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一章『NAF運営編』
34話
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郵便受けに手紙が届いていた。
珍しい。大学時代には友達を作らずバイトに勤しんだ。
高校時代もそれほど親しい友人は居なかった。
と、言うのも親が転勤族でよく引っ越しするからだ。
幼い頃に母を亡くし、男親一つで僕の面倒を見てくれた父。
その為か転勤についていく他ならず、高校卒業と同時にアパートを借りて独立。
父とはメールでやり取りをするが、バカがつくほど生真面目な人だった。
そんな訳で自分宛の手紙に疑問を持ち、中を開いたら小学校の時の同級生が結婚するから見舞金を出せと言う要求だった。
まだ母が生存していた頃世話になった幼馴染のカッちゃん。
彼もとうとう年貢の納め時か。
僕もそろそろ覚悟を決める時かな? しかし千枝さん次第な気もすると式場の場所に目を通すと電車一本で行ける近所だった。
偶然に偶然が重なるのか、ここ最近何かとこの地域にご縁があるようだった。
「あら、結婚式の招待状ですか?」
「僕にとっては唯一の親友というか、まあ若気の至りでバカやったもの同士というかね? 昔話に花を咲かせてこようと思う」
「私もついていきたいところですが……」
無理なのはわかっている。僕も彼女を紹介したい気持ちもあったが、今は雇われ。雇い主は非常に忙しい身の上であった。
「次に式をあげるときに紹介でもしてやれば良いさ」
「そ、そうですね」
顔を真っ赤にしながら俯く千枝さん。
想像してしまったのかその場でフリーズしてしまっている。
今からこの状態じゃ、式をあげたらどうなってしまうのやら。
◇
「よく来てくれたな、このヤロー! 手紙ひとつ出さないで連絡先滅茶苦茶苦労したんだぞ!」
「そういうカッちゃんこそ手紙をくれた試しはないじゃんか」
「うるせー、俺は良いんだよ! あき、こいつが俺の親友でさ」
緊張からか友人殿は声が大きくなっていた。
似合わない白のタキシードに身を包み、気合を入れて固めたのか髪がテカテカに光っている。
どこかの暴走族かと見紛うほどの出立ち。
バックに四文字熟語でも背負っていれば似合いそうだ。
「本日はお越しいただきありがとうございます」
「いえ、こちらこそお呼びいただきありがとうございます。カッちゃんを、克幸君選んでもらっただけで親友としては肩の荷が降りた気分です」
「おい! それは一体どういうことだ!?」
「それは自分の胸に聞いてみな」
くすくすと口元を隠す新婦のあきさん。
幼少期からバカなことばかりして両親やご近所さんに迷惑をかけ続けた克幸。
それを笑って許してくれる相手なんて手放せばもう一生独り身だぞ?
「そりよりアッキー、お前はどうなんだよ? 彼女の一人でもいるのか?」
「居るよ。同居の一歩前まで来てる。次に式をあげるときにでも呼ぶよ」
「お、言ったな? っと、時間だわ。じゃあ俺ら行くから」
「おう、せいぜい気張ってこい」
親友を見送り、晴れ舞台を端末に収める。
人の写真を撮ったのなんて何年振りか。
普段毒物の摂取やらモンスターの生態系やら調べているので実に10年以上は取ってないのは確実だ。
その事実に苦笑し、そして周囲の来客は分かっていたがアウェイだった。
克幸が呼んだ親友枠は僕の他にはガタイの良さそうなガテン系の人が多い。どうやらアイツはそっちの道を職業に選んだようである。
「克幸君の職場の方ですか?」
「ああ、お前さんは?」
「小学校時代の友人です。会うのはもう16年ぶりですね。今まで手紙一つ遣さずにいたのに結婚するから顔を出せ、ですよ?」
「アイツはノリだけで生きてるからな。だが、奥さんをもらった以上は覚悟を決める必要がある。あとはアイツ次第さ」
「僕はこっちの街にあまり詳しくないのですが、お相手さんは結構大きな会社の方なのですか?」
「どうしてそう思う?」
そりゃ明らかに奥さんの来客がこちらの倍以上居るからだ。
どう見てもご年配が多く、ご両親にしては貫禄がありすぎる。
