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本編
王国の悩みの種
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「大変です! 聖女様がまた勝手に宝物庫から貴金属の持ち出しを!」
「警備兵は何をしてるか!」
「それが全員骨抜きにされて……我々では手に負えません!」
謁見の間にて。
私は騎士団長ガインと大臣デミスが話を取り決め中、兵が駆け込んできた。
またあの連中が何かしでかしたらしい。
魔王討伐と嘘の情報を刷り込ませて我が国の戦力にしようとした矢先のことであった。
「うぅむ、これは予想外の事態であるぞ。デミス、此度の召喚の儀。どれほどの被害が出るか見積もりは取れるか?」
「未知数にございます」
「手駒にして飼い慣らす策はどうした?」
「何度も試していますが、弾かれてしまうようです。此度の勇者は逸材なのでしょうな」
「その逸材にこの国が食い潰されるのでは納得いかぬぞ?」
「手筈は整っております。奴らの我儘も時期に収まることでしょう」
「王様! 勇者様が全ての女中に手をつけてしまいました!」
「王様!」
「王様!」
次から次へと厄介ごとが舞い込む。
普通であれば話術と魅了の術で数日以内に丸め込める手筈だった。
しかし此度の勇者は精強で、隷属魔法を弾く素質を持っていた。
光の力が大きいらしい。
あんなクズ共が、真の勇者の素質だけは高いと言うのだから世も末である。
「おう、ジジイ。見舞金の準備はできたかよ」
続けてやってきた大男、聖騎士の天職を持つチンピラ、東義和が、誘拐軟禁の見舞金を払えと請求してくる。
もうすでに大量のゴールドの支払いは済んでいるが、誠意が足りないの一点張りである。
「既に支払い済みだ。これ以上何を望むのだ」
「それが人に物を頼む態度かよ、オッサン。家臣と仲良く魚の餌になるのは嫌だろ? もっと持ってんだろ。出せよ。そしたらお前んとこの姫は勘弁してやる。あのアホの性欲の捌け口にしないでやってやる。それ以外は無理だがな」
べろり、と唇を舌で舐めまわしいやらしい笑みを浮かべる聖騎士東。
既に王宮内の女中を手駒にされたと報告があったばかりだ。
更には王族にまで手をかけると言う宣言。
その手綱を握っているのが目の前の男であると知られて歯を剥き出しにしながら怒りを表す。
「王様、ここは堪えるところです」
「わかっておる。で、他には何を望む?」
「ジジイの座ってる席に興味あるんだよね。その席譲ってくんね?」
「は? 無理に決まってるだろうが」
「あーあー、じゃあこの国終わりだわ。俺はもう知ーらね。聖女の使い込みと勇者の性欲は際限がねーぞ? 限度額いっぱいまで使い潰してなお求める。俺が引率役としてまとめてやってるが、お前らがそんな態度取ってる限りあいつらは止まんねーぞ?」
「いやあああああ、助けてお父様!」
「ぐへへへへ、君かわいいねぇ、ちょっとそこでいいことしない? 先っちょだけ。先っちょだけだから!」
言ってる側からまだ幼い娘に汚い物を押し付けてる勇者が現れた。
これがこの国象徴となるべき男の今の姿である。
「ほら、傷物にされたら色々この国詰むぞぉ? 良いのかよ? あんたの裁量で立て直せんの? 俺に変わっとけって。悪いようにはしねーからよ」
「ぐぬぬぬぬ!」
「お父様! いやあああああああ」
「わかった、だから娘からは手を引くように話をつけてくれ!」
王ならここは娘を見捨てるのが正解だったのであろう。
特にこの男の前では。
笑みがより深くなる。
「警備兵は何をしてるか!」
「それが全員骨抜きにされて……我々では手に負えません!」
謁見の間にて。
私は騎士団長ガインと大臣デミスが話を取り決め中、兵が駆け込んできた。
またあの連中が何かしでかしたらしい。
魔王討伐と嘘の情報を刷り込ませて我が国の戦力にしようとした矢先のことであった。
「うぅむ、これは予想外の事態であるぞ。デミス、此度の召喚の儀。どれほどの被害が出るか見積もりは取れるか?」
「未知数にございます」
「手駒にして飼い慣らす策はどうした?」
「何度も試していますが、弾かれてしまうようです。此度の勇者は逸材なのでしょうな」
「その逸材にこの国が食い潰されるのでは納得いかぬぞ?」
「手筈は整っております。奴らの我儘も時期に収まることでしょう」
「王様! 勇者様が全ての女中に手をつけてしまいました!」
「王様!」
「王様!」
次から次へと厄介ごとが舞い込む。
普通であれば話術と魅了の術で数日以内に丸め込める手筈だった。
しかし此度の勇者は精強で、隷属魔法を弾く素質を持っていた。
光の力が大きいらしい。
あんなクズ共が、真の勇者の素質だけは高いと言うのだから世も末である。
「おう、ジジイ。見舞金の準備はできたかよ」
続けてやってきた大男、聖騎士の天職を持つチンピラ、東義和が、誘拐軟禁の見舞金を払えと請求してくる。
もうすでに大量のゴールドの支払いは済んでいるが、誠意が足りないの一点張りである。
「既に支払い済みだ。これ以上何を望むのだ」
「それが人に物を頼む態度かよ、オッサン。家臣と仲良く魚の餌になるのは嫌だろ? もっと持ってんだろ。出せよ。そしたらお前んとこの姫は勘弁してやる。あのアホの性欲の捌け口にしないでやってやる。それ以外は無理だがな」
べろり、と唇を舌で舐めまわしいやらしい笑みを浮かべる聖騎士東。
既に王宮内の女中を手駒にされたと報告があったばかりだ。
更には王族にまで手をかけると言う宣言。
その手綱を握っているのが目の前の男であると知られて歯を剥き出しにしながら怒りを表す。
「王様、ここは堪えるところです」
「わかっておる。で、他には何を望む?」
「ジジイの座ってる席に興味あるんだよね。その席譲ってくんね?」
「は? 無理に決まってるだろうが」
「あーあー、じゃあこの国終わりだわ。俺はもう知ーらね。聖女の使い込みと勇者の性欲は際限がねーぞ? 限度額いっぱいまで使い潰してなお求める。俺が引率役としてまとめてやってるが、お前らがそんな態度取ってる限りあいつらは止まんねーぞ?」
「いやあああああ、助けてお父様!」
「ぐへへへへ、君かわいいねぇ、ちょっとそこでいいことしない? 先っちょだけ。先っちょだけだから!」
言ってる側からまだ幼い娘に汚い物を押し付けてる勇者が現れた。
これがこの国象徴となるべき男の今の姿である。
「ほら、傷物にされたら色々この国詰むぞぉ? 良いのかよ? あんたの裁量で立て直せんの? 俺に変わっとけって。悪いようにはしねーからよ」
「ぐぬぬぬぬ!」
「お父様! いやあああああああ」
「わかった、だから娘からは手を引くように話をつけてくれ!」
王ならここは娘を見捨てるのが正解だったのであろう。
特にこの男の前では。
笑みがより深くなる。
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