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一章
ルナティック・シンフォニー流
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「レオ!どう言う事だ!説明しろ!」
動揺して剣筋が鈍っているダズルの相手を背後から突き刺し、引き抜きながらゲルドの相手の腕を切り飛ばし、リックの相手に召喚したダガーを背中に投擲するとダズルが駆け寄ってくる。
「すいません。師匠の悪ふざけです……」
ゲルドがとどめの一撃を振るい首を飛ばし、リックが首筋を切り裂き共に駆け寄ってくる。
「悪ふざけ……」
ダズルの語尾がパクパクと声にならない。
「ええ、すいません。この程度の結界、本来なら一瞬で消滅させられますので。」
収容魔法からダガーを取り出し、近づく一人の心臓に的確な投擲をしながら答える。
「この様に既に結界は解除済みです。今は逆に師匠が防御障壁を展開中で騎士団がこの部屋から出れない様になっています。」
「もう安心なのは分かったが、俺達には教えてくれても良く無いか!」
「ゲルド……あれ見てもそんなこと言えますか?」
指差した先には赤い閃光が無双しているのが見える。
「ま、まぁ無事で良かった。」
肩に手を置き呻く様に声を絞り出すゲルド。
「ええ、あの大根芝居に途中で茶々入れたらコチラの命が危ういです……」
「この話はここまでにした方が良さそうだな。」
リックが大人の対応をして来る。
こう言うところは流石だ。
「すいません。」
「それにしてもすっかり我々は蚊帳の外か?」
ダズルが剣をしまいながら聞いてくる。
「大分本体から離れましたからね。もう少し立たないとあの中には入れませんよ。間合いに入ったら僕でも命があるかどうか……」
「ならばゆっくりと合流出来る位置まで近づくか。」
「そうですね。」
剣をしまい、元の杖に戻し歩き始める。
「それ剣だったんだな。しかも杖の時に比べてかなり形が変わるんだな。剣と見分けがつかない。」
「ああこれですか?所謂仕込み刀というやつです。引き抜けば使えるのですが、本格的に振るにはバランスが悪く扱いづらいので、変形する様に魔術刻印を刻んであるんですよね。師匠と同じ仕様になってますが、僕の刀身は結構な業物ですよ。」
「見ても良いか?」
ダズルが興味深げに聞いてくる。
「ああ、すいません。僕以外が触れると呪われる様になってるんですよね。触ると死にますよ。」
「こわっ!そんな安全装置があるのか?」
「ええ、師匠考案の術式ですが、触ると自分の腹掻っ捌きます。」
「平然と恐ろしい事を……」
リックが一歩引いて歩き始める。
「普段は大丈夫ですよ。」
「いや、お前の持ち物に迂闊に触れない様にする……」
三人は大袈裟だ。
「お前達さっさと合流しろ!」
十分に無双した様で師匠の檄が飛んで来た。
声に弾かれる様に僕らは走り出した。
乱戦中の集団に差し掛かり、杖を剣に変え目の前の騎士に斬りかかる。
「師匠!お待たせしました!」
「遅い!半分以上は片付けておいたから後は残党を片付けるぞ!隙を見て私は隊長を捉える。」
「了解です!」
威勢良く三人が返事をして、円陣を構成する。
騎士達も一時体制を整える為、間合いを取り暫しの膠着状態が訪れる。
「小休止か。」
戦場では不意にこの様な時間が流れる事がある。
騎士道の現れの様で双方暗黙の了解で体制を整えるのだが、それは最後の死闘への序章だ。
こちらの被害はゼロ、先に体制は整うが騎士団がポーションなどで回復するのを待ってやる。
「レオ。お前の剣術は初めて見るが何の流派だ?」
こういう間でも能天気なゲルドが持ち前の自然体で話しかけて来る。
「僕の剣も師匠から受け継いでるんですが……」
チラッと師匠を見る。
「そうだな、これと言って特定の流派の流れを汲んでいる訳では無いな。ベースは体術なのだが、そこにいくつかの剣術を乗せているという方が分かりやすいかもな。」
「てことは、ルナ様のオリジナル剣術という事ですか?」
「まぁ、平たく言えばそういう事になるな。」
「すげぇ!俺も習いてぇ!なんて言う剣術なんですか?」
「いや、特に名前など……」
ここだ!
「ルナティック・シンフォニー流剣術です!」
「ださっ!レオお前なんて事を!」
「ルナティック・シンフォニー流か、レオもルナ様の弟子ということは同じ使い手か?」
ゲルドがキラキラした目をしている。
今までも仕返しはここしか無い!
悪ふざけには悪ふざけで返すしか無いのだ!
「ああ、免許皆伝だ!」
「お前は一体何を言っているんだ……私はそんな事は一度も……」
「開祖から教えを受ける訳には行かないが、僕ならば教えられる。やってみるか?」
「レオ!私の話を聞けっ!」
ここぞとばかりに今回の復讐だ。
「教えてくれるのか?」
一層ゲルドの目が輝く。
「ああ、ゲルドは太刀を使うが剣さばきは近いものがあると思う。覚えれば今より強くなるはずだ。望むならルナティック・シンフォニー流の全てを伝授してやる!」
「ありがてぇ!俺は強くなる!」
固く握手を交わす。
ゲルドはどこまで本気なのだろうか、ちょっと心配になるが、始めた以上復讐は終わらない。
「もう……勝手にしろ……」
師匠は呆れ顔、ダズルとリックもニヤニヤと事の推移を見守っているが今言いましたね!勝手にしろと……
おっしゃる通り勝手にします!
この出来事が取り返しのつかない恐ろしい未来に繋がっているとは、この時思わなかった。
ゲルド恐るべし!
動揺して剣筋が鈍っているダズルの相手を背後から突き刺し、引き抜きながらゲルドの相手の腕を切り飛ばし、リックの相手に召喚したダガーを背中に投擲するとダズルが駆け寄ってくる。
「すいません。師匠の悪ふざけです……」
ゲルドがとどめの一撃を振るい首を飛ばし、リックが首筋を切り裂き共に駆け寄ってくる。
「悪ふざけ……」
ダズルの語尾がパクパクと声にならない。
「ええ、すいません。この程度の結界、本来なら一瞬で消滅させられますので。」
収容魔法からダガーを取り出し、近づく一人の心臓に的確な投擲をしながら答える。
「この様に既に結界は解除済みです。今は逆に師匠が防御障壁を展開中で騎士団がこの部屋から出れない様になっています。」
「もう安心なのは分かったが、俺達には教えてくれても良く無いか!」
「ゲルド……あれ見てもそんなこと言えますか?」
指差した先には赤い閃光が無双しているのが見える。
「ま、まぁ無事で良かった。」
肩に手を置き呻く様に声を絞り出すゲルド。
「ええ、あの大根芝居に途中で茶々入れたらコチラの命が危ういです……」
「この話はここまでにした方が良さそうだな。」
リックが大人の対応をして来る。
こう言うところは流石だ。
「すいません。」
「それにしてもすっかり我々は蚊帳の外か?」
ダズルが剣をしまいながら聞いてくる。
「大分本体から離れましたからね。もう少し立たないとあの中には入れませんよ。間合いに入ったら僕でも命があるかどうか……」
「ならばゆっくりと合流出来る位置まで近づくか。」
「そうですね。」
剣をしまい、元の杖に戻し歩き始める。
「それ剣だったんだな。しかも杖の時に比べてかなり形が変わるんだな。剣と見分けがつかない。」
「ああこれですか?所謂仕込み刀というやつです。引き抜けば使えるのですが、本格的に振るにはバランスが悪く扱いづらいので、変形する様に魔術刻印を刻んであるんですよね。師匠と同じ仕様になってますが、僕の刀身は結構な業物ですよ。」
「見ても良いか?」
ダズルが興味深げに聞いてくる。
「ああ、すいません。僕以外が触れると呪われる様になってるんですよね。触ると死にますよ。」
「こわっ!そんな安全装置があるのか?」
「ええ、師匠考案の術式ですが、触ると自分の腹掻っ捌きます。」
「平然と恐ろしい事を……」
リックが一歩引いて歩き始める。
「普段は大丈夫ですよ。」
「いや、お前の持ち物に迂闊に触れない様にする……」
三人は大袈裟だ。
「お前達さっさと合流しろ!」
十分に無双した様で師匠の檄が飛んで来た。
声に弾かれる様に僕らは走り出した。
乱戦中の集団に差し掛かり、杖を剣に変え目の前の騎士に斬りかかる。
「師匠!お待たせしました!」
「遅い!半分以上は片付けておいたから後は残党を片付けるぞ!隙を見て私は隊長を捉える。」
「了解です!」
威勢良く三人が返事をして、円陣を構成する。
騎士達も一時体制を整える為、間合いを取り暫しの膠着状態が訪れる。
「小休止か。」
戦場では不意にこの様な時間が流れる事がある。
騎士道の現れの様で双方暗黙の了解で体制を整えるのだが、それは最後の死闘への序章だ。
こちらの被害はゼロ、先に体制は整うが騎士団がポーションなどで回復するのを待ってやる。
「レオ。お前の剣術は初めて見るが何の流派だ?」
こういう間でも能天気なゲルドが持ち前の自然体で話しかけて来る。
「僕の剣も師匠から受け継いでるんですが……」
チラッと師匠を見る。
「そうだな、これと言って特定の流派の流れを汲んでいる訳では無いな。ベースは体術なのだが、そこにいくつかの剣術を乗せているという方が分かりやすいかもな。」
「てことは、ルナ様のオリジナル剣術という事ですか?」
「まぁ、平たく言えばそういう事になるな。」
「すげぇ!俺も習いてぇ!なんて言う剣術なんですか?」
「いや、特に名前など……」
ここだ!
「ルナティック・シンフォニー流剣術です!」
「ださっ!レオお前なんて事を!」
「ルナティック・シンフォニー流か、レオもルナ様の弟子ということは同じ使い手か?」
ゲルドがキラキラした目をしている。
今までも仕返しはここしか無い!
悪ふざけには悪ふざけで返すしか無いのだ!
「ああ、免許皆伝だ!」
「お前は一体何を言っているんだ……私はそんな事は一度も……」
「開祖から教えを受ける訳には行かないが、僕ならば教えられる。やってみるか?」
「レオ!私の話を聞けっ!」
ここぞとばかりに今回の復讐だ。
「教えてくれるのか?」
一層ゲルドの目が輝く。
「ああ、ゲルドは太刀を使うが剣さばきは近いものがあると思う。覚えれば今より強くなるはずだ。望むならルナティック・シンフォニー流の全てを伝授してやる!」
「ありがてぇ!俺は強くなる!」
固く握手を交わす。
ゲルドはどこまで本気なのだろうか、ちょっと心配になるが、始めた以上復讐は終わらない。
「もう……勝手にしろ……」
師匠は呆れ顔、ダズルとリックもニヤニヤと事の推移を見守っているが今言いましたね!勝手にしろと……
おっしゃる通り勝手にします!
この出来事が取り返しのつかない恐ろしい未来に繋がっているとは、この時思わなかった。
ゲルド恐るべし!
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