脇でデンと構えてるのがご両親だとしても、その両隣にいるのは? となってしまう。
「来客がこっちの倍以上いますし、皆さん硬い表情をされてますから」
「大手の旅行会社の婿養子になったそうだ」
「ほう? あの遊び歩くのだけにかけては天性の才能を持つ彼がですか?」
「だからだそうだぞ? 遊び慣れてるのならその世代の流行を熟知しているから。それが決め手だったそうだ」
「娘さんは会社の道具と言うわけですか?」
「そうでも無い。進言したのは奥さんからだ。将来会社を背負って立つ旦那だからこそ、事業に口を出せる見識は持って欲しいとご両親を説得して婚姻が許された」
「はぁ、もう尻に敷かれてるじゃないですか」
「だから言ったろ? あとはアイツ次第だとな」
そう言えばそうだった。
なんだかんだで良いところも悪いところも見てくれている職場の先輩。昔から人たらしのだったっけなと思い出す。
僕が誰にでも声をかけに行けるのは幼少時に彼との交流があったからだ。
良いことばかりの思い出ではないが、その頃の経験が今の糧になっているのも確かだ。
◇
結局その先輩と話し込んで結婚式は終了。
あれだけたくさんいた来客は引き出物を持ってほとんど帰り、僕とカッちゃんの先輩とその奥さんだけで二次会を開いた。
「こちらの先輩から聞いたぞ? お前社長になるそうじゃないか」
「未来のな? まだ見習いもいいところだよ。さっき来てた花嫁の客席のほとんどが上司だぜ? 結婚式の場まで来て品定めと来た。胃に穴が開く思いだったぜ」
「タングステンの心臓を持つカッちゃんにしては殊勝だね?」
「おいアッキー、誰の心臓がタングステンだって!?」
「ふふふ、向井さんて面白い方なのね」
「アッキーとはズッ友だからな」
「腐れ縁とも言うけどな」
「ちょ、それだと意味が違ってくるだろうが!」
寡黙な先輩は一人でお酒を飲むピッチが早い。
一人で勝って喋り続けるカッちゃんに対して先輩は黙って聞くスタイルが出来上がってるみたいだ。
僕も合わせてドリンクを飲み干し、給仕さんに注文をつけた。
「他にも誰かドリンクを頂きます? 僕はそろそろあったかいのにしようかな」
おちょこを口に当てる仕草で避けに行かないかと促せば、喋り足りないのかカッちゃんはビールを頼む。
奥さんは酔い潰れても困るだろうと継続してソフトドリンクを注文し、先輩は空になったコップを置いてウィスキーを注文した。
酒が入ればめでたい話の他に景気の悪い話が出てくるのが飲み会というものだ。
いくらビールといえど、量を飲めば酔いは回る。
景気のいい話は出尽くしたのか、久しぶりの語らいの中から飛び出た話は、僕にも思う当たる節があるものだった。
「実はこれはオフレコでお願いしたいんだけど、うちの会社少し業績が落ちてきてるんだよね。それがVR事業っていうの? それに顧客が流れていってるらしくてさ」
「ふぅん。でも興味がそっち向いただけで、未だ需要はそっちにあるんじゃないの?」
「ビジネスはそんな簡単なもんじゃないんだぜ、アッキー。うちの会社。まあ奥さんの会社はさ、大きいからこそ不安要素を刈り取りたいんだよ。アッキーなんか知恵ない?」
「僕もゲームでは遊んでるけど、そんな旅行会社の害になるような要素があるか? って言われたら疑問だし」
「実際人は減ってるんだよ。前年度と比較してあからさまにさ。そこで俺の仕入れた情報ではどうやら最近話題になってるNew Arkadia Frontierってゲームが原因だと掴んだ」
「知ってますか?」
ウィスキーの入れる頻度が高くなったガテン系の先輩に尋ねたら「知ってると思うか?」と視線だけで返された。
「俺はアッキーに聞いてるんだぜ?」
テーブルに詰め寄るカッちゃん。
そしてその席でにこやかに微笑みながらソフトドリンクを片手にする奥様。
話を聞くに遣り手らしい。
しかしこの状況、どう考えても彼女の掌の上だろう。
そもそも僕の住所を調べた際にフレアバード企画の名前は目に入る。そしてNAFとの関連性は運営会社を参照すれば一目瞭然だ。
つまり僕はまんまと誘い出された訳である。
「そうだな、じゃあいっそみんなでそのゲームで遊んでみたらどうだ?」
そんな僕の提案に奥さんの目がスッと細められる。
さて、どう出る?
