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本編
見えないオシャレ
しおりを挟む「と言うことで、新しいビジネスを開拓しちゃったけど大丈夫だったかな?」
「私は大丈夫です」
「うん、うん」
「良かったぁ」
「むしろ私達の気持ちを察してお仕事に変えちゃった茉莉さんが凄くて」
「そうかなぁ? あの中で最善を取り繕っただけだよ?」
「私だったらきっと反論できずに押し切られて一日20件とかとっちゃいそうで」
「そうねー、若いうちはそれくらいなら行けちゃうって思いそうよねー」
「でもよく考えたら洗髪って結構疲れるんですよね。人によって髪質って違いますし。茉莉さんがお湯を出してくれるからこその洗髪です。普通ならここに料金が発生するんですよね? 私はそれを当たり前のように扱ってました」
えー、そこ気にしちゃうの?
お湯ぐらいいつでも出すのに。
本当はそんな魔法ないんだけど、キサラちゃんに髪を整えてもらってから魔法の調整? がうまくいく気がするのよねー。そして凛ちゃんに肉体改造してもらってから頭がよく冴える。口車もよく回るし、自身だって漲ってくるわ。
やっぱり美って正義だって改めて痛感したもの。
ずっと胸が小さいのがコンプレックスだったから、それが改善されただけで日々が輝いて見えるものよ。あんまり大きくたって敵を増やすのは知ってるけど、こっちには豊胸のプロフェッショナルがついてる。
今ならお金を払うだけでそのスタイルが手に入るのだ。
男の視線を独り占めだってできる!
あんまりお勧めしないけどね。
この世界って死生観が末期だから直結厨が多くて困るのよね。
お金の提示すらなく、直接よ?
だからビジネスの時以外では平凡なスタイルにしてもらってるわ。
だって襲われたくないもの。
「まぁ最初は慣れることからね。お客様のお話し相手は私が引き受けるから、キサラちゃんは凛ちゃんのサポートについてあげて。スキンケアが終われば髪も! ってなると思うからいつでもできる準備だけはしておいて」
「はい!」
こうして新しいビジネスは火がつき。城下町で瞬く間に広まった。
市民は食生活の乱れや、直射日光の直撃によるシミ、シワ、乾燥肌の改善。
そして栄養の偏りで軋んだ髪をしっとりサラサラにして仕事に打ち込んだ。
この顔にこの体は不足すぎる。
おかげさまでサロンの予約が殺到したが、案の定五件でぐったりしてるキサラちゃんと凛ちゃんに無理強いはさせられなかった。
これが連日となるとどうもね。
私は空いてる時間に魔法を使って縫い物をしていた。
それと言うのも、顔、体が整えば次に目につくのは当然その装いだ。
流石に貴族のような豪華で派手な装いはできないが、日本人のような隠れたオシャレをすることはできる。
まずは上着からでも試してみようと本来なら対象を地面に縫い付ける“シャドウバインド”で裏地に柄物を縫い付けていた。
「よし、完成」
一見して布の服。
けど襟の返しに模様が入れられていてぱっと見の印象がガラリと変わる。
首から下げるスカーフでも印象が変わるが、平民がスカーフをかけても似合わないのでそこは撤廃した。
こう言うのは普段着を改造するからいいのだ。
あまり派手にしても貴族から目をつけられちゃうからね。
なのでおしゃれな自分は貫き通しつつ、平民に扮することで災いを寄せ付けないための措置としている。
「わ、それなんです?」
「ちょっとこっちの衣装をアレンジしてみたの。まだオシャレからは程遠いけど、肉体が変われば着飾りたくなるものじゃない?」
「そこにビジネスチャンスが転がってると言うことですか?」
「そうねー、流石にこれを商売にするのは骨が折れるわ。だから専門業者に売り込むことにするつもり。服は服屋と言うでしょ? 私一人で抱え込むのは違うもの」
「そうですね、今のビジネスも茉莉さんあってのものです。別々になったら破綻しちゃいます」
「うん、うん」
まぁお湯もスチームも私が魔法で施してるからねぇ。
睡眠魔法とかも合わせてリラックスさせてるから。
気がついたら眠ってて心も体もリラックスさせられてるのが最上だもの。
「そう言ってくれたら良かったわ。まぁ私はあなたたちに比べたら全然活躍できてないから。だからちょっとは活躍したくてね、ほんのお小遣い稼ぎよ」
貴金属や香水とかは貴族が使ってるから変に売り出せないのよね。
でも自分がちょっとオシャレを意識するくらいなら改善できると思うから。
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