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二章
(4)日本人ならやっぱ米
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ムーンスレイとの共同訓練をカレー欲しさに締結した俺たちは、絶賛米の禁断症状に襲われていた。
いや、別に麦飯も美味いよ?
でも白米がいいという我儘ここに極まれりなのがうちのクラスメイトなのである。
分からんでもないが、ないもんはないのであるので我慢しろと言っても、もうカレーライスを食えるつもりでいたから喪失感が大きいのだとかなんとか。
贅沢を一度覚えちまったらダメになる典型だな。
しかし、俺たちの噂を聞きつけた他国の召喚者(日本人)が遠路はるばるグルストン王国までやってきたのだ。
司幸雄、高田健二の両名はドリュアネス国の現状と、今置かれてる状態でこちらの同情を買おうと泣き落とし作戦に出た。
なんとその国の統治者はエルフ。
ドワーフも居るが、仲違いしてるので居住区は別なんだって。
問題はそのエルフの方で、極度の菜食主義者だそうだ。
食べ盛りの男子高校生である両名は、単純に食事量の少なさに耐えられなくてこちらの大陸までやってきたそうだ。
しかし実際にこっちの大陸の宿に泊まって、その文明レベルの低さに辟易したそうだ。
ドリュアネス国とはあまりに違うんだって。
そりゃこの大陸のマンパワーは最底辺よ?
現代日本レベルの文明と比べるのも烏滸がましいよ。
つーか、この人達。
飯が食えないほど追い込まれてないんだよな。
アリエルやシリスの様に食うものに困って盗みを働いたりまでしてない。
うちのクラスメイト同様に、前の世界を基準としてわがまま言ってるだけだ。
正直乗り気になれないんだよなー。
「そうまで言われて返すのは癪ね。阿久津君! グルストン王国流のもてなしを見せてあげなさい!」
委員長が言われっぱなしで我慢できないという様に命令してくる。
「何食わせるの?」
「理想のおかずでいいんじゃない? ポークソテーとか?」
「ポークソテーがあるのか!?」
「あるっちゃあるが、高田さんもそれでいいの?」
「俺はこいつの付き添いできてるだけだが、ご相伴に預かってもいいのかい?」
「ついでだし。委員長、メニュー表出して」
「肉! 肉だ! 生きててよかったー」
委員長は俺が出せるメニューを表にして提示し、高田さんに見せる。ポークソテーを前に大興奮してるもう一人は、そっとしておこう。あんなにうまそうに食事してるのを邪魔しちゃ悪い。
「じゃあ、カツ丼で」
「ご飯は麦飯になってしまうけどよろしいかしら?」
「白米はないのか?」
「残念ながら見つからずじまいなの」
「じゃあ、それで」
「あいよ、カツ丼一丁」
「出来上がりは一瞬なのか。工程を見たかったのに」
「悪いな、こういうスキルなんだよ」
「生産チートって奴か? 羨ましい限りだ。ああ、卵の味が染みる」
「あ、健二だけずるいぞ。僕もカツ丼! あ、二人前ね?」
「パクパク食うのはいいけど、お題はきちっと貰うからな?」
「ふふん、もちろんタダで貰おうってわけじゃないよ。これでどう?」
司さんが取り出したのは宝石の様な塊。
これって確か?
「魔石ね」
「見たことないサイズだ」
「金はないのか? あいにくとこの大陸で魔石に価値はないぞ」
「えっ」
「えっ?」
司さんがびっくりしながら魔石と俺の顔を見比べたあと、あー……と納得した様に頷いた。
魔道具がないので魔石に価値がないと得心がいったようだ。
同時に俺たちの飯がこれで買えないと気づいて途方に暮れている。
「司、俺たちにはまだあれがある。ほら、ササモリさんの」
「あ、あー! アレね。そうだよ、僕たちにはアレがあるじゃん。日本人にはなくてはならないアレがね!」
「アレって?」
「お米だよ、白米。うちの元老院ていうエルフのお偉いさんに日本かぶれっていうか、元日本人の転生者がいてね。その人が何百年もかけて日本人好みの味に仕上げた一級品があるんだよ。それでどう?」
「そんなのがあるんなら先に言えよー。それを定期的にこっちに回してくれるんなら幾つでもおかずを出すぞ!」
「ようし、交渉成立だね!」
こうして俺たちのメニューにご飯ものが並んだ。
なお、数日のうちに米が底を尽きたのは言うまでもない。
だから俺のガチャは無尽蔵に出せるワケじゃねーんだぞ!?
