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【ソルベ村】女神の加護で過剰豊作!
キアラの【大豆】創造
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すっかり精霊姫としての能力を開花させたキアラには、新しい能力が芽生えていた。
それというのは植物を創造することができるという、とんでもないぶっ壊れた力だった。
しかし使えるのは週に一度で、それまでは髪色が薄くなってしまうらしい。
ただ、黒髪に戻るわけではないので安心だ。薄い緑色になるとの事。
しかしそうなるとどれを出してもらうかを考える必要があると思う洋一だった。
「なんと、植物の種を自在に生み出せるといいうのは本当ですか?」
ならば行商人との交渉そのものが不要になると言い出さんばかりのギルバート。
「植物だけじゃなくてねー、魔の森に生えてた植物や動物なんかも生み出せるみたいなのー」
それはもう植物創造の域を超えてるんだよ。
ツッコミの足りないメンバーに、唯一突っ込みたい洋一である。
「つまり、今度から?」
「長い年月を要するが、カレーの調味料は自作できることになるな。流石に悪魔の手先であるデーモングリズリーを飼育できるなんてことはないだろうが」
「一度森に発現したものならできるみたいだよ? あ、でも悪魔は憑いてない方だけど」
「あいつはあの森に一匹しかいなかったみたいだったけど、可能なのか」
「悪魔が憑いてないんなら等級はどれくらいになりそう? 伝説級なら僕が飼育できるからさ」
話に割って入ってきたのはルディである。
何気にすごいことを言ってきてるが、それは本当だろうか?
ジェミニウルフを従えて見せると息巻いていたのは知っているが、実際に支配してるところを見たことがないからである。
「この子の言ってることは本当さ。アタシが保証するよ」
ルディの発言の責任を持つと言って背中を押すのはバーバラだ。
かつて伝説級のモンスターを飼い慣らしていたという。
ドラゴンってその等級だったんだ。知らなかった。
的外れな感想を述べる洋一以外は、あの肉が食えるんなら是非と賛同した。
「なら1回目の創造はその子でいい?」
「村の番犬ならぬ番熊として威嚇にも使えるし、いいんじゃないか?」
「一応だけど、生まれるのは子供からだからね? すぐに成体になるわけじゃないから食費がすごくかかると思うの。お肉だっていっぱい食べるし、そっちの方大丈夫そう?」
「「「「「「「あっ」」」」」」」
すぅー。
全員が自分に都合のいい発言をしていたんだと理解する。
「やっぱり珍しい野菜からでいいか。ヨウイチさん、何か候補はあるかい?」
「そうだなぁ、だったら」
洋一が挙げたのは大豆だった。
豆である。この村ではついぞ見かけなかった豆を使った料理を色々思い出す。
塩などもあるので豆腐や、それを揚げた油揚げなんかも作れたら和風料理も作れそうだと進言。
和風料理がなんなのかはわからないなりに、新しい料理が誕生するんならと歓迎する村人たち。
こうして村に大豆が創造された。
豆腐なんかは割とすぐ作れたが、どうしてもお好みの柔らかさを維持することができずに難航している。
そこはやはり職人の技術があるのだろう、しかしそのプルプルとした食感は弟子たちに人気だった。
素朴な味である豆腐だが、この村で素朴な味だから嫌いだなんて感想を述べる子供はいない。
「うまい。食べたことのない味だ」
「本当、ひんやりしてて美味しいね」
「これなら甘いものが苦手なワタシらにも好みの味だよ」
この村出身のものは皆そんな態度だが。
外から来た騎士たちは物足りなさを感じていた。
そこで洋一は更なる加工を加える。
それが豆腐を分厚く衣に包んであげた揚げ豆腐。
油揚げとの違いはその厚さにある。
豆腐そのものは若干硬くなるが、衣に旨みをつけられるので、騎士たちもこれは喜んだ。
「豆腐のカツだ! 俺はこれ好きかも」
「肉がないときはこれでいいかもな」
「ちょっと肉っぽい食感がいいな」
「あ、それ俺も思った」
「豆はあらゆるジャンルで今後世話になると思う。育成も簡単で、乾燥すればそれを砕いてミルクの代わりにもなったりする」
「植物から、ミルクが取れるのかい?」
「俺のいたところでは畑の肉と呼ばれるほどに栄養が豊富なんです。よければ皆さんにも作っていただきたく……」
洋一がみなまで言わずとも、村人の目はやる気に満ちていた。
ソルベ村の畑はただでさえ魔の森の近場なのもあり、成長が段違いに早い。
そこに精霊姫のキアラが参入し、洋一の預かる畑の成長段階だけずば抜けていた。
思わず水遣りに行ったヨルダが大声で呼びつけに来るほどの成長の速さである。
種を植えた翌日に目が出てるなんて誰が信じられるというのか。
髪色が薄くなっても、そこは精霊姫。持って生まれた能力が段違いに畑の育成に影響を与えていたらしい。
黒髪の時から割とそんな傾向にあったので今更の話だが……髪色が変化したら、なんと範囲が村全体にまで及んだ。
キアラが直接土いじりした畑の成長がずば抜けてるというのもあるが、他の土地に比べたら村全体の野菜の育成速度は抜きん出ているだろう。
「これでいっぱいお父さんの豆腐料理が食べれるね!」
キアラもやる気なので、洋一は次は何を作るかな? と頭を悩ませるのだった。
味噌や醤油も考えたが、問題の麹がない。
次は米にも着手してみるかと考える洋一である。
全ては新たな調味料づくりのために。そして、自分でも美味しい料理のレパートリーの幅を活かすために。
醤油や味噌は肉にも野菜にも合う。
そして、こめ、卵、醤油で思いつくのは卵かけご飯だろう。
あと一歩のところまで来たら、それが無性に食べたくなる洋一であった。
それというのは植物を創造することができるという、とんでもないぶっ壊れた力だった。
しかし使えるのは週に一度で、それまでは髪色が薄くなってしまうらしい。
ただ、黒髪に戻るわけではないので安心だ。薄い緑色になるとの事。
しかしそうなるとどれを出してもらうかを考える必要があると思う洋一だった。
「なんと、植物の種を自在に生み出せるといいうのは本当ですか?」
ならば行商人との交渉そのものが不要になると言い出さんばかりのギルバート。
「植物だけじゃなくてねー、魔の森に生えてた植物や動物なんかも生み出せるみたいなのー」
それはもう植物創造の域を超えてるんだよ。
ツッコミの足りないメンバーに、唯一突っ込みたい洋一である。
「つまり、今度から?」
「長い年月を要するが、カレーの調味料は自作できることになるな。流石に悪魔の手先であるデーモングリズリーを飼育できるなんてことはないだろうが」
「一度森に発現したものならできるみたいだよ? あ、でも悪魔は憑いてない方だけど」
「あいつはあの森に一匹しかいなかったみたいだったけど、可能なのか」
「悪魔が憑いてないんなら等級はどれくらいになりそう? 伝説級なら僕が飼育できるからさ」
話に割って入ってきたのはルディである。
何気にすごいことを言ってきてるが、それは本当だろうか?
