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8話 スライムの活用法
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「ヨッちゃん、スライム倒したらコア多めにくれ。個人的に使う」
「お、何か美味いものが食えるのか?」
モンスターの解体中、向こう側を任せたヨッちゃんへと声をかける。
ヨッちゃんも元ダンジョンセンター職員。よく解体をやらされたこともあり、なんなら俺より手際が良い。
俺がヨッちゃんより得意なのは、料理をする際の下処理くらいだ。
「うまいもの、と言うよりは嵩張る調味料の保存法に重いあたりがあってな。スライムのコアっていうのはスライムの赤ちゃんみたいなもんなんだよ。コアに醤油などの調味料を吸わせると醤油を媒介にしたスライムが生まれるわけだ」
「ああ、レストランでゼリーを作る時も一度元となるジュースをコアに吸わせると聞くな。しかし調味料を保存するなんて聞いたこともないぞ?」
「多分俺が一番初めてじゃないか? コアに吸わせてそいつを倒せばそのスライムのコアが手に入る。仮に醤油スライムと名付けたこいつは、水を近づけるたびにその醤油を復元して元に戻ろうとする」
「水を媒介にして戻るのに醤油のままなのか?」
「俺はスライム博士でもなんでもないから、原理まではわからないが、一回吸わせた醤油スライムは二回目も三回目も醤油スライムになった。だから麺つゆとか、ゆず味噌のタレなんかもコアに封じ込められたら面白いだろ? 何より嵩張らない」
バッグをポンと叩いて笑うと、ヨッちゃんは数秒惚けた後すぐに俺の背中をバンバンと叩いた。
「そういう事なら俺も全力で頑張るぞ! ゴブリンが出てきた時はサポート頼むな?」
「餌の準備は任せろ!」
ゴブリンは知恵の回るモンスターだ。小学生ほどの知能を持ち、高校生ほどの耐久力、武器も使い、群れて行動する。
しかし大学生並みの食欲があり、飢餓に陥れば仲間の肉にも食らいつくとか。
そこで俺は食べ慣れた同族の肉を甘辛く煮詰めて投げて注意を逸らす役を担っていた。
今のところ100%の食いつきを見せ、なんだったら食料の奪い合いまでしてみせた。
ヨッちゃんは魔法使いの素質を持っている。
一日に使える魔法は属性ごとに5発まで。
水、風、土の初球魔法を扱い、俺が時間を稼いでそこに魔法を打ち込む形で俺たちはモンスターを駆逐していた。
「やっぱポンちゃんを誘って良かったぜ」
アースバレット。
地面から鋭利な石槍が飛び出し、肉を奪い合ってるゴブリンを磔にした。
正気に戻るわずかな時間を狙って追撃の旨みダレを投擲。ゴブリンに頭から被せる。
殺到するゴブリンに、今度は氷の弾丸が頭部を射抜いた。
「3匹までならモノの数じゃないな」
「ここからは俺の仕事だな捌いて真核を取っちまおう。納品部位の耳の数は間に合ってたっけか?」
「余ったら煮て食っちまえばいい」
「なんだ、気に入ったのか?」
「別に。今の豊富な調味料で食ったらどう変わるのか気になっただけだ」
ここ数日。さまざまな訪問客を捌き続けながら配信を続けている。
まだそこまで登録者数は伸びていないが、開始して数日で300人は多い方だそうだ。
今まで誰一人も見向きされてなかった俺の仕事を、300人が見てくれている。それを思うと緊張してしまいそうだ。
ほろ酔い配信なので酔いが回りすぎないうちに上がる。
魔法の回数には上限があるので、飛び込みで調理を引き受けてその人に護衛をしてもらうでもない限り、引き上げタイミングはヨッちゃん次第となっていた。
「お姉ちゃん、査定お願い」
「今日もお疲れ様です。ゴブリンくらいならすっかり対応されてますね。ゴブリン肉だというのにあの奪い合い。ちょっとだけ味が気になるほどです」
受付のお姉さんはすっかりうちのファンらしい。専門のスレッド、掲示板を立ててくれたり、周囲に線でしてくれるのだ。