「あなた、向井さんもこう言ってることだし一緒に遊んで見ませんか? 向井さんはそちらのゲームでは?」
「僕も初見です」
嘘をついた。
既にどこまでバレてるかは分からないが、親友と遊ぶのにムーンライトの変人プレイでは引かれかねない。
なので全く新しいアカウントを取得することにした。
三陣の枠は余っていたかな?
そう思案する横で、一人挙手する先輩。
「どうされました?」
「そのゲーム、俺もやってみたい」
どうやら職場で先輩の先輩が噂していたらしく興味があるそうだ。さっき知らないって顔してた癖に。知ってたんじゃないか。
「おーし、じゃあいっちょ敵状視察と行きますか!」
そういう事になった。
◇
「え、ご友人の奥様が例の旅行会社の親会社だったんですか?」
「その可能性があるってだけ。そもそも今になって接触を測ってきた友人も怪しいといえば怪しいんだ。でもそれ以上に奥さんがNAFをどう思っているのか全く分からなくてさ。で、枠は余ってる?」
「企業枠は埋まってますが、一般枠なら多少ねじ込めますよ?」
つまりほとんど埋まっているらしい。
「今回は僕も新規アカウントで参戦する」
「ではムーンライトの方はNPCモードにしておきますね?」
「済まないね、助かるよ」
「ウチにとっても、社運がかかってますから。それにおじいさまの力をお借りすれば捻り潰せますが、その借りが後になってどこまで膨らむのか考えるのも怖いのでできるだけ借りたくないんですよね」
「あの大企業すら捻り潰せるのか。今からどんな人か会うのが怖くなってきたな」
「あら、私を貰ってくれるんですよね? でしたら遅かれ早かれお会いする事になりますよ」
これでは大事を成す前の小事を片付けるようだ。
まぁこれくらいのことを片付けられないようでは千枝さんの夫の地位はいただけないということだろう。
自ら招いた種くらい、自分の手で刈り取ってみせるさ。
珍しい。大学時代には友達を作らずバイトに勤しんだ。
高校時代もそれほど親しい友人は居なかった。
と、言うのも親が転勤族でよく引っ越しするからだ。
幼い頃に母を亡くし、男親一つで僕の面倒を見てくれた父。
その為か転勤についていく他ならず、高校卒業と同時にアパートを借りて独立。
父とはメールでやり取りをするが、バカがつくほど生真面目な人だった。
そんな訳で自分宛の手紙に疑問を持ち、中を開いたら小学校の時の同級生が結婚するから見舞金を出せと言う要求だった。
まだ母が生存していた頃世話になった幼馴染のカッちゃん。
彼もとうとう年貢の納め時か。
僕もそろそろ覚悟を決める時かな? しかし千枝さん次第な気もすると式場の場所に目を通すと電車一本で行ける近所だった。
偶然に偶然が重なるのか、ここ最近何かとこの地域にご縁があるようだった。
「あら、結婚式の招待状ですか?」
「僕にとっては唯一の親友というか、まあ若気の至りでバカやったもの同士というかね? 昔話に花を咲かせてこようと思う」
「私もついていきたいところですが……」
無理なのはわかっている。僕も彼女を紹介したい気持ちもあったが、今は雇われ。雇い主は非常に忙しい身の上であった。
「次に式をあげるときに紹介でもしてやれば良いさ」
「そ、そうですね」
顔を真っ赤にしながら俯く千枝さん。
想像してしまったのかその場でフリーズしてしまっている。
今からこの状態じゃ、式をあげたらどうなってしまうのやら。
◇
「よく来てくれたな、このヤロー! 手紙ひとつ出さないで連絡先滅茶苦茶苦労したんだぞ!」
「そういうカッちゃんこそ手紙をくれた試しはないじゃんか」
「うるせー、俺は良いんだよ! あき、こいつが俺の親友でさ」
緊張からか友人殿は声が大きくなっていた。
似合わない白のタキシードに身を包み、気合を入れて固めたのか髪がテカテカに光っている。
どこかの暴走族かと見紛うほどの出立ち。
バックに四文字熟語でも背負っていれば似合いそうだ。
「本日はお越しいただきありがとうございます」
「いえ、こちらこそお呼びいただきありがとうございます。カッちゃんを、克幸君選んでもらっただけで親友としては肩の荷が降りた気分です」
「おい! それは一体どういうことだ!?」
「それは自分の胸に聞いてみな」
くすくすと口元を隠す新婦のあきさん。
幼少期からバカなことばかりして両親やご近所さんに迷惑をかけ続けた克幸。
それを笑って許してくれる相手なんて手放せばもう一生独り身だぞ?
