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第8篇 as long as you love me
第9話
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ある頃から、ペコの笑顔が陰るようになったことにアッサムは気づいた。
怪我をしている様子はない、具合が悪いわけでもない。けれどもいくら美しい光景や楽しい旅をしていても、ペコの可憐な笑顔に陰が差すのだ。
それはじわりじわりと滲むシミのような、アッサムの心に不安を生む膿だった。
そしてその頃くらいから、ペコはよくランプの魔人との契約や、3つ目の願い事について口にするようになっていた。
♦︎
「ペコ様、見てよ!花が光を吐き出してるよ!」
「……うん…」
2人は旅の途中で聞いた、世にも珍しい光を生む花というものを見に夜の花畑へと出掛けていた。
花畑から少し離れた所に布を敷き、ポットに温めたお茶を入れ、クッキーやマドレーヌ等を持って夜のピクニックを楽しんでいたが、当の花が光を吐き出す幻想的な光景を目の当たりにしてもペコの返事はどこか心あらずだった。
気づけば見て見て!と不思議な光景にはしゃぐのはすっかりアッサムばかりになっていた。
「…ペコ様?」
「……うん…」
「寒くない?」
「……うん…」
「お腹空かない?ほら、あーん」
「……うん…」
「…もう今夜は宿に帰るかい?」
「……う、ん………あっ!?ご、ごめん!嘘嘘!まだ帰らない!ごめん考え事してた!」
視界にチラつく光の種に、ハッと我に帰ったペコの目に入ったのは、へにゃりと眉尻を下げたアッサムだった。
「大丈夫。この光景は今夜だけじゃないっていうし、ペコ様が心から楽しめないならまたにしようよ」
「違うの!ごめんなさい…楽しんでないわけじゃないのよ!ただ、ちょっと…気になることがあって…」
アッサムと同じように眉を下げてショボくれた顔を見せるペコに、アッサムはため息を1つ吐いてポットからまだ熱いお茶をカップに注いでペコに渡す。
「ねえ、じゃあさ、ペコ様がここ最近ずっと気になってること、私にも教えてよ。一緒に考えて──」
「駄目よ!!それは駄目!!」
「!」
バシャリと音をたてて、ペコの手から落ちたカップからお茶が地面にこぼれる。
ペコの強い拒否に目を丸くするアッサムを見て、ペコはきまりが悪い顔をするものの、すぐに目を逸らして立ち上がる。
「わ、私やっぱり今夜は宿に帰るわね…お茶、ごめん…」
「…」
ペコの背中が遠くなっていく。
──パチン!
一瞬でこぼれたお茶もフチが欠けてしまったカップも消える。
──パチン!
地面に敷いていた布が消え、今か今かと食べられるのを待っていた美味しそうなクッキー達も跡形もなく消え去る。
「…あんなにはっきり拒絶されたのは、魔法の契約をして以来だなぁ」
光る種を吐き出す花畑の只中で、アッサムは1人その幻想的な光景を息が白くなるのも構わず眺めていた。
♦︎
ペコは1人先に戻った宿で、ベッドに倒れ込んで頭から布団を被っていた。
ため息とどうしてアッサムにあんな態度をとってしまったのかという後悔だけが出てくる。
もう何度目か分からないため息を吐いてから、ペコはおもむろにベッド脇に置いておいたリュックからある物を取り出す。
もう随分と昔にアッサムからお土産として貰ったあの猿の人形だった。
人形の背中にあるツマミを回すと、猿が手を動かし、備え付けられているシンバルを叩く動きをする。実際にシンバルを鳴らす五月蝿い音はしないが、中にオルゴールでも内蔵されているのか人形からは美しい音楽が鳴る。
「…素敵な音」
いつの間にかこの猿の人形は、ペコの宝物になっていた。
何か辛い事があった時、嬉しい事があった時、そして何もなくともペコは人形のツマミを回し音楽に耳を傾けた。
