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一章
合体魔法
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「行きます!」
向日葵達を視界に捉える高さまで飛翔すると、即座に「愚者の咆哮」を構える。
早くしなければ……
炎の壁は師匠の放つ魔法の余波を防ぐ意味もある。
キレ具合によるか……
炎の壁が紙の様に切り裂かれる未来しか見えない。
最早何と戦っているのか分からないが、過程は一つ、アイツらを消滅させる!
先程焼き尽くした炎の柱を召喚する魔法陣を構築するべく、魔力を込めると、呼応する様に宝玉が白い光を放つ。
巨大な向日葵を中心に円形の魔法陣が重なるよう五つ発現させ、全ての向日葵を魔法陣に捉える。
一気に魔力を持って行かれるが、まだ余裕はありそうだ。
修行の成果がここで出た。
魔法陣が一斉に輝くと五つの魔法陣から火柱が上がり、焼いていく。
断末魔の様な叫び声が上がる中より一層、温度を上げて行くが、かなり耐久力がある。
焼き尽くのが先か、魔力と精神力が尽きるのが先か、持久力勝負!
「まったく、世話のかかる弟子だ!」
隣に師匠が並ぶと「深淵」が紅く光る。
五つの魔法陣を繋げ火柱を上げる上空に一つの巨大な魔法陣が浮かび上がり、その上に三つ円錐状に魔法陣が重なるのが見えた。
大気の動きが変わる。
現れた魔法陣は火柱を抑え込む様に上から押し潰すし密度を上げて行く。
同時に酸素を送り込んでいる様で、どんどん火力が上がって行く。
師匠と弟子の合体魔法と言うべきモノなのだが、こちらの魔法に合わせて爆散しない魔力のコントロールと発現した魔法の威力を上げる為酸素を送り込む、多分風の魔法と周囲に余波が出ない様に結界で覆っているのだろうが、多重魔法を軽く操る凄さにまた、力の差を感じてしまう。
しかし!
周辺被害を考えた魔法構築をあの師匠がしている!
ちょっとガッツポーズをしてしまう。
「師匠も成長しましたね!」
とは心の中の叫びだ。
睨まれているのが、気付かないフリをし、更に魔力を込め押し返すが、青白い高火力に切り替わった瞬間押しつぶされた。
瞬時に余波も押さえ込んだ様で、後には焼け野原が広がるのみだ。
「ご苦労様!」
珍しく明るい声で労ってくれる。
珍しいが嬉しい。
少しニヤけてしまうが、本気で成長が見られた時は、ちゃんと褒めてくれる。
飴と鞭と達人なのだよ。
若干、いや大分、ほとんど鞭だけど……
「師匠こそお疲れ様でした。あれなんです?」
「そんな難しい事は無い、普段から使っている魔法を用途に応じて多重展開しただけだ、ポイントはそれぞれの効果範囲と威力の調整だけだ。練習すれば君でも出来るさ」
あっ、サラッと次のお題が出た。
今度はどんな無茶な修行が始まるんだろう……
インディアの遺跡では、普段に比べると楽だったから反動が怖い。
「が、頑張ります……」
実際原理は分かるのだが、多重展開とは並列思考で構築する必要がある。
魔術士は術として魔法を発現させているので詠唱が必須だ。
そうなると多重展開は物理的に不可能で原則一つの魔法しか発現する事は出来ない。
僕らの魔法は術では無くイメージを基本としているので原理としては可能なのだが、アイツの頭どうなってんの?と言われるぐらいの頭脳が無いと出来ない技だ。
そんな事を考え地面に降り立つ
「今頃街は大騒ぎでしょうね」
あれだけ派手な魔法を発現したのだ、街から見える。
しかも魔術士が揃って門で警戒しているのだからまず誤魔化せない。
「ため息交じりに他人事だが、そもそもあの規模の魔法をぶっ放したのは君だぞ!」
「あっ!」
師匠の暴走を止める為に無我夢中で展開したが二十メートルは火柱が上がった筈だ。
「後、あれ!」
師匠指差す先には水源手前に輝く炎の壁が、横五十メートル、高さ三十メートルに渡り存在していた。
「あ、あれ……」
「誤魔化すのは無理だと思うぞ。まったく!」