あいつら加減ってものを知らねーんだもん。
ま、気持ちはわかるさ。
久しぶりに口にしたら、やっぱりホッとする味だしな。
いや、別に麦飯も美味いよ?
でも白米がいいという我儘ここに極まれりなのがうちのクラスメイトなのである。
分からんでもないが、ないもんはないのであるので我慢しろと言っても、もうカレーライスを食えるつもりでいたから喪失感が大きいのだとかなんとか。
贅沢を一度覚えちまったらダメになる典型だな。
しかし、俺たちの噂を聞きつけた他国の召喚者(日本人)が遠路はるばるグルストン王国までやってきたのだ。
司幸雄、高田健二の両名はドリュアネス国の現状と、今置かれてる状態でこちらの同情を買おうと泣き落とし作戦に出た。
なんとその国の統治者はエルフ。
ドワーフも居るが、仲違いしてるので居住区は別なんだって。
問題はそのエルフの方で、極度の菜食主義者だそうだ。
食べ盛りの男子高校生である両名は、単純に食事量の少なさに耐えられなくてこちらの大陸までやってきたそうだ。
しかし実際にこっちの大陸の宿に泊まって、その文明レベルの低さに辟易したそうだ。
ドリュアネス国とはあまりに違うんだって。
そりゃこの大陸のマンパワーは最底辺よ?
現代日本レベルの文明と比べるのも烏滸がましいよ。
つーか、この人達。
飯が食えないほど追い込まれてないんだよな。
アリエルやシリスの様に食うものに困って盗みを働いたりまでしてない。
うちのクラスメイト同様に、前の世界を基準としてわがまま言ってるだけだ。
正直乗り気になれないんだよなー。
「そうまで言われて返すのは癪ね。阿久津君! グルストン王国流のもてなしを見せてあげなさい!」
委員長が言われっぱなしで我慢できないという様に命令してくる。
「何食わせるの?」
「理想のおかずでいいんじゃない? ポークソテーとか?」
「ポークソテーがあるのか!?」
「あるっちゃあるが、高田さんもそれでいいの?」
「俺はこいつの付き添いできてるだけだが、ご相伴に預かってもいいのかい?」
「ついでだし。委員長、メニュー表出して」
「肉! 肉だ! 生きててよかったー」
委員長は俺が出せるメニューを表にして提示し、高田さんに見せる。ポークソテーを前に大興奮してるもう一人は、そっとしておこう。あんなにうまそうに食事してるのを邪魔しちゃ悪い。
「じゃあ、カツ丼で」
「ご飯は麦飯になってしまうけどよろしいかしら?」
「白米はないのか?」
「残念ながら見つからずじまいなの」
「じゃあ、それで」
「あいよ、カツ丼一丁」
「出来上がりは一瞬なのか。工程を見たかったのに」
「悪いな、こういうスキルなんだよ」
「生産チートって奴か? 羨ましい限りだ。ああ、卵の味が染みる」
「あ、健二だけずるいぞ。僕もカツ丼! あ、二人前ね?」
「パクパク食うのはいいけど、お題はきちっと貰うからな?」
「ふふん、もちろんタダで貰おうってわけじゃないよ。これでどう?」
司さんが取り出したのは宝石の様な塊。
これって確か?
「魔石ね」
「見たことないサイズだ」
「金はないのか? あいにくとこの大陸で魔石に価値はないぞ」
「えっ」
「えっ?」
司さんがびっくりしながら魔石と俺の顔を見比べたあと、あー……と納得した様に頷いた。
魔道具がないので魔石に価値がないと得心がいったようだ。
同時に俺たちの飯がこれで買えないと気づいて途方に暮れている。
「司、俺たちにはまだあれがある。ほら、ササモリさんの」
「あ、あー! アレね。そうだよ、僕たちにはアレがあるじゃん。日本人にはなくてはならないアレがね!」
「アレって?」
「お米だよ、白米。うちの元老院ていうエルフのお偉いさんに日本かぶれっていうか、元日本人の転生者がいてね。その人が何百年もかけて日本人好みの味に仕上げた一級品があるんだよ。それでどう?」
「そんなのがあるんなら先に言えよー。それを定期的にこっちに回してくれるんなら幾つでもおかずを出すぞ!」
「ようし、交渉成立だね!」
こうして俺たちのメニューにご飯ものが並んだ。
なお、数日のうちに米が底を尽きたのは言うまでもない。
だから俺のガチャは無尽蔵に出せるワケじゃねーんだぞ!?
あいつら加減ってものを知らねーんだもん。
ま、気持ちはわかるさ。
久しぶりに口にしたら、やっぱりホッとする味だしな。
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