?」

「申し訳ございません」

(自分の王配の地位が揺るがなかったから調子に乗っちゃったんだね。さて王様はどうするのかな?)

ユーリアシェはだんだん観客の気持ちになって成り行きを楽しんでいた。

「イルヴァン、そなたの驕りが王太女の婚約者からきているのなら、婚約を見直さねばならん」

「えっ!?」(えっ!?)

不覚にもイルヴァンと被ってしまい普段なら落ち込むが、それよりもマドルクの発言に驚愕する。
観客から一転、当事者に戻った。








しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。

文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。 父王に一番愛される姫。 ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。 優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。 しかし、彼は居なくなった。 聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。 そして、二年後。 レティシアナは、大国の王の妻となっていた。 ※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。 小説家になろうにも投稿しています。 エールありがとうございます!

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~

涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...