師匠が絡むと毎回これだ……
少しは成長しないと。
心に誓う。
「後始末するぞ」
渾身の炎の壁を一瞥をくれただけで解除するとまだ燻る焼け野原に歩き出す師匠を追う。
◇
「魔石どうします?」
「もちろん君が拾うんだよ」
「ですよね……」
数百はあるだろう魔石が焼け野原で光り輝いている。
◇
無心に集めていてふと思った。
「師匠!この魔石思った程大きく無いですね!純度も低いし」
一つ師匠に投げ渡しながら叫ぶ
思えば遠くに来たもんだ。
後少しで終わる。
「眷属の魔石だろうから、こんなものだろう!」
師匠から答えが返ってくる。
ん?何か引っかかる。
何か忘れている様な……
全て拾い集めた僕は違和感を感じつつも師匠と下に駆け戻る。
「師匠全部集めました!」
「危なっ……!」
不意の出来事だった。
師匠の声が言い終わる前に
地中から飛び出した触手が僕の足に絡まった。
しまった!本体の魔石がどこにも無かった。
違和感はこれだったのだ。
触手に囚われたまま、本体が地中から迫り上がる。
地中から迫り上がたのは向日葵では無く魔石と融合した植物の根だった。
僕らが焼いたのは地表に出た部分だけ、本体は地中深くに潜んでいたのだ。
足首を取られる持ち上げられ、逆さ吊りの状態で本体を見下ろす。
「あれ?どこかで見た様な……」
吊られた状態で腕を組み考える事しばし。
これ、インディアの研究所にいたやつだ……
そんな事を考えていると、吊るされた僕を目掛け、うねるその他の根の先が鋭く変形し、串刺しにしようと猛烈な勢いで迫り来る。
やばっ!慌てて足首に絡まった根をナイフで切り落とすと、一瞬遅れて風の刃が通り過ぎる。
あの軌道、足ごと切断???
「師匠!あぶなっ!」
たまに、師匠の話を聞いていると手足は勝手に生えると思っている節がある……
生えないから!
距離を取り着地すると、駆け寄る師匠が何事もなかったかの様に話しかけてくる。
「どうやら研究室の結界が消失したせいで、植物系の魔物が得体の知れない魔石を取り込みコイツが出来上がった様だな。」
研究室の植物はそれで入って来たのか……
ん?それって師匠が暴かなければ起きなかった事態なのでは……
「インディアの尻拭いだが、仕方ない」
あっ、正当化した……
向日葵達を視界に捉える高さまで飛翔すると、即座に「愚者の咆哮」を構える。
早くしなければ……
炎の壁は師匠の放つ魔法の余波を防ぐ意味もある。
キレ具合によるか……
炎の壁が紙の様に切り裂かれる未来しか見えない。
最早何と戦っているのか分からないが、過程は一つ、アイツらを消滅させる!
先程焼き尽くした炎の柱を召喚する魔法陣を構築するべく、魔力を込めると、呼応する様に宝玉が白い光を放つ。
巨大な向日葵を中心に円形の魔法陣が重なるよう五つ発現させ、全ての向日葵を魔法陣に捉える。
一気に魔力を持って行かれるが、まだ余裕はありそうだ。
修行の成果がここで出た。
魔法陣が一斉に輝くと五つの魔法陣から火柱が上がり、焼いていく。
断末魔の様な叫び声が上がる中より一層、温度を上げて行くが、かなり耐久力がある。
焼き尽くのが先か、魔力と精神力が尽きるのが先か、持久力勝負!
「まったく、世話のかかる弟子だ!」
隣に師匠が並ぶと「深淵」が紅く光る。
五つの魔法陣を繋げ火柱を上げる上空に一つの巨大な魔法陣が浮かび上がり、その上に三つ円錐状に魔法陣が重なるのが見えた。
大気の動きが変わる。
現れた魔法陣は火柱を抑え込む様に上から押し潰すし密度を上げて行く。
同時に酸素を送り込んでいる様で、どんどん火力が上がって行く。
師匠と弟子の合体魔法と言うべきモノなのだが、こちらの魔法に合わせて爆散しない魔力のコントロールと発現した魔法の威力を上げる為酸素を送り込む、多分風の魔法と周囲に余波が出ない様に結界で覆っているのだろうが、多重魔法を軽く操る凄さにまた、力の差を感じてしまう。
しかし!
周辺被害を考えた魔法構築をあの師匠がしている!