「それでお二人に折り入って相談があるのですが……」
納品の手を止め、相談事。これがいつものやりとりだった。
納品査定とは別に、もう一品。俺の料理を付け足すことで多めの査定を頂いていた。
「今日作っていたゼリー寄せ、あれの果汁バージョンを作っていただきたくて! もちろん素材はこちら持ちです! ええ!」
「コアはちょっと個人的に使うから、別途用意してくれたら嬉しいな」
「じゃあそれもつけます」
いつもは納品課題から一つ選んでのお願いだが、今回は全部素材持ちなので稼ぎは多くない。
けれど、素材持ちだからこそできることも多い。
何せ初めて扱う素材も多いからだ。
俺も学ぶことが多いので助かっていた。
「ではこの桃、葡萄、パイナップルを使わせてもらおう。シロップは余った果汁を煮出して……アストラルボディに刻み包丁。これでスライムの復元を阻みつつ、ゼリー化させます。吸わせながら切る……これが結構難しいので、再送は腕と相談ですね」
ここの納品査定も配信に収めているので説明口調だ。
そして膨らみ切る前に傷をつけて再度コア化。
このコアはアストラルボディに傷をつけられてるのでもう復活しない。
あとは煮出して作った果汁の煮汁のスライムスープを冷やし固めれば……
「完成、季節のフルーツのスライムコアゼリー寄せになります」
「では早速一口。ん~~~~! おいっしー、私スライムが適合食材なんですけど、これは当たりです! しかもこれ、私の適合調理みたいです!」
「お、よかったじゃねーか。じゃあ査定の方ももうちょっと色つけてくれよな?」
ヨッちゃんの物言いに、受け付けのお嬢さんはタジタジだ。
結局査定に色はつかなかったが、ダンジョンセンター側でレシピが公式化された。
頼む人は個人的に一人しかいないが、レシピの公開と包丁さばきは最寄りのレストランを驚愕させたとかなんとか。
ただスライムを切った貼ったしてるだけの料理がどうしてこんなありがたがられてるんだろうな?
それがわからない。
「お、何か美味いものが食えるのか?」
モンスターの解体中、向こう側を任せたヨッちゃんへと声をかける。
ヨッちゃんも元ダンジョンセンター職員。よく解体をやらされたこともあり、なんなら俺より手際が良い。
俺がヨッちゃんより得意なのは、料理をする際の下処理くらいだ。
「うまいもの、と言うよりは嵩張る調味料の保存法に重いあたりがあってな。スライムのコアっていうのはスライムの赤ちゃんみたいなもんなんだよ。コアに醤油などの調味料を吸わせると醤油を媒介にしたスライムが生まれるわけだ」
「ああ、レストランでゼリーを作る時も一度元となるジュースをコアに吸わせると聞くな。しかし調味料を保存するなんて聞いたこともないぞ?」
「多分俺が一番初めてじゃないか? コアに吸わせてそいつを倒せばそのスライムのコアが手に入る。仮に醤油スライムと名付けたこいつは、水を近づけるたびにその醤油を復元して元に戻ろうとする」
「水を媒介にして戻るのに醤油のままなのか?」
「俺はスライム博士でもなんでもないから、原理まではわからないが、一回吸わせた醤油スライムは二回目も三回目も醤油スライムになった。だから麺つゆとか、ゆず味噌のタレなんかもコアに封じ込められたら面白いだろ? 何より嵩張らない」
バッグをポンと叩いて笑うと、ヨッちゃんは数秒惚けた後すぐに俺の背中をバンバンと叩いた。
「そういう事なら俺も全力で頑張るぞ! ゴブリンが出てきた時はサポート頼むな?」
「餌の準備は任せろ!」
ゴブリンは知恵の回るモンスターだ。小学生ほどの知能を持ち、高校生ほどの耐久力、武器も使い、群れて行動する。
しかし大学生並みの食欲があり、飢餓に陥れば仲間の肉にも食らいつくとか。
そこで俺は食べ慣れた同族の肉を甘辛く煮詰めて投げて注意を逸らす役を担っていた。