心を落ち着かせてくれる音を聴きながら、ペコは目をつむる。
頭を占めるのは、ここ最近決まって見る夢についてだった。
毎晩毎晩、夢の中にかつてランプの魔人の主人だったという美しい女性が現れてペコに必死に懇願してくるのだ。
契約の期間が長引けばランプの魔人に科されるペナルティについて、ランプの魔人の運命について。
それらはペコにとっては全くの初耳のことばかりで、真実なのかペコの心が生み出した妄想なのかは判断がつかなかった。
そして夢の終わりに、その女性は必ず涙ながらにペコに訴えるのだ。
〝どうかアッサムを、ランプの魔人の恐ろしい運命から救って〟と。
♦︎
翌朝もいつもの悪夢にうなされ起きたペコは、額に浮かぶ汗をぬぐいながらベッドから起き上がった。
隣を見れば、布団が盛り上がって規則的に上下している。
そっとアッサムの眠っているベッドの近くまで近づくと、いつの頃からかお決まりになった行ってきますのキスをアッサムの米神あたりに落としてペコは部屋を出た。
♦︎
眠るアッサムを部屋に残し、今滞在している街の朝市へ出掛けたペコは、片手で持てる軽食を1つ買い、それを食べながら活気のある朝市を見て回った。
いつだかアッサムと見て回った、美しくも妖しい商品が並ぶ市場と比べると小規模だが、それでも人々の顔には笑顔が浮かび大きな声で屋台の店主達が客を呼び込んでいる。
良い街だな、そんな事を思ってペコは足を奥へ奥へと進める。
ふと、ペコの目が建物と建物の間、狭い路地へ向けられた。そしてそれを確認した瞬間、ペコの心臓がどきりと大きな音をたてて跳ね上がる。
「っ!」
片手に持っていた軽食を投げ捨てて、その狭い通りへと走り出す。
息も乱れたまま、ペコは真っ赤な布を地面にそのまま広げている露天商の前に立つ。
「…ねぇ」
「…」
「ねぇ、おじいさんってば!」
「……いらっしゃい、何か用かい?」
それはまるきりあの日の再現だった。
あの日、幼いペコの前で魔人の魔法のランプを売っていた老爺が、あの日と変わらぬ姿で居た。
「…おんやぁ…いつだかにランプを売ったお嬢ちゃんだねぇ。ひっひっ…随分長い事魔人と契約しとるようだ…珍しいねぇ…」
「…!」
ぞくりとした得体の知れない何かがペコの背筋を這う。
ドクドクと五月蝿い心臓を宥めて、ペコは老爺へと口を開く。今、ここでこの老爺に会ったのもきっと何かの運命だと思って。
「あの!おじいさんは…ランプの魔人について、詳しく知ってる?」
「勿論…自分が売ってる商品のことくらいちゃぁんと知っとるとも…ひっひっひっ…」
ペコはごくりと唾を飲み込む。
「ランプの魔人の…運命については?」
「魔人の運命…?はて、どれについてか…やつらには縛りやルールが細かく1つ1つ厳しく設けられとるからのう…」
「…ランプの魔人を、自由にすることのルールは?」
「おお、それなら。ランプの魔人ってのは、魔人自身が魔法の契約で縛られててなぁ。これがまたけったいな契約で、ランプの魔人でいる間は自分の意思で魔法は使えないし、主人が現れない間はずうっとランプの中の亜空間に閉じ込められたままなのよ。主人が願い事として魔人の自由を願ってくれない限り、永遠にのぉ」
老爺がケタケタと笑い、口の隙間から穴だらけの黄色い歯が覗く。
「そんな…やっぱり…」
「なんじゃ、お嬢ちゃんはランプの魔人の自由を願うのかい?やめとけやめとけ、お嬢ちゃんが魔人から何を聞いたのか知らんがのう、魔人なんて生き物はあの手この手、嘘八百を並べてなんとか自由になりたいと企んでる性悪ばかりよ。握られてる命とはいえ、自分の命は大事に扱うこって…ひっひっひっひっひっ…」
「…」
ペコがずっと聞きたかった事を聞いた瞬間、路地の奥から強い風が吹いた。