ちょっとガッツポーズをしてしまう。
「師匠も成長しましたね!」
とは心の中の叫びだ。
睨まれているのが、気付かないフリをし、更に魔力を込め押し返すが、青白い高火力に切り替わった瞬間押しつぶされた。
瞬時に余波も押さえ込んだ様で、後には焼け野原が広がるのみだ。
「ご苦労様!」
珍しく明るい声で労ってくれる。
珍しいが嬉しい。
少しニヤけてしまうが、本気で成長が見られた時は、ちゃんと褒めてくれる。
飴と鞭と達人なのだよ。
若干、いや大分、ほとんど鞭だけど……
「師匠こそお疲れ様でした。あれなんです?」
「そんな難しい事は無い、普段から使っている魔法を用途に応じて多重展開しただけだ、ポイントはそれぞれの効果範囲と威力の調整だけだ。練習すれば君でも出来るさ」
あっ、サラッと次のお題が出た。
今度はどんな無茶な修行が始まるんだろう……
インディアの遺跡では、普段に比べると楽だったから反動が怖い。
「が、頑張ります……」
実際原理は分かるのだが、多重展開とは並列思考で構築する必要がある。
魔術士は術として魔法を発現させているので詠唱が必須だ。
そうなると多重展開は物理的に不可能で原則一つの魔法しか発現する事は出来ない。
僕らの魔法は術では無くイメージを基本としているので原理としては可能なのだが、アイツの頭どうなってんの?と言われるぐらいの頭脳が無いと出来ない技だ。
そんな事を考え地面に降り立つ
「今頃街は大騒ぎでしょうね」
あれだけ派手な魔法を発現したのだ、街から見える。
しかも魔術士が揃って門で警戒しているのだからまず誤魔化せない。
「ため息交じりに他人事だが、そもそもあの規模の魔法をぶっ放したのは君だぞ!」
「あっ!」
師匠の暴走を止める為に無我夢中で展開したが二十メートルは火柱が上がった筈だ。
「後、あれ!」
師匠指差す先には水源手前に輝く炎の壁が、横五十メートル、高さ三十メートルに渡り存在していた。
「あ、あれ……」
「誤魔化すのは無理だと思うぞ。まったく!」
師匠が絡むと毎回これだ……
少しは成長しないと。
心に誓う。
「後始末するぞ」
渾身の炎の壁を一瞥をくれただけで解除するとまだ燻る焼け野原に歩き出す師匠を追う。
◇
「魔石どうします?」
「もちろん君が拾うんだよ」
「ですよね……」
数百はあるだろう魔石が焼け野原で光り輝いている。
◇
無心に集めていてふと思った。
「師匠!この魔石思った程大きく無いですね!純度も低いし」
一つ師匠に投げ渡しながら叫ぶ
思えば遠くに来たもんだ。
後少しで終わる。
「眷属の魔石だろうから、こんなものだろう!」
師匠から答えが返ってくる。
ん?何か引っかかる。
何か忘れている様な……
全て拾い集めた僕は違和感を感じつつも師匠と下に駆け戻る。
「師匠全部集めました!」
「危なっ……!」
不意の出来事だった。
師匠の声が言い終わる前に
地中から飛び出した触手が僕の足に絡まった。
しまった!本体の魔石がどこにも無かった。
違和感はこれだったのだ。
触手に囚われたまま、本体が地中から迫り上がる。
地中から迫り上がたのは向日葵では無く魔石と融合した植物の根だった。
僕らが焼いたのは地表に出た部分だけ、本体は地中深くに潜んでいたのだ。
足首を取られる持ち上げられ、逆さ吊りの状態で本体を見下ろす。
「あれ?どこかで見た様な……」
吊られた状態で腕を組み考える事しばし。
これ、インディアの研究所にいたやつだ……
そんな事を考えていると、吊るされた僕を目掛け、うねるその他の根の先が鋭く変形し、串刺しにしようと猛烈な勢いで迫り来る。
やばっ!慌てて足首に絡まった根をナイフで切り落とすと、一瞬遅れて風の刃が通り過ぎる。
あの軌道、足ごと切断???
「師匠!あぶなっ!」
たまに、師匠の話を聞いていると手足は勝手に生えると思っている節がある……
生えないから!
距離を取り着地すると、駆け寄る師匠が何事もなかったかの様に話しかけてくる。
「どうやら研究室の結界が消失したせいで、植物系の魔物が得体の知れない魔石を取り込みコイツが出来上がった様だな。」
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