ジェミニウルフを従えて見せると息巻いていたのは知っているが、実際に支配してるところを見たことがないからである。
「この子の言ってることは本当さ。アタシが保証するよ」
ルディの発言の責任を持つと言って背中を押すのはバーバラだ。
かつて伝説級のモンスターを飼い慣らしていたという。
ドラゴンってその等級だったんだ。知らなかった。
的外れな感想を述べる洋一以外は、あの肉が食えるんなら是非と賛同した。
「なら1回目の創造はその子でいい?」
「村の番犬ならぬ番熊として威嚇にも使えるし、いいんじゃないか?」
「一応だけど、生まれるのは子供からだからね? すぐに成体になるわけじゃないから食費がすごくかかると思うの。お肉だっていっぱい食べるし、そっちの方大丈夫そう?」
「「「「「「「あっ」」」」」」」
すぅー。
全員が自分に都合のいい発言をしていたんだと理解する。
「やっぱり珍しい野菜からでいいか。ヨウイチさん、何か候補はあるかい?」
「そうだなぁ、だったら」
洋一が挙げたのは大豆だった。
豆である。この村ではついぞ見かけなかった豆を使った料理を色々思い出す。
塩などもあるので豆腐や、それを揚げた油揚げなんかも作れたら和風料理も作れそうだと進言。
和風料理がなんなのかはわからないなりに、新しい料理が誕生するんならと歓迎する村人たち。
こうして村に大豆が創造された。
豆腐なんかは割とすぐ作れたが、どうしてもお好みの柔らかさを維持することができずに難航している。
そこはやはり職人の技術があるのだろう、しかしそのプルプルとした食感は弟子たちに人気だった。
素朴な味である豆腐だが、この村で素朴な味だから嫌いだなんて感想を述べる子供はいない。
「うまい。食べたことのない味だ」
「本当、ひんやりしてて美味しいね」
「これなら甘いものが苦手なワタシらにも好みの味だよ」
この村出身のものは皆そんな態度だが。
外から来た騎士たちは物足りなさを感じていた。
そこで洋一は更なる加工を加える。
それが豆腐を分厚く衣に包んであげた揚げ豆腐。
油揚げとの違いはその厚さにある。
豆腐そのものは若干硬くなるが、衣に旨みをつけられるので、騎士たちもこれは喜んだ。
「豆腐のカツだ! 俺はこれ好きかも」
「肉がないときはこれでいいかもな」
「ちょっと肉っぽい食感がいいな」
「あ、それ俺も思った」
「豆はあらゆるジャンルで今後世話になると思う。育成も簡単で、乾燥すればそれを砕いてミルクの代わりにもなったりする」
「植物から、ミルクが取れるのかい?」
「俺のいたところでは畑の肉と呼ばれるほどに栄養が豊富なんです。よければ皆さんにも作っていただきたく……」
洋一がみなまで言わずとも、村人の目はやる気に満ちていた。
ソルベ村の畑はただでさえ魔の森の近場なのもあり、成長が段違いに早い。
そこに精霊姫のキアラが参入し、洋一の預かる畑の成長段階だけずば抜けていた。
思わず水遣りに行ったヨルダが大声で呼びつけに来るほどの成長の速さである。
種を植えた翌日に目が出てるなんて誰が信じられるというのか。
髪色が薄くなっても、そこは精霊姫。持って生まれた能力が段違いに畑の育成に影響を与えていたらしい。
黒髪の時から割とそんな傾向にあったので今更の話だが……髪色が変化したら、なんと範囲が村全体にまで及んだ。
キアラが直接土いじりした畑の成長がずば抜けてるというのもあるが、他の土地に比べたら村全体の野菜の育成速度は抜きん出ているだろう。
「これでいっぱいお父さんの豆腐料理が食べれるね!」
キアラもやる気なので、洋一は次は何を作るかな? と頭を悩ませるのだった。
味噌や醤油も考えたが、問題の麹がない。
次は米にも着手してみるかと考える洋一である。
全ては新たな調味料づくりのために。そして、自分でも美味しい料理のレパートリーの幅を活かすために。
醤油や味噌は肉にも野菜にも合う。
そして、こめ、卵、醤油で思いつくのは卵かけご飯だろう。
あと一歩のところまで来たら、それが無性に食べたくなる洋一であった。
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