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第一章
42、愚か者〜国王〜
侍従が執務室の扉をノックすると、誰か確認もせず中から扉が開いた。
ユーリアシェは一瞬驚くが急いで礼をする。
「国王陛下にーーー」
「挨拶はいい。そこに座れ。」
いつもなら臣下のように挨拶をさせる国王マドルクに余裕の無さを感じた。
ユーリアシェはソファに座り、カーティスはユーリアシェの後ろに立つ。
マドルクもユーリアシェの対面に座り1枚の紙をおいた。
「これにサインをせよ」
紙を受け取り、カーティスも見えるようにする。
それは王族復帰届だった。
ユーリアシェは驚いてマドルクの顔を見る。
いつもは目線を合わせない父親が娘を見据える。
「このような真似をすれば、貴族の忠信は王家から離れていきます。
それが分からぬ訳ではありますまい。」
2度目の謁見で感じた違和感を強くする。
「すでに先程のやり取りで王家の威信など地に落ちた。
リーシェが王太女では、更に貴族の心は離れていく。
挽回できるのはそなたしかおらん。」
リーシェが跡継ぎに不向きなのは、生まれた時から見ている国王が1番知っていたではないのか。
それをリーシェ可愛さに目が曇って愚かな決断をしたのは目の前の男だ。
「あのような醜態を演じた後ではわたくしにもどうする事も出来ません。
先程リーシェや王妃陛下にも伝えましたが、リーシェの後始末をわたくしに押し付けるはいい加減おやめ下さい。」
不敬を承知で言ったが、それとは別の所に反応した。
「王妃陛下か·····
そなたは1度もわしらを父や母と呼ぶことはなかったな。」
「? 呼ぶ機会などなかったからです。
公式に会うだけで、私的に会ったことなどほとんどなかったではありませんか。」
何を今更なことを言っているのだろう。
どうもおかしいとユーリアシェはマドルクの真意を探るように見る。
「そなたは不満も不平も、何も言わなんだ。」
「言った所で叱責を受けるだけなので。
幼子でも自分がどう思われているかわかるのです。王妃陛下は特にわかりやすい方でしたから。」
「そうか·····」
マドルクは少し俯き考え込んでいたが、徐に顔をあげた。
「そなたには長年辛い思いをさせたが、今は王家存続の為にこれにサインをしてもらう。」
ユーリアシェを蔑ろにしていたと認めておいて、まだ言うのかと苛立ちが強まる。
「言ったはずです。リーシェの後始末はリーシェ本人にさせて下さい。
今回の事はリーシェが望み陛下が叶えたのです。
わたくしには何の関係もありません。」
何度も同じ事を言わせるのか、マドルクを見据えながら拒否する。
「これは王命だ」
その言葉にユーリアシェは唇を噛む。
王族を離れても、リグスタ王国の民である限り王命に逆らえない。
震える手でペンを持とうとすると後ろから静止の声がかかった。
ユーリアシェは一瞬驚くが急いで礼をする。
「国王陛下にーーー」
「挨拶はいい。そこに座れ。」
いつもなら臣下のように挨拶をさせる国王マドルクに余裕の無さを感じた。
ユーリアシェはソファに座り、カーティスはユーリアシェの後ろに立つ。
マドルクもユーリアシェの対面に座り1枚の紙をおいた。
「これにサインをせよ」
紙を受け取り、カーティスも見えるようにする。
それは王族復帰届だった。
ユーリアシェは驚いてマドルクの顔を見る。
いつもは目線を合わせない父親が娘を見据える。
「このような真似をすれば、貴族の忠信は王家から離れていきます。
それが分からぬ訳ではありますまい。」
2度目の謁見で感じた違和感を強くする。
「すでに先程のやり取りで王家の威信など地に落ちた。
リーシェが王太女では、更に貴族の心は離れていく。
挽回できるのはそなたしかおらん。」
リーシェが跡継ぎに不向きなのは、生まれた時から見ている国王が1番知っていたではないのか。
それをリーシェ可愛さに目が曇って愚かな決断をしたのは目の前の男だ。
「あのような醜態を演じた後ではわたくしにもどうする事も出来ません。
先程リーシェや王妃陛下にも伝えましたが、リーシェの後始末をわたくしに押し付けるはいい加減おやめ下さい。」
不敬を承知で言ったが、それとは別の所に反応した。
「王妃陛下か·····
そなたは1度もわしらを父や母と呼ぶことはなかったな。」
「? 呼ぶ機会などなかったからです。
公式に会うだけで、私的に会ったことなどほとんどなかったではありませんか。」
何を今更なことを言っているのだろう。
どうもおかしいとユーリアシェはマドルクの真意を探るように見る。
「そなたは不満も不平も、何も言わなんだ。」
「言った所で叱責を受けるだけなので。
幼子でも自分がどう思われているかわかるのです。王妃陛下は特にわかりやすい方でしたから。」
「そうか·····」
マドルクは少し俯き考え込んでいたが、徐に顔をあげた。
「そなたには長年辛い思いをさせたが、今は王家存続の為にこれにサインをしてもらう。」
ユーリアシェを蔑ろにしていたと認めておいて、まだ言うのかと苛立ちが強まる。
「言ったはずです。リーシェの後始末はリーシェ本人にさせて下さい。
今回の事はリーシェが望み陛下が叶えたのです。
わたくしには何の関係もありません。」
何度も同じ事を言わせるのか、マドルクを見据えながら拒否する。
「これは王命だ」
その言葉にユーリアシェは唇を噛む。
王族を離れても、リグスタ王国の民である限り王命に逆らえない。
震える手でペンを持とうとすると後ろから静止の声がかかった。
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