今のところ100%の食いつきを見せ、なんだったら食料の奪い合いまでしてみせた。
ヨッちゃんは魔法使いの素質を持っている。
一日に使える魔法は属性ごとに5発まで。
水、風、土の初球魔法を扱い、俺が時間を稼いでそこに魔法を打ち込む形で俺たちはモンスターを駆逐していた。
「やっぱポンちゃんを誘って良かったぜ」
アースバレット。
地面から鋭利な石槍が飛び出し、肉を奪い合ってるゴブリンを磔にした。
正気に戻るわずかな時間を狙って追撃の旨みダレを投擲。ゴブリンに頭から被せる。
殺到するゴブリンに、今度は氷の弾丸が頭部を射抜いた。
「3匹までならモノの数じゃないな」
「ここからは俺の仕事だな捌いて真核を取っちまおう。納品部位の耳の数は間に合ってたっけか?」
「余ったら煮て食っちまえばいい」
「なんだ、気に入ったのか?」
「別に。今の豊富な調味料で食ったらどう変わるのか気になっただけだ」
ここ数日。さまざまな訪問客を捌き続けながら配信を続けている。
まだそこまで登録者数は伸びていないが、開始して数日で300人は多い方だそうだ。
今まで誰一人も見向きされてなかった俺の仕事を、300人が見てくれている。それを思うと緊張してしまいそうだ。
ほろ酔い配信なので酔いが回りすぎないうちに上がる。
魔法の回数には上限があるので、飛び込みで調理を引き受けてその人に護衛をしてもらうでもない限り、引き上げタイミングはヨッちゃん次第となっていた。
「お姉ちゃん、査定お願い」
「今日もお疲れ様です。ゴブリンくらいならすっかり対応されてますね。ゴブリン肉だというのにあの奪い合い。ちょっとだけ味が気になるほどです」
受付のお姉さんはすっかりうちのファンらしい。専門のスレッド、掲示板を立ててくれたり、周囲に線でしてくれるのだ。
「それでお二人に折り入って相談があるのですが……」
納品の手を止め、相談事。これがいつものやりとりだった。
納品査定とは別に、もう一品。俺の料理を付け足すことで多めの査定を頂いていた。
「今日作っていたゼリー寄せ、あれの果汁バージョンを作っていただきたくて! もちろん素材はこちら持ちです! ええ!」
「コアはちょっと個人的に使うから、別途用意してくれたら嬉しいな」
「じゃあそれもつけます」
いつもは納品課題から一つ選んでのお願いだが、今回は全部素材持ちなので稼ぎは多くない。
けれど、素材持ちだからこそできることも多い。
何せ初めて扱う素材も多いからだ。
俺も学ぶことが多いので助かっていた。
「ではこの桃、葡萄、パイナップルを使わせてもらおう。シロップは余った果汁を煮出して……アストラルボディに刻み包丁。これでスライムの復元を阻みつつ、ゼリー化させます。吸わせながら切る……これが結構難しいので、再送は腕と相談ですね」
ここの納品査定も配信に収めているので説明口調だ。
そして膨らみ切る前に傷をつけて再度コア化。
このコアはアストラルボディに傷をつけられてるのでもう復活しない。
あとは煮出して作った果汁の煮汁のスライムスープを冷やし固めれば……
「完成、季節のフルーツのスライムコアゼリー寄せになります」
「では早速一口。ん~~~~! おいっしー、私スライムが適合食材なんですけど、これは当たりです! しかもこれ、私の適合調理みたいです!」
「お、よかったじゃねーか。じゃあ査定の方ももうちょっと色つけてくれよな?」
ヨッちゃんの物言いに、受け付けのお嬢さんはタジタジだ。
結局査定に色はつかなかったが、ダンジョンセンター側でレシピが公式化された。
頼む人は個人的に一人しかいないが、レシピの公開と包丁さばきは最寄りのレストランを驚愕させたとかなんとか。
ただスライムを切った貼ったしてるだけの料理がどうしてこんなありがたがられてるんだろうな?
それがわからない。
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