咄嗟に手で顔を覆い、風が弱まってからペコが顔を上げると、そこにはもう老爺の姿はなかった。
「……」
ペコは呆然と何もない路地で立ち尽くす。
長い旅の終わりを、ペコは初めて意識した。
怪我をしている様子はない、具合が悪いわけでもない。けれどもいくら美しい光景や楽しい旅をしていても、ペコの可憐な笑顔に陰が差すのだ。
それはじわりじわりと滲むシミのような、アッサムの心に不安を生む膿だった。
そしてその頃くらいから、ペコはよくランプの魔人との契約や、3つ目の願い事について口にするようになっていた。
♦︎
「ペコ様、見てよ!花が光を吐き出してるよ!」
「……うん…」
2人は旅の途中で聞いた、世にも珍しい光を生む花というものを見に夜の花畑へと出掛けていた。
花畑から少し離れた所に布を敷き、ポットに温めたお茶を入れ、クッキーやマドレーヌ等を持って夜のピクニックを楽しんでいたが、当の花が光を吐き出す幻想的な光景を目の当たりにしてもペコの返事はどこか心あらずだった。
気づけば見て見て!と不思議な光景にはしゃぐのはすっかりアッサムばかりになっていた。
「…ペコ様?」
「……うん…」
「寒くない?」
「……うん…」
「お腹空かない?ほら、あーん」
「……うん…」
「…もう今夜は宿に帰るかい?」
「……う、ん………あっ!?ご、ごめん!嘘嘘!まだ帰らない!ごめん考え事してた!」
視界にチラつく光の種に、ハッと我に帰ったペコの目に入ったのは、へにゃりと眉尻を下げたアッサムだった。
「大丈夫。この光景は今夜だけじゃないっていうし、ペコ様が心から楽しめないならまたにしようよ」
「違うの!ごめんなさい…楽しんでないわけじゃないのよ!ただ、ちょっと…気になることがあって…」
アッサムと同じように眉を下げてショボくれた顔を見せるペコに、アッサムはため息を1つ吐いてポットからまだ熱いお茶をカップに注いでペコに渡す。
「ねえ、じゃあさ、ペコ様がここ最近ずっと気になってること、私にも教えてよ。一緒に考えて──」
「駄目よ!!それは駄目!!」
「!」
バシャリと音をたてて、ペコの手から落ちたカップからお茶が地面にこぼれる。
ペコの強い拒否に目を丸くするアッサムを見て、ペコはきまりが悪い顔をするものの、すぐに目を逸らして立ち上がる。
「わ、私やっぱり今夜は宿に帰るわね…お茶、ごめん…」
「…」
ペコの背中が遠くなっていく。
──パチン!
一瞬でこぼれたお茶もフチが欠けてしまったカップも消える。
──パチン!
地面に敷いていた布が消え、今か今かと食べられるのを待っていた美味しそうなクッキー達も跡形もなく消え去る。
「…あんなにはっきり拒絶されたのは、魔法の契約をして以来だなぁ」
光る種を吐き出す花畑の只中で、アッサムは1人その幻想的な光景を息が白くなるのも構わず眺めていた。
♦︎
ペコは1人先に戻った宿で、ベッドに倒れ込んで頭から布団を被っていた。
ため息とどうしてアッサムにあんな態度をとってしまったのかという後悔だけが出てくる。
もう何度目か分からないため息を吐いてから、ペコはおもむろにベッド脇に置いておいたリュックからある物を取り出す。
もう随分と昔にアッサムからお土産として貰ったあの猿の人形だった。
人形の背中にあるツマミを回すと、猿が手を動かし、備え付けられているシンバルを叩く動きをする。実際にシンバルを鳴らす五月蝿い音はしないが、中にオルゴールでも内蔵されているのか人形からは美しい音楽が鳴る。
「…素敵な音」
いつの間にかこの猿の人形は、ペコの宝物になっていた。
何か辛い事があった時、嬉しい事があった時、そして何もなくともペコは人形のツマミを回し音楽に耳を傾けた。
心を落ち着かせてくれる音を聴きながら、ペコは目をつむる。
頭を占めるのは、ここ最近決まって見る夢についてだった。