「そりよりアッキー、お前はどうなんだよ? 彼女の一人でもいるのか?」
「居るよ。同居の一歩前まで来てる。次に式をあげるときにでも呼ぶよ」
「お、言ったな? っと、時間だわ。じゃあ俺ら行くから」
「おう、せいぜい気張ってこい」
親友を見送り、晴れ舞台を端末に収める。
人の写真を撮ったのなんて何年振りか。
普段毒物の摂取やらモンスターの生態系やら調べているので実に10年以上は取ってないのは確実だ。
その事実に苦笑し、そして周囲の来客は分かっていたがアウェイだった。
克幸が呼んだ親友枠は僕の他にはガタイの良さそうなガテン系の人が多い。どうやらアイツはそっちの道を職業に選んだようである。
「克幸君の職場の方ですか?」
「ああ、お前さんは?」
「小学校時代の友人です。会うのはもう16年ぶりですね。今まで手紙一つ遣さずにいたのに結婚するから顔を出せ、ですよ?」
「アイツはノリだけで生きてるからな。だが、奥さんをもらった以上は覚悟を決める必要がある。あとはアイツ次第さ」
「僕はこっちの街にあまり詳しくないのですが、お相手さんは結構大きな会社の方なのですか?」
「どうしてそう思う?」
そりゃ明らかに奥さんの来客がこちらの倍以上居るからだ。
どう見てもご年配が多く、ご両親にしては貫禄がありすぎる。
脇でデンと構えてるのがご両親だとしても、その両隣にいるのは? となってしまう。
「来客がこっちの倍以上いますし、皆さん硬い表情をされてますから」
「大手の旅行会社の婿養子になったそうだ」
「ほう? あの遊び歩くのだけにかけては天性の才能を持つ彼がですか?」
「だからだそうだぞ? 遊び慣れてるのならその世代の流行を熟知しているから。それが決め手だったそうだ」
「娘さんは会社の道具と言うわけですか?」
「そうでも無い。進言したのは奥さんからだ。将来会社を背負って立つ旦那だからこそ、事業に口を出せる見識は持って欲しいとご両親を説得して婚姻が許された」
「はぁ、もう尻に敷かれてるじゃないですか」
「だから言ったろ? あとはアイツ次第だとな」
そう言えばそうだった。
なんだかんだで良いところも悪いところも見てくれている職場の先輩。昔から人たらしのだったっけなと思い出す。
僕が誰にでも声をかけに行けるのは幼少時に彼との交流があったからだ。
良いことばかりの思い出ではないが、その頃の経験が今の糧になっているのも確かだ。
◇
結局その先輩と話し込んで結婚式は終了。
あれだけたくさんいた来客は引き出物を持ってほとんど帰り、僕とカッちゃんの先輩とその奥さんだけで二次会を開いた。
「こちらの先輩から聞いたぞ? お前社長になるそうじゃないか」
「未来のな? まだ見習いもいいところだよ。さっき来てた花嫁の客席のほとんどが上司だぜ? 結婚式の場まで来て品定めと来た。胃に穴が開く思いだったぜ」
「タングステンの心臓を持つカッちゃんにしては殊勝だね?」
「おいアッキー、誰の心臓がタングステンだって!?」
「ふふふ、向井さんて面白い方なのね」
「アッキーとはズッ友だからな」
「腐れ縁とも言うけどな」
「ちょ、それだと意味が違ってくるだろうが!」
寡黙な先輩は一人でお酒を飲むピッチが早い。
一人で勝って喋り続けるカッちゃんに対して先輩は黙って聞くスタイルが出来上がってるみたいだ。
僕も合わせてドリンクを飲み干し、給仕さんに注文をつけた。
「他にも誰かドリンクを頂きます? 僕はそろそろあったかいのにしようかな」
おちょこを口に当てる仕草で避けに行かないかと促せば、喋り足りないのかカッちゃんはビールを頼む。
奥さんは酔い潰れても困るだろうと継続してソフトドリンクを注文し、先輩は空になったコップを置いてウィスキーを注文した。
