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【ソルベ村】女神の加護で過剰豊作!
キアラの【米】創造
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翌週、念願の米を入手する。
早速ヨルダに手伝ってもらった田んぼを作る。
まずは一平米だ。
まさか一週間も経たずに収穫できるとは思ってなかった洋一。
急いでヨルダを呼び戻し、すりこぎやら脱穀の準備をして村人を集めて発表会を行なった。
「これは、麦の親戚のようなものか?」
「ええ、ですが粘り気があり、炊くとほんのりと甘く感じる。故郷ではそれを主食としていました」
「麦食である我々とは違った食事パターンだな」
「気候上の問題もあったようです。雨が激しく、冬は冷え込む。夏いばは異様に暑い。そんな気候であるからこそ、米と言うものがもてはやされた。そして、この米、手間こそかかりますが根が地中に残らないので畑の位置を変える必要がないのです」
「それは、次の育成もその場所でできると言うことか!?」
「はい」
洋一は聞き齧った程度の話を盛りに盛った。
野菜はこれがあるから次の栽培時に場所を移す必要があった。
特にこの村では育成が段違いに早い。それは雑草が生える速度も同じだ。
洋一の畑は雑草が生えるよりも早く収穫できるので、その速さは何においても実感できた。
ナスとかなら、植えた翌日に収穫できてても驚かない速度である。
爆速と言って差し支えない。
「それで、これでは何ができるのでしょうか?」
「まずは炊いた米、ご飯を使ったおにぎりを作ってみました。中には具材が包まれており、パンにも同様のことが行えますが、これは柔らかいので、なんと焼く手間がありません」
ガタッ
席を立ったのはロバートさんだ。
白く、柔らかくパンと全く同じと言われては居ても立っても居られないだろう。
真っ先にさらに手を伸ばし、一掴み。
口に入れた。
「む、これは確かに粘り気がありますな。しかし噛めば噛むほどに甘い。塩も振られているのでしょう、このわずかな塩気が非常にご飯とよく合う。それとこれは私たちの野菜ではありませんか? ものすごくコッテリとした味わい。油で炒めたものを入れたのですか、流石にそれはパンでは成し得ない。重みがあるとパンが膨らまなくなるからです。これは素晴らしい。ですが、パンほど日持ちはしない。ですよね?」
さすがだ、米のもつ弱点を的確に見抜いてくる。
「ロバート、それは本当か?」
「ええ、こんなに柔らかいのです。火入れも甘く、食感のみを味わうものでしょう。だが……非常に後を引く」
そう言ってロバートが人数分しか用意されてないおにぎりをもう一個口に運んだ。それほどの旨みが凝縮されてるのだと、誰しもが気づいた。
こうしちゃいられない、と他の人たちも手を伸ばす。
「ものは用意してありますので、ごゆっくりお食べください」
「ああ、これはまた珍しい味わいだ。野菜の濃い味付けは?」
「米と豆を発酵させたものを使っております。独特の風味ですが、少量だとクセになる後を引く味わいとなっています。今単品でご用意しますね?」
洋一が鉄で作ったフライパンもどき(ヨルダ作成)でジャッと野菜を油で炒める。
そこに塩、味噌、醤油を掛け合わせていためていく。
もう匂いだけで涎が出てきそうだ。
「今は肉が入手できないので、厚揚げも含ませて。これで完成です。俺風野菜の味噌炒め。どうぞお召し上がりください。具なしおにぎりとも非常によく合いますよ」
「もう匂いだけで口の中に涎が溢れてくるわ。初めて食べる味なのに、不思議ね」
「きっと、皆さんの食と好みが合致したのでしょう。炊いた米は柔らかさから形が自在に変えられると言うのもありまして……」
洋一はとれたてのレタスを広げて筋を切り、ご飯をまばらに倣して、そこに味噌炒めを並べて巻いて口にすると言う暴挙に出た。
皆も洋一の真似をして、野菜炒めを攻略していく。
