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第一章
39、愚か者〜リーシェ〜
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防音のしっかりした応接間にユーリアシェとカーティスが並んで座り、対面にリーシェとイルヴァンが座った。ランセルドはリーシェの後ろにたつ。
最初に口火をきったのはリーシェだ。
「お姉様、ここから出ていくなんて言わないで。
お姉様を裏切るつもりはなかったの!
だけどイルヴァン様を諦められなかった!!
お姉様を愛する気持ちは嘘ではないわ!!」
リーシェの身勝手な言葉に絶句する。
よくもここまで自分の気持ちを通そうと出来るものだ。
「リーシェ、貴女は王女なのよ。それ以前に人として姉の婚約者を奪い、地位を奪うのがどれ程非道かわからないの?」
「お姉様はイルヴァン様を愛していなかったじゃない!」
「わたくしとイルヴァン様は愛ではなく政略によるものだったのよ。国の為に愛よりも益をとるのが王族の務めなの。」
「そんなのおかしいわ!」
「王女として生まれながら、国の犠牲になるなど考えない貴女からしたらおかしいでしょうね。」
リーシェの言葉を鼻で笑う。
「貴女は王太女となった。これから嫌でもわかるわ。」
リーシェの顔が真っ青になる。今日で少しは感じたのだろう。
個人の愛など、国という巨大な組織の前では砂粒程も価値がない。
喋れなくなったリーシェの肩を抱き、イルヴァンが説得しようと困った様な顔でこちらを見る。
「ユーリアシェ殿下。貴女には辛い思いをさせてしまった。
でもリーシェを嫌いになった訳ではないだろう?
貴女達には姉妹の絆がある。せめてリーシェが王太女として認められる迄でいい。助けてくれないか。
それに陛下も貴女の事は考えていたんだ」
チラッとランセルドを見てユーリアシェに微笑む。
(やっぱりあの時にランセルドと婚約させる気だったんだ。その話が出る前に王女辞めるっていって正解だった!)
危機一髪を逃れられた感慨に浸っていると、隣から嘲笑う声が聞こえた。
「第二王女殿下、イルヴァン殿。余りにも虫がよすぎませんか?貴方たちはユーリアシェ様を裏切り、王太女から追い落とした張本人だ。
それなのに愛してるだの姉妹の絆だの、綺麗事並べたって誰も信じません。
ユーリアシェ殿下は貴方達の為に生きてる訳じゃない。」
カーティスはリーシェを見据える。
「王太女として認められる?
王が言ったように王女としての義務を果たさず遊んで暮し、姉から欲のまま全てを奪う女を次期女王と認める貴族なぞおらんよ。」
「わたくしだって王女としてーー」
「茶会や夜会に出て、偶に孤児院を訪問する事は王女の責務とは言わない。貴女はユーリアシェ殿下を愛してると言いながら、彼女の何を見ていたんだ。」
リーシェの反論をカーティスは切って捨てる。
リーシェは口をハクハクと動かすだけで言葉が出てこないようだ。
「リーシェ、イルヴァン様、貴方達が選んだのよ。もう後戻りは出来ないわ。わたくしは助けない。愛とやらで二人で乗り越えなさい。」
リーシェは真っ青になり
「お姉様·····」
とか細い声で此方に手を伸ばそうとしたが、ユーリアシェの冷たい目に絶望した様に力無く腕を下ろした。
最初に口火をきったのはリーシェだ。
「お姉様、ここから出ていくなんて言わないで。
お姉様を裏切るつもりはなかったの!
だけどイルヴァン様を諦められなかった!!
お姉様を愛する気持ちは嘘ではないわ!!」
リーシェの身勝手な言葉に絶句する。
よくもここまで自分の気持ちを通そうと出来るものだ。
「リーシェ、貴女は王女なのよ。それ以前に人として姉の婚約者を奪い、地位を奪うのがどれ程非道かわからないの?」
「お姉様はイルヴァン様を愛していなかったじゃない!」
「わたくしとイルヴァン様は愛ではなく政略によるものだったのよ。国の為に愛よりも益をとるのが王族の務めなの。」
「そんなのおかしいわ!」
「王女として生まれながら、国の犠牲になるなど考えない貴女からしたらおかしいでしょうね。」
リーシェの言葉を鼻で笑う。
「貴女は王太女となった。これから嫌でもわかるわ。」
リーシェの顔が真っ青になる。今日で少しは感じたのだろう。
個人の愛など、国という巨大な組織の前では砂粒程も価値がない。
喋れなくなったリーシェの肩を抱き、イルヴァンが説得しようと困った様な顔でこちらを見る。
「ユーリアシェ殿下。貴女には辛い思いをさせてしまった。
でもリーシェを嫌いになった訳ではないだろう?
貴女達には姉妹の絆がある。せめてリーシェが王太女として認められる迄でいい。助けてくれないか。
それに陛下も貴女の事は考えていたんだ」
チラッとランセルドを見てユーリアシェに微笑む。
(やっぱりあの時にランセルドと婚約させる気だったんだ。その話が出る前に王女辞めるっていって正解だった!)
危機一髪を逃れられた感慨に浸っていると、隣から嘲笑う声が聞こえた。
「第二王女殿下、イルヴァン殿。余りにも虫がよすぎませんか?貴方たちはユーリアシェ様を裏切り、王太女から追い落とした張本人だ。
それなのに愛してるだの姉妹の絆だの、綺麗事並べたって誰も信じません。
ユーリアシェ殿下は貴方達の為に生きてる訳じゃない。」
カーティスはリーシェを見据える。
「王太女として認められる?
王が言ったように王女としての義務を果たさず遊んで暮し、姉から欲のまま全てを奪う女を次期女王と認める貴族なぞおらんよ。」
「わたくしだって王女としてーー」
「茶会や夜会に出て、偶に孤児院を訪問する事は王女の責務とは言わない。貴女はユーリアシェ殿下を愛してると言いながら、彼女の何を見ていたんだ。」
リーシェの反論をカーティスは切って捨てる。
リーシェは口をハクハクと動かすだけで言葉が出てこないようだ。
「リーシェ、イルヴァン様、貴方達が選んだのよ。もう後戻りは出来ないわ。わたくしは助けない。愛とやらで二人で乗り越えなさい。」
リーシェは真っ青になり
「お姉様·····」
とか細い声で此方に手を伸ばそうとしたが、ユーリアシェの冷たい目に絶望した様に力無く腕を下ろした。
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