酒が入ればめでたい話の他に景気の悪い話が出てくるのが飲み会というものだ。
いくらビールといえど、量を飲めば酔いは回る。
景気のいい話は出尽くしたのか、久しぶりの語らいの中から飛び出た話は、僕にも思う当たる節があるものだった。
「実はこれはオフレコでお願いしたいんだけど、うちの会社少し業績が落ちてきてるんだよね。それがVR事業っていうの? それに顧客が流れていってるらしくてさ」
「ふぅん。でも興味がそっち向いただけで、未だ需要はそっちにあるんじゃないの?」
「ビジネスはそんな簡単なもんじゃないんだぜ、アッキー。うちの会社。まあ奥さんの会社はさ、大きいからこそ不安要素を刈り取りたいんだよ。アッキーなんか知恵ない?」
「僕もゲームでは遊んでるけど、そんな旅行会社の害になるような要素があるか? って言われたら疑問だし」
「実際人は減ってるんだよ。前年度と比較してあからさまにさ。そこで俺の仕入れた情報ではどうやら最近話題になってるNew Arkadia Frontierってゲームが原因だと掴んだ」
「知ってますか?」
ウィスキーの入れる頻度が高くなったガテン系の先輩に尋ねたら「知ってると思うか?」と視線だけで返された。
「俺はアッキーに聞いてるんだぜ?」
テーブルに詰め寄るカッちゃん。
そしてその席でにこやかに微笑みながらソフトドリンクを片手にする奥様。
話を聞くに遣り手らしい。
しかしこの状況、どう考えても彼女の掌の上だろう。
そもそも僕の住所を調べた際にフレアバード企画の名前は目に入る。そしてNAFとの関連性は運営会社を参照すれば一目瞭然だ。
つまり僕はまんまと誘い出された訳である。
「そうだな、じゃあいっそみんなでそのゲームで遊んでみたらどうだ?」
そんな僕の提案に奥さんの目がスッと細められる。
さて、どう出る?
「あなた、向井さんもこう言ってることだし一緒に遊んで見ませんか? 向井さんはそちらのゲームでは?」
「僕も初見です」
嘘をついた。
既にどこまでバレてるかは分からないが、親友と遊ぶのにムーンライトの変人プレイでは引かれかねない。
なので全く新しいアカウントを取得することにした。
三陣の枠は余っていたかな?
そう思案する横で、一人挙手する先輩。
「どうされました?」
「そのゲーム、俺もやってみたい」
どうやら職場で先輩の先輩が噂していたらしく興味があるそうだ。さっき知らないって顔してた癖に。知ってたんじゃないか。
「おーし、じゃあいっちょ敵状視察と行きますか!」
そういう事になった。
◇
「え、ご友人の奥様が例の旅行会社の親会社だったんですか?」
「その可能性があるってだけ。そもそも今になって接触を測ってきた友人も怪しいといえば怪しいんだ。でもそれ以上に奥さんがNAFをどう思っているのか全く分からなくてさ。で、枠は余ってる?」
「企業枠は埋まってますが、一般枠なら多少ねじ込めますよ?」
つまりほとんど埋まっているらしい。
「今回は僕も新規アカウントで参戦する」
「ではムーンライトの方はNPCモードにしておきますね?」
「済まないね、助かるよ」
「ウチにとっても、社運がかかってますから。それにおじいさまの力をお借りすれば捻り潰せますが、その借りが後になってどこまで膨らむのか考えるのも怖いのでできるだけ借りたくないんですよね」
「あの大企業すら捻り潰せるのか。今からどんな人か会うのが怖くなってきたな」
「あら、私を貰ってくれるんですよね? でしたら遅かれ早かれお会いする事になりますよ」
これでは大事を成す前の小事を片付けるようだ。
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