と言うのも、洋一や弟子ほど箸の扱いにたけてないのもあり、食材を余すことなく食べるのにこっちの方が都合が良かったのだ。
「こうこられたら、こっちも負けてられませんよ」
ロバートが対抗してコッペパンを取り出す。
全員分が焼かれたそれを縦に切り込みを入れ、そこに味噌炒めを放り込んで食べた。
「思ったとおり、これはパンにも合いますよ!」
皆がロバートに倣ってパンに挟んで食べる。
「あ、こっちの方が好き」
「そうでしょう、そうでしょう」
やはりパン食文化が馴染んでる地域である。
こうなったら仕方ないと洋一は最終兵器を取り出した。
村人が箸を使えなくても関係ない。スプーンを用意すればいい。
「ヨルダ、あれの準備を」
「あれか、もう涎が止まんないんだが」
「後で大盛りを食わせてやる」
「ガッテン!」
すでに弟子たちに味見をさせて満場一致で合格をいただいたTKG。卵かけご飯が、満をじして村人に提供された。
「なんだ、この旨味の洪水は! これはコッコの卵? それを生でなんてなんと贅沢な!」
「柔らかく、形状を保てないからこそのこの変化か! ほぐした卵が米を包み込んで新たな旨みを体現して要るかのようだ。生きてて良かった。ただそれだけに感謝します」
何人かがその場で祈り始めた。
洋一にとっては想定内のうまさだったが、村人はまた違ったらしい。
「生で食うのって普通食中毒を恐れてしないんだよ」
「まぁ、そうだよな。でもさ、産みたてで新鮮な卵だぞ? 生で食わん方が失礼だろ」
「それを言える師匠は一体どんな環境で育ったのさ」
「それがいまいちうまく説明できないんだよな」
この日、村に新たな卵文明が生まれた。
それの立役者である米と豆の複合品である味噌の存在は村人には忘れえぬものとなった。
ちなみに扱われた醤油は、味噌の上澄という説明になっている。
なんら間違っちゃいないが、これの育成ばかりは洋一頼りとなった。
当然、TKGもデーモングリズリーカレーと同様に村を起こしての宴の時以来お見かけしないものとなった。
やっぱり生で卵を食うのは禁忌に触れるとのことだ。
宗教が根付いてる土地ってのはやりづらいなと考える洋一だった。
早速ヨルダに手伝ってもらった田んぼを作る。
まずは一平米だ。
まさか一週間も経たずに収穫できるとは思ってなかった洋一。
急いでヨルダを呼び戻し、すりこぎやら脱穀の準備をして村人を集めて発表会を行なった。
「これは、麦の親戚のようなものか?」
「ええ、ですが粘り気があり、炊くとほんのりと甘く感じる。故郷ではそれを主食としていました」
「麦食である我々とは違った食事パターンだな」
「気候上の問題もあったようです。雨が激しく、冬は冷え込む。夏いばは異様に暑い。そんな気候であるからこそ、米と言うものがもてはやされた。そして、この米、手間こそかかりますが根が地中に残らないので畑の位置を変える必要がないのです」
「それは、次の育成もその場所でできると言うことか!?」
「はい」
洋一は聞き齧った程度の話を盛りに盛った。
野菜はこれがあるから次の栽培時に場所を移す必要があった。
特にこの村では育成が段違いに早い。それは雑草が生える速度も同じだ。
洋一の畑は雑草が生えるよりも早く収穫できるので、その速さは何においても実感できた。
ナスとかなら、植えた翌日に収穫できてても驚かない速度である。
爆速と言って差し支えない。
「それで、これでは何ができるのでしょうか?」
「まずは炊いた米、ご飯を使ったおにぎりを作ってみました。中には具材が包まれており、パンにも同様のことが行えますが、これは柔らかいので、なんと焼く手間がありません」
ガタッ
席を立ったのはロバートさんだ。
白く、柔らかくパンと全く同じと言われては居ても立っても居られないだろう。
真っ先にさらに手を伸ばし、一掴み。
口に入れた。
「む、これは確かに粘り気がありますな。しかし噛めば噛むほどに甘い。塩も振られているのでしょう、このわずかな塩気が非常にご飯とよく合う。それとこれは私たちの野菜ではありませんか? ものすごくコッテリとした味わい。油で炒めたものを入れたのですか、流石にそれはパンでは成し得ない。重みがあるとパンが膨らまなくなるからです。これは素晴らしい。ですが、パンほど日持ちはしない。ですよね?」