毎晩毎晩、夢の中にかつてランプの魔人の主人だったという美しい女性が現れてペコに必死に懇願してくるのだ。
契約の期間が長引けばランプの魔人に科されるペナルティについて、ランプの魔人の運命について。
それらはペコにとっては全くの初耳のことばかりで、真実なのかペコの心が生み出した妄想なのかは判断がつかなかった。
そして夢の終わりに、その女性は必ず涙ながらにペコに訴えるのだ。
〝どうかアッサムを、ランプの魔人の恐ろしい運命から救って〟と。
♦︎
翌朝もいつもの悪夢にうなされ起きたペコは、額に浮かぶ汗をぬぐいながらベッドから起き上がった。
隣を見れば、布団が盛り上がって規則的に上下している。
そっとアッサムの眠っているベッドの近くまで近づくと、いつの頃からかお決まりになった行ってきますのキスをアッサムの米神あたりに落としてペコは部屋を出た。
♦︎
眠るアッサムを部屋に残し、今滞在している街の朝市へ出掛けたペコは、片手で持てる軽食を1つ買い、それを食べながら活気のある朝市を見て回った。
いつだかアッサムと見て回った、美しくも妖しい商品が並ぶ市場と比べると小規模だが、それでも人々の顔には笑顔が浮かび大きな声で屋台の店主達が客を呼び込んでいる。
良い街だな、そんな事を思ってペコは足を奥へ奥へと進める。
ふと、ペコの目が建物と建物の間、狭い路地へ向けられた。そしてそれを確認した瞬間、ペコの心臓がどきりと大きな音をたてて跳ね上がる。
「っ!」
片手に持っていた軽食を投げ捨てて、その狭い通りへと走り出す。
息も乱れたまま、ペコは真っ赤な布を地面にそのまま広げている露天商の前に立つ。
「…ねぇ」
「…」
「ねぇ、おじいさんってば!」
「……いらっしゃい、何か用かい?」
それはまるきりあの日の再現だった。
あの日、幼いペコの前で魔人の魔法のランプを売っていた老爺が、あの日と変わらぬ姿で居た。
「…おんやぁ…いつだかにランプを売ったお嬢ちゃんだねぇ。ひっひっ…随分長い事魔人と契約しとるようだ…珍しいねぇ…」
「…!」
ぞくりとした得体の知れない何かがペコの背筋を這う。
ドクドクと五月蝿い心臓を宥めて、ペコは老爺へと口を開く。今、ここでこの老爺に会ったのもきっと何かの運命だと思って。
「あの!おじいさんは…ランプの魔人について、詳しく知ってる?」
「勿論…自分が売ってる商品のことくらいちゃぁんと知っとるとも…ひっひっひっ…」
ペコはごくりと唾を飲み込む。
「ランプの魔人の…運命については?」
「魔人の運命…?はて、どれについてか…やつらには縛りやルールが細かく1つ1つ厳しく設けられとるからのう…」
「…ランプの魔人を、自由にすることのルールは?」
「おお、それなら。ランプの魔人ってのは、魔人自身が魔法の契約で縛られててなぁ。これがまたけったいな契約で、ランプの魔人でいる間は自分の意思で魔法は使えないし、主人が現れない間はずうっとランプの中の亜空間に閉じ込められたままなのよ。主人が願い事として魔人の自由を願ってくれない限り、永遠にのぉ」
老爺がケタケタと笑い、口の隙間から穴だらけの黄色い歯が覗く。
「そんな…やっぱり…」
「なんじゃ、お嬢ちゃんはランプの魔人の自由を願うのかい?やめとけやめとけ、お嬢ちゃんが魔人から何を聞いたのか知らんがのう、魔人なんて生き物はあの手この手、嘘八百を並べてなんとか自由になりたいと企んでる性悪ばかりよ。握られてる命とはいえ、自分の命は大事に扱うこって…ひっひっひっひっひっ…」
「…」
ペコがずっと聞きたかった事を聞いた瞬間、路地の奥から強い風が吹いた。
咄嗟に手で顔を覆い、風が弱まってからペコが顔を上げると、そこにはもう老爺の姿はなかった。
「……」
ペコは呆然と何もない路地で立ち尽くす。
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