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「俺がミユを仲間外れにするとか、有り得ないから」
さぁ、お手をどうぞと言葉を添える。真顔になったのはほんの一瞬で、わたしが素直に手を取り立ち上がればいつもの片桐だった。
「ところでマンゴープリン食べる時、カップル割り使ってもいい? 給料日前でぎりぎりなんだよ」
また趣味関連の出費があったに違いない。片桐はバイクに限らずハマると見境がなくなる所があり、多少無理してでも欲しい物は必ず入手する。
「片桐に払わせてばっかりだし、たまにはわたしが奢る」
「えー、カップル割り使えば良くない? おまけでソフトドリンクも付いてくるんだぜ?」
「じゃあ、ソフトドリンクも奢ってあげる。カップルじゃないのに特典をズルして利用しちゃ駄目ーーって何よ?」
片桐がじっと見詰めてきた。
「ミユは真面目だなぁー。んなの適当に誤魔化せばどうにでもなるのに。律儀というかバカ正直というか」
「ふん! 融通がきかない頑固者とでも言いたいんでしょ?」
そっぽを向きつつ、青山君に対してはこんな自分を曲げてまで付き合おうとしていたのが過る。
「潔いと思う」
「え?」
「ミユの真っ直ぐで不器用な性格、俺は嫌いじゃない。青山に一ヶ月付き合おうって持ち掛けて、きっかり一ヶ月後に振られるなんて正々堂々過ぎる。きっと黙ってやり過ごせれば青山の彼女のまま居られたぜ?」
クククッと笑いを堪える片桐。小刻みに震える振動が伝わり、唇を噛む。
「……そうやって馬鹿にしたらいいよ」
「あのな、バカ正直とは言ったけどバカになんかしてない!」
珍しく怒った声音なので顔を上げる。視線がぶつかると片桐は弾かれたようにわたしと距離を取った。
「だから、その、俺はだな、えっとバカにはしてなくて」
さっきまでの滑らかさを失い、モゴモゴと口を動かす。
「はっきり言ったら? 馬鹿にしてないなら何?」
「それは……まぁ、アレだ! マンゴープリン食べよう。イライラすると甘い物が欲しくなるからな、うん、そうしよう」
露骨に話題をそらされ、カチンときた。そそくさ店内へ逃げ込もうとする片桐の腕を掴む。
「黙ってやり過ごして青山君の彼女でいれば良かった?」
ギュッと力を込めた。日頃からスキンシップの多い彼に自分から触れるのは新鮮だ。
「片桐はクラスメートでバイト仲間、青山君と付き合うとなったら応援してくれた一人。そんな片桐に青山君と付き合い続けろと言われるのはショックだよ」
「別に青山と付き合い続けろと言ってない、やり過ごせば付き合えただろって意味。だってミユは青山が今も好きなんだよな? 好きなら相手に好まれるよう振る舞うのは悪い事じゃない。そりゃあ、合わせすぎて辛くなったら無駄だけどさ」
好きな人とお似合いになる努力を無駄と切り捨てられた。しかも、わたしの行動を一番近くで見ていたはずの片桐に。
「片桐は合わせて貰う側だもんね、わたしの気持ちなんて分からない!」
片桐と喧嘩がしたいんじゃない。それでも言わずにいられなくて大きな声を出してしまう。
「俺はミユに合わせてる! ミユに好かれたいから! ミユは俺の気持ち、考えたりしてくれた?」
つられて片桐も怒鳴る。
さぁ、お手をどうぞと言葉を添える。真顔になったのはほんの一瞬で、わたしが素直に手を取り立ち上がればいつもの片桐だった。
「ところでマンゴープリン食べる時、カップル割り使ってもいい? 給料日前でぎりぎりなんだよ」
また趣味関連の出費があったに違いない。片桐はバイクに限らずハマると見境がなくなる所があり、多少無理してでも欲しい物は必ず入手する。
「片桐に払わせてばっかりだし、たまにはわたしが奢る」
「えー、カップル割り使えば良くない? おまけでソフトドリンクも付いてくるんだぜ?」
「じゃあ、ソフトドリンクも奢ってあげる。カップルじゃないのに特典をズルして利用しちゃ駄目ーーって何よ?」
片桐がじっと見詰めてきた。
「ミユは真面目だなぁー。んなの適当に誤魔化せばどうにでもなるのに。律儀というかバカ正直というか」
「ふん! 融通がきかない頑固者とでも言いたいんでしょ?」
そっぽを向きつつ、青山君に対してはこんな自分を曲げてまで付き合おうとしていたのが過る。
「潔いと思う」
「え?」
「ミユの真っ直ぐで不器用な性格、俺は嫌いじゃない。青山に一ヶ月付き合おうって持ち掛けて、きっかり一ヶ月後に振られるなんて正々堂々過ぎる。きっと黙ってやり過ごせれば青山の彼女のまま居られたぜ?」
クククッと笑いを堪える片桐。小刻みに震える振動が伝わり、唇を噛む。
「……そうやって馬鹿にしたらいいよ」
「あのな、バカ正直とは言ったけどバカになんかしてない!」
珍しく怒った声音なので顔を上げる。視線がぶつかると片桐は弾かれたようにわたしと距離を取った。
「だから、その、俺はだな、えっとバカにはしてなくて」
さっきまでの滑らかさを失い、モゴモゴと口を動かす。
「はっきり言ったら? 馬鹿にしてないなら何?」
「それは……まぁ、アレだ! マンゴープリン食べよう。イライラすると甘い物が欲しくなるからな、うん、そうしよう」
露骨に話題をそらされ、カチンときた。そそくさ店内へ逃げ込もうとする片桐の腕を掴む。
「黙ってやり過ごして青山君の彼女でいれば良かった?」
ギュッと力を込めた。日頃からスキンシップの多い彼に自分から触れるのは新鮮だ。
「片桐はクラスメートでバイト仲間、青山君と付き合うとなったら応援してくれた一人。そんな片桐に青山君と付き合い続けろと言われるのはショックだよ」
「別に青山と付き合い続けろと言ってない、やり過ごせば付き合えただろって意味。だってミユは青山が今も好きなんだよな? 好きなら相手に好まれるよう振る舞うのは悪い事じゃない。そりゃあ、合わせすぎて辛くなったら無駄だけどさ」
好きな人とお似合いになる努力を無駄と切り捨てられた。しかも、わたしの行動を一番近くで見ていたはずの片桐に。
「片桐は合わせて貰う側だもんね、わたしの気持ちなんて分からない!」
片桐と喧嘩がしたいんじゃない。それでも言わずにいられなくて大きな声を出してしまう。
「俺はミユに合わせてる! ミユに好かれたいから! ミユは俺の気持ち、考えたりしてくれた?」
つられて片桐も怒鳴る。
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