さすがだ、米のもつ弱点を的確に見抜いてくる。
「ロバート、それは本当か?」
「ええ、こんなに柔らかいのです。火入れも甘く、食感のみを味わうものでしょう。だが……非常に後を引く」
そう言ってロバートが人数分しか用意されてないおにぎりをもう一個口に運んだ。それほどの旨みが凝縮されてるのだと、誰しもが気づいた。
こうしちゃいられない、と他の人たちも手を伸ばす。
「ものは用意してありますので、ごゆっくりお食べください」
「ああ、これはまた珍しい味わいだ。野菜の濃い味付けは?」
「米と豆を発酵させたものを使っております。独特の風味ですが、少量だとクセになる後を引く味わいとなっています。今単品でご用意しますね?」
洋一が鉄で作ったフライパンもどき(ヨルダ作成)でジャッと野菜を油で炒める。
そこに塩、味噌、醤油を掛け合わせていためていく。
もう匂いだけで涎が出てきそうだ。
「今は肉が入手できないので、厚揚げも含ませて。これで完成です。俺風野菜の味噌炒め。どうぞお召し上がりください。具なしおにぎりとも非常によく合いますよ」
「もう匂いだけで口の中に涎が溢れてくるわ。初めて食べる味なのに、不思議ね」
「きっと、皆さんの食と好みが合致したのでしょう。炊いた米は柔らかさから形が自在に変えられると言うのもありまして……」
洋一はとれたてのレタスを広げて筋を切り、ご飯をまばらに倣して、そこに味噌炒めを並べて巻いて口にすると言う暴挙に出た。
皆も洋一の真似をして、野菜炒めを攻略していく。
と言うのも、洋一や弟子ほど箸の扱いにたけてないのもあり、食材を余すことなく食べるのにこっちの方が都合が良かったのだ。
「こうこられたら、こっちも負けてられませんよ」
ロバートが対抗してコッペパンを取り出す。
全員分が焼かれたそれを縦に切り込みを入れ、そこに味噌炒めを放り込んで食べた。
「思ったとおり、これはパンにも合いますよ!」
皆がロバートに倣ってパンに挟んで食べる。
「あ、こっちの方が好き」
「そうでしょう、そうでしょう」
やはりパン食文化が馴染んでる地域である。
こうなったら仕方ないと洋一は最終兵器を取り出した。
村人が箸を使えなくても関係ない。スプーンを用意すればいい。
「ヨルダ、あれの準備を」
「あれか、もう涎が止まんないんだが」
「後で大盛りを食わせてやる」
「ガッテン!」
すでに弟子たちに味見をさせて満場一致で合格をいただいたTKG。卵かけご飯が、満をじして村人に提供された。
「なんだ、この旨味の洪水は! これはコッコの卵? それを生でなんてなんと贅沢な!」
「柔らかく、形状を保てないからこそのこの変化か! ほぐした卵が米を包み込んで新たな旨みを体現して要るかのようだ。生きてて良かった。ただそれだけに感謝します」
何人かがその場で祈り始めた。
洋一にとっては想定内のうまさだったが、村人はまた違ったらしい。
「生で食うのって普通食中毒を恐れてしないんだよ」
「まぁ、そうだよな。でもさ、産みたてで新鮮な卵だぞ? 生で食わん方が失礼だろ」
「それを言える師匠は一体どんな環境で育ったのさ」
「それがいまいちうまく説明できないんだよな」
この日、村に新たな卵文明が生まれた。
それの立役者である米と豆の複合品である味噌の存在は村人には忘れえぬものとなった。
ちなみに扱われた醤油は、味噌の上澄という説明になっている。
なんら間違っちゃいないが、これの育成ばかりは洋一頼りとなった。
当然、TKGもデーモングリズリーカレーと同様に村を起こしての宴の時以来お見かけしないものとなった。
やっぱり生で卵を食うのは禁忌に触れるとのことだ。
宗教が根付いてる土地ってのはやりづらいなと考える